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学校って要らないよね

挑戦的なタイトルにしてみたが、そもそも既存の学校教育に意味はないんじゃないか?というのが僕の学校づくりの原点だったりする。

学校教育の起源を辿れば18世紀のイギリス産業革命にまで遡る。当時のイギリスで必要とされていたものと言えば「高品質な」工場労働者で、そのために学校教育というシステムは必要不可欠だった。

決まった時間に決まった学習を行い、教師や組織に対して従順な人格を作り出す。もちろん基礎的な学力や最低限の社会性といったものも学校は提供した。

また工場労働者と並んで国家に必要とされた軍人の確保にも教育システムは効果的だった。命をかけて敵と戦うためには「国家のために」というフィクションが必要不可欠であり、学校は洗脳機関としても優れていた。

では現代において、こうした教育機関は必要なのだろうか?

個性も理解度もバラバラな生徒を一箇所に集めて画一的な教育を行う。また教育内容もはっきり言って本当に社会で必要とされているとは言い難い。僕が既存教育のカリキュラムを組み替えるならば、おそらく

①数学

②英語

③論理

④プログラミング

⑤金融・経済

⑥リベラルアーツ

あたりになる。

もちろん既存の教育だって学ばないよりは学んだ方がいいものばかりだ。しかし学生の時間は有限だ。トレードオフを理解し、本当に学ぶべきものとそうでないものを取捨選択することが責任ある大人の役割だと思う。

しかし上記のカリキュラムを学校で教えるにしても依然として疑問は残る。それは良質な教材がオンラインでいくらでも手に入り、メンターすらも自力で見つけ出す事が可能な現代において、もはや学校自体必要ないのではなかろうか?という疑問だ。

その疑問を払拭するために僕は学校の価値を以下の3つにフォーカスした。

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僕はプログラミングの学校づくりに携わっているが、本質はプログラミングを学んでもらうことではない。きちっとお金を稼ぎ社会に価値を提供できる人材になるのであれば、その過程はなんだって構わないのだ。現代においてはプログラミングやテクノロジーがそのための道を確保しやすいというだけの話に過ぎない。

では上記の3つの概念をもとにどのようなシステムが学校には必要だろうか。一つずつ見ていきたい。

★Motivating:「好き」をベースにモチベーションを生み出す

「好きを仕事に。」というお題目がYouTuberを中心に叫ばれ始め久しい。この主張自体は賛成だが、そもそも「好きなこと自体がない」という人が大半だ。それはそうだ。既存の教育はあまりにも社会からかけ離れたことばかりを教えているので「仕事になりうる好き」を見つけるチャンスが与えられていない。

一方「好きなことをしろ」プレッシャーは高まるばかりで、「好きなことがない」コンプレックスに悩まされる人も増えている。

ではどうすればいいのか。テックフォードアカデミーではリベラルアーツ(一般教養)を学ぶために様々な分野の専門家を外部から呼び入れ、最先端の教養を学ぶことで「仕事になりうる好き」を生徒と一緒に探していく。

アート・シンキングの先生のお力添えで、半年足らずでスタートアップのCEO、大手IT企業のCTOから東大の研究者、スイス在住建築家、地方自治体の地方創生担当者、そして詩人と実に様々な方にお越しいただいた。今後も継続して外部から様々な専門家をお呼びいただく予定になっている。

★Navigation:お金を稼ぐための道案内

既存教育はあまりにも「お金を稼ぐ」ということを蔑ろにしすぎているのではないだろうか。確かに工場労働者や軍人を育成するためには小賢しくお金を稼ぐ人材は抜け駆けする卑しいヤツとしてしか評価されなかったかもしれない。

しかし現代は違う。お金を稼ぐことは卑しいことではなく、社会に価値を提供した結果だ。そしてそのための武器は揃っている。後はそこにいたるまでの適切な道案内が必要なだけだ。

具体的にお金を稼ぐためのナビゲーションとして何を行うかというと以下のプログラムだ。

①企業有償インターン支援

②業務委託案件の紹介

③起業・フリーランス活動支援

④企業と提携したカリキュラム開発

「社会に一番近いスクール」というコンセプトを掲げ、学生のうちから社会と接点を持つ設計を心がけている。その意味では(ここだけの話)出席や成績はあまり重視していない。本当に重要なのは社会や企業からの評価であるからだ。

★Networking:チャンスをつかむための人脈紹介

ネットワーキング、あるいは人脈の紹介はもしかすると学校の一番の価値ではないかと最近思い始めてきた。テックフォードでは講師は全て現役のエンジニアやビジネスマンなので、講師間や講師-生徒間、あるいは生徒間で既に様々な取り組みやビジネスが生まれている。

またアートシンキングの授業で外部から様々な方に特別授業をしていただいているので、そこからも新しいビジネスが生まれるかもしれない。もちろん私自身が持っている人脈もどんどん供給するつもりだ。

以上の3つが僕は学校のコア・バリューではないかと考えている。

車で例えれば、モチベーティングは「エンジン」、ナビゲーションは「ハンドル」、ネットワーキングは「カスタマイズできる車体」といったところか。目の前に大きな壁が現れた時、人脈はきっと空を飛ぶための翼になる。

もちろん現代社会で全面的な賛同が得られる考えだとは思わないが、少しでも学校の本質的価値について共感し、日本の教育について問題意識を持ってくれる人が増えれば幸いだ。

最後にテックフォードアカデミーの取り組み紹介(一部)

①オンラインとオフラインのハイブリッド授業
⇒どちらで受けても良い
②講師は全て現役のエンジニアやビジネスマン
⇒講師間や講師-生徒間でビジネスが生まれている
③出席率や成績は(ここだけの話)重視していない
⇒重要なのは社会や企業からの評価
④高等部・専門部合同クラスだが年齢でクラスを分けず、レベル別で分けている
⑤長期有償インターン・業務委託案件の紹介・ビジネスコンテストへの参加
⑥外部の専門家を呼んでリベラルアーツを学び「好き」を見つける
⇒スイス在住建築家、詩人、大学研究者、スタートアップCEO、地方創生担当者など



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