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ウマ娘は、爆発だ。

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友人の影響で去年頃から映画館で映画を見る機会が増えました。映画体験を繰り返していく内にマキマさんのこのセリフに納得している自分がいます。

チェンソーマン

複数回映画を見に行く自分ではありますが、大半の作品は「良かった。悪くはなかった」ぐらいの感想に着地します。しかし、ごく稀に自分の感性の物理法則を無視するかのような作品に出会います。今までの人生で積み重ねた価値観が粘土のように捻じ曲げられていくあの理不尽にも似た感覚はたまらなく好きです。今回はそんな見た人にドデカ感情を生み出して、今後の人生を捻じ曲げるぐらいの爆発的なエネルギーを有している映画です。

感想

自由気ままなフリースタイル・レースで、
最強を目指して走り続けてきたウマ娘の少女、ポッケこと
ジャングルポケット。
気まぐれに観戦した<トゥインクル・シリーズ>のレースで、
フジキセキの走りに衝撃を受けたポッケは、
自らも<トゥインクル・シリーズ>に挑むことを決意する。
ウマ娘たちの集う『トレセン学園』に入ったポッケは、
フジキセキを育てたタナベトレーナーのもと、
一生に一度しか挑戦を許されない『クラシック三冠レース』に挑む。
そこに待ち受けていたのは、ポッケをもしのぐ実力をもつ
同世代のライバルたちだった。
ひたむきな思いを胸に実直に努力を続ける、ダンツフレーム。
自分にしか見えない『お友だち』を追いかけて走る、マンハッタンカフェ。
そして、ウマ娘の可能性のその先を求めるマッドサイエンティスト、
アグネスタキオン――
自らの誇りと、意地と、魂をかけて走るウマ娘たち。
熱く激しいその戦いが、新たな時代の扉を開く。

劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』 公式サイト」より引用

改めて考えるとウマ娘。設定が狂気すぎる。「実在した競争馬を女の子に擬態させて走らせる」。なにをどう考えればこれを閃くのか?クリエイティブを盾に使えば何をしても良いのか?と警鐘を108回鳴らしたいです。2016年に発案されたものですが2024年になっても訳が分からないです。この設定をすぐに飲み込めた人間はいないと思います。それでも今の今までそしてこれからも人気であろうド変態コンテンツには多くの人間の熱意と情熱が注ぎこまれているのは容易に想像できます。1人のエンタメの消費者として敬意しかありません。

ウマ娘の映像コンテンツの基本である「奇天烈な設定でストーリーは王道ド直球」。性癖すぎる。ゾンビランドサガに似た。この構図は自分の主食すぎるんですよね。今回も漏れなくド直球なストーリーでした。ごちそうさまでした。

蓮舫に仕分けされかねないムダはここまでにしてここからは本編の内容に切り込んでいきます(ネタバレないので読み進めて大丈夫!)。今回の一番の見どころはただ「速い」を伝えるのに果てしない労力と創造がドイツもびっくりの厚みで描かれているところに尽きます。

結局、主人公のジャングルポケット。「速い」です。めちゃくちゃに速いです。ダンツフレーム、マンハッタンカフェ、はたまたアグネスタキオン。みんな「速い」。それらの各キャラそれぞれの「速さ」を伝える演出とそこに至る「過程」の掘り下げがプロの仕業すぎる。レースの作画はすべて圧巻。ラストの直線の描写は声出そうになるぐらいの迫力と高揚感。時代の目撃者になったのかと錯覚。映画館の半券がウマ娘単勝の馬券に見えてくるでしょう。

そして、当然のごとく「アツい」。ストーリーはこれに尽きる。結局のところ、よくある展開です。変な裏切りもなく。伏線も丁寧。悪く言うと単純です。けれども、先述した果てしない労力と創造がこのシンプルなストーリーをより引き立てます。良い作品であるための最低条件である対比の描き方もクソ上手い。今回は「感情」と「論理」。感情のジャングルポケットと論理のアグネスタキオン。二元論でどっちが優れているという結論ではなくそれぞれを際立たせる構図は圧巻でした。これ以上はネタバレになるので控えますがどっちも応援したくなるようにスポットライトをそれぞれに当てていました。

これはあまりに地味すぎて書くか悩みましたが、レース毎に俯瞰の画像にレース名のテロップが出る演出。去年の洋画である「グランツーリスモ」に似た演出でオシャレで自分は大好きでした。こういう細部まで拘りが徹底されているのも好印象です。

これでもかと丁寧に作りこまれた作品。映画館の大きなスクリーンと壮大な音響で見たいところ。映画館のスクリーンが競馬場に、半券は馬券になること間違いなし。全てを飲み込む引力がある今作品。

貴重な時間はウマ娘の単勝で


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