初めてのベンチャー投資~どんな契約書が必要になるのか~

前回はDay1での検討事項をまとめたので、今回はベンチャー投資に必要となる契約書の種類、内容をざっくり、簡単にまとめてみた。
私は初めての際、契約書の全体像がつかめておらず、後手後手の対応となってしまった。初めて投資をする際は初期に各種契約書の要否、締結スケジュール・ロジは確認しておくとよいと思います。
また、あくまで契約の全体像を示すことを目的としているので、詳細は文末記載の参考書籍等でご確認ください。
【ベンチャー投資で必要となる契約書】
 ①株式引受契約書(投資契約書)
 ②総数引受契約
 ③株主間契約
 ④残余財産分配契約(みなし清算合意書)
 ⑤業務提携契約書

①株式引受契約書

【契約当事者】発行会社、経営株主、投資家
【内容】投資家が株式を取得するための契約で、出資の実行条件等を定めた契約。
契約当事者に経営株主がいるのは、投資家の出資にあたり会社がピカピカつまり問題ない(投資家の認識とおりである)ことを経営者個人にも表明保証してもらう。なお、違反時には損害賠償・株式の買取義務も課される

②総数引受契約書

【契約当事者】発行会社、投資家
【内容】①株式引受契約から、誰にどんな条件で、どれくらい株を発行するというところを抜き出したもの
※上記内容の契約を締結し登記の際提出することにより、面倒な株式発行の手続きを省略できる。その際、表明保証等の詳細な条件が記載された①株式引受契約書ではなく、必要最低限な②総数引受契約書を締結するケースが多い(別にマストではないが通常作成)

③株主間契約書

【契約当事者】発行会社、出資する全投資家、その他株主(原則全員、主要株主のケースもあり)
【内容】会社経営・運営についての約束ごとを定めた契約
※前提として少数株主(投資家)を守るための契約。少数株主として会社法で議決権要件を満たさず保護されていない権利を獲得するもの(例えば取締役の個別指名権等)
※①投資契約書に含める場合もあるが、投資家が複数いる場合、今後投資家が増えることを見越して、別にしておくと便利
※また契約書当事者の観点から①投資契約書と別にする(例えば、投資契約書でIPOの義務とが記載されており、それを従業員等の他の株主に見せたくない等)

④残余財産分配契約

【契約当事者】株主間契約書と同じ(基本的に全株主マスト)
【内容】会社が売却されたりした時にその対価の配分について定めた契約
※これは残余財産分配の優先権がある優先株式が発行された場合に締結される。(詳細は割愛するが、優先株の一部の内容についても、現在の日本の法律上当事者株主の合意が必要なるケースがある)
※株主全員なので株主が多い場合は結構めんどくさい

⑤資本業務提携契約書

【契約当事者】発行会社、投資家(主に事業会社の)
【内容】出資に伴い業務提携があればその協力内容を定めた契約
※必要があれば。個別具体的な条件は定めず、お互い目的のため協力する的なことを定めておく程度の場合もあり

最後に

以上、あくまで初めて投資を検討する人を対象に契約書はどんなのがあるかの全体像を記載した。(実際に私が混乱したので)
契約関連の詳細については以下書籍等を紹介します。(多分マストで読むべきかと)

①起業のファイナンス(磯崎氏)
 →ベンチャーファイナンスの入門書
②起業のエクイティ・ファイナンス-経済革命のための株式と契約(磯崎氏)
 →ベンチャーファイナンス契約書の入門書
③スタートアップ投資ガイドブック(TMIの先生方)
 →個人的にチョーおすすめです。すごい役に立つ実務書
④我が国における健全な ベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項(METI)
 →Webで無料PDFで手に入ります。こちらもわかりやすく役に立ちます

以上、お役立てば幸いです。

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