見出し画像

会計士に足りない「事業理解」とは?

「事業への理解」とは何を指しますか?

私が面接を担当させていただく時、「コンサルになるために、現時点で不足している点は何とお考えですか?」と聞いたりします。
その際会計士の方に特に多いのが、「財務は強みがありますが、事業への理解、ビジネス理解(以降、事業理解と記)が足りないと思います。」という回答です。

そもそも、コンサルの要件が事業と財務の2要素なのか、財務の中にはファイナンス部分も含まれているのかというツッコミポイントはさておき、「事業理解」の定義(事業理解ができるといはどういう状態を指すのか?)は何かという点は面接の中でも確認するようにしています。

「事業理解」の定義に正解はないかと思いますが、私も「事業がわかる」会計士を目指して転職したのもあり、改めて事業理解ができるという点を考えてみました。

事業理解ができているということ

私が思う事業理解ができているとは、以下2つと考えています。
①体系的な事業分析ができ、事業の本質が特定できる(≒事業DDができる)
②事業実行における組織力学を理解しており、実際のオペレーション上の肝がわかる(PL責任を持ち組織(チーム)を動かせる)
賛否ありかと思いますが、わかりやすくカッコ内で事業理解習得のマイルストーンを示しています。

②はもはや当事者として事業を遂行した経験が必要になりますので、戦略コンサルの方でもコンプレックスを持っている人がいます。(いわゆる事業会社行きたい病)

コンサルとしてまず必要となってくるのは①の能力になります。

体系的な事業分析ができ、事業の本質が特定できる(≒事業DDができる)とは?

ここでは事業DDで行う分析について簡単に説明させていただきます。
事業DDでは自社(対象会社)が行っている事業を体系的な理解に基づき、その継続性や成長性を評価し、それを数字に落とし込むことが必要になります。(その結果買収のGo/NoGoの判断)

体系的な理解とは簡単に言ってしまうと3C(Customer(市場・顧客) Competitor(競合) Company(自社))になります。そこに外部環境の深掘り要素として、PESTや5force等が登場するイメージです。
 その上で会社の(事業の継続性・成長性における)強み・弱みを把握し、それがしっかり事業計画(財務数値)に反映されているか確認します。
(弱みを考慮せず、マーケットトレンドの数字を取っていたり、その補強の施策が入ってなかったり、強みがマッチするマーケットを選択していないのに、これまで通りの成長率があったりと、しっかり理解したあとに数字をみるといろいろと不整合に気づきます。)

こんな風に事業が語れれば

なので自分が気になる事業(クライアントの事業等)を語るとき、「単純に売上高が○○円で、主要顧客はXX」とただの事実を言うのではなく、以下のような視点をもって語ることができればいいかなと考えております。
ちなみに、事業DDではPJ初期に以下のような仮説を立て、その後それを検証していきます。

※内容は適当です。
 まずこの業界は、過去あまり技術革新が起きてないが、国の政策の影響により、マーケットシェアは分散。セグメントとしては、高級と大衆向けに分けれている。
 競合の多くは高級セグメントに注力しており、性能を追求し、ブランドイメージを構築することにより、如何に高価格でも欲しいと思わせるような取り組みを行っている
 その中で当社は、XXの技術により、性能は落ちながらも、価格を大幅に下げる主要部品の開発に成功。この技術をもって、大衆向けマーケットの開拓を目指す
 強みとして、本技術は特許申請しており、当面の独自性の維持は可能である。一方弱みとしてはXXXがあるが、XXXの施策にXX億円の投資は必要になるが克服は可能。
 結果数字としては20XX年までに売上XX、営業利益XX、FCFXXの獲得が可能な見込みである。

他にもそもそもこの業界って、こういう勝ちパターンしかなくて、当社はそのうちのパターン②、だからうまくいくとかという業界の勝ちパターン(≒KSF)にそった語り口もあります。
 
以上






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?