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組み合わせで理解しよう「デザイン思考、リーン、アジャイル」by Jonny Schneider

BY JONNY SCHNEIDER ON SEPTEMBER 20, 2017

以下は、Jonny Schneiderによる「Understanding how Design Thinking, Lean and Agile Work Together」の翻訳です。本人の許可を得て掲載します。

アジャイルの考えは素晴らしいものです。作法や認定としてうまくまとめられています。ですが、期待とは裏腹に、あまりにも的外れなものが広まってしまいました。

リーンについて語るとき、プロセスの最適化・ムダ・品質のことがよく話題になります。ですが、リーンのマインドセットについてはあまり話題になりません。

デザイン思考は、デザインのファシリテーターたちに高く評価されています。ですが、それは新しい「魔法のトリック」として、です。

これらの3つのマインドセットは、確固たる考えを持たない大衆によって台無しにされてしまいました。彼らは、何かがよくなるという期待を抱きながら、何も考えずにひたすら手順に従います。何かを変えたいというニーズは持っています。ですが、その理由を理解することなく、ルールやプロセスに従ってしまうのです。

図1. プロダクト開発の3つのマインドセット

デザイン思考は、問題を探索・解決するための方法です。リーンは、私たちの信念を試し、適切な成果につなげる方法を学ぶためのフレームワークです。アジャイルは、ソフトウェアの変化していく状況に適応するための方法です。

デザイン思考は、能力学習に関するものです。スタンフォードd.schoolのCarissa Carter主任は、デザイナーを高める能力について、素晴らしい記事を書いています。たとえば、曖昧さ、共感的学習、統合、実験などが、その能力として挙げられています。意味を生み出し、問題の枠組みを設定し、潜在的な解決策を探索する、デザイナーの能力が重要なのです。

『誰のためのデザイン?』の著者であるドナルド・ノーマンは「デザイナーは最初のアイデアに満足しない」と述べています。あなたも考えてみてください。最初のアイデアが最高のアイデアだったことはありますか?意味や新しいアイデアが生まれるのは、物事を探検しているときです。デザイン思考は、問題と解決策を探索する方法です。意図するしないにかかわらず、誰もが「デザイン」しています。問題を解決しているなら、解決策をデザインしているのです。デザイン思考は、そうしたことをうまくやるためのマインドセットです。

リーンは、製造業における科学的管理法に対する反応として始まったものです。それまでの組織は、プロセス・ルール・手続きによって効率性を追求し、マネジメントとは主に「管理」を意味するものでした。ですが、現代のビジネスにおいて管理は偽りです。物事はあまりにも複雑で、予測できず、ダイナミックであり、管理ができません。リーンはあらゆる作業システム(system of work)をマネジメントするマインドセットを提供します。基本的には、不確実性を探索し、実験や学習によって意思決定を行い、仕事に最も近い人に対して、望むべき成果を達成する最善の方法を決定する権限を与えます。リーンでは、予測型よりも適応型であれと提唱されています。

アジャイルは、リーンと関連しています。両者の違いは、マインドセットの適用先とその方法です。アジャイルは不確実性が高い状況において、ダイナミックで変化に適応できるソフトウェアを構築する方法を提供します。これはピボットだけではありません。時間をかけて、スケールさせたり、進化させたりすることも含まれます。今日のソリューションが明日のソリューションと違うことがわかっていれば、当面のニーズを満たすことにフォーカスすべきです。このとき、あとで物事が変化したときに能力を制限しないような方法を選択しなければいけません。アジャイルの核心は、変化するニーズにソフトウェアで優雅に適応するというものです。

図2. リーンとアジャイルの比較対照

3つのマインドセットをすべて組み合わせたときに、本当のメリットが手に入ります。「リーンなのか?アジャイルなのか?」という質問を何度も受けますが、その答えは「and」です。「or」ではありません。つまり、デザイン思考、リーン、アジャイルの「すべて」が必要なのです。言うのは簡単ですが、どうやって実際に行えばいいのでしょうか?具体的にはどのような感じになるのでしょうか?実際に「デザイン思考、リーン、アジャイル」を適用して学んだ教訓をいくつか紹介しましょう。

目的、連携、自律

「ビジョンに固執しよう。だが、詳細には柔軟に」
— ジェフ・ベゾス

プロダクトの構築は、戦闘任務のようなものです。熟練者で構成されたチームが、不確実性の高い条件で任務をまっとうします。指揮官は、いくつかの指針にもとづいて明確な成果を設定します。ただし、予想外のことが予想されます。したがって、チームは状況が明らかになったときに新しい情報に対応しながら、最善の行動を取れるように訓練されています。

すべてに規律があります。そして、訓練もあります。

軍事作戦では「規律ある主導権(disciplined initiative)」と呼ばれており、兵士は戦闘の動作を訓練するものです。マイク・ローザーの「改善のカタ」では「集中的訓練(deliberate practice)」と呼ばれており、科学的思考の流れを訓練するものです。これは、プロダクトチームが目的に合わせながら、不確実性を探索し、望ましい成果を達成する方法を学ぶためのものなのです。

プロのヒント:プロセス全体(熱望、仮説、実験のデザイン、フィードバックまで)をエンドツーエンドでプロダクトウォール(壁)に可視化してみてください。そうすれば、チーム全体で協力できるでしょう。

図3. プロダクトウォール

重要なものを計測せよ

「計測が重要なのは、それが意思決定や行動に影響を与えるからである」
―ダグラス・W・ハバード

  • 成果をどのように計測しますか?

  • 成果を達成したことがいつわかりますか?

  • あなたの指標は意思決定に役立ちますか?

虚栄の指標(総ページビューや新規顧客数の合計など)が無意味であることは誰もがわかっています。しかし、計測すべきではないことを知っていても、適切なものを計測することが簡単になるわけではありません。目標は適切であっても、間違った道を進んでしまうことが多いのです。たとえば、さまざまな購入者に数万点もの商品を販売しているオンラインストアを運営しているとしましょう。顧客が探しているものを見つけやすくすることがあなたの目標です。適切な方向に進んでいるかを確認できるように、この目標をいくつかの指標にブレイクダウンしてみましょう。

図4. 目標ベースの計測に適しているものとそうではないもの

プロのヒント:指標は今後の意思決定につながるものにしましょう。目標までの進捗を示すものを計測しましょう。「仮説駆動開発」では、シンプルかつ反復可能なかたちで、成果・信念・指標を構成します。これにより、適切な指標を発見する構造が手に入り、他の人にも伝えやすくなります。

学習にもとづいた意思決定

「事実や答えを求めてはいけない。よりよい問いを求めよう。それは問いかけるべき質問であり、探索すべき意味であり、戦略にとって最も有益なインサイトを生み出すものである」
— ジェイソン・フォックス博士

なぜ我々は学ぶのでしょうか?それは、優れた意思決定をするためです。多くのソリューションが失敗しています。意味のない問題を解決しているからです。また、我々は自分のアイデアを好み、バイアスに打ち勝つことができない傾向があります。アイデアのテストや実験によって、意思決定のリスクを回避しようとしても、必ずしもうまくいくとは限りません。陥りやすい罠のひとつに、プロトタイプの優れたテスト結果だけを見て、それを問題や顧客の要望だと勘違いするというものがあります。問題、ソリューション、要望は、別々の懸念事項であり、それぞれに異なる学習アプローチが必要です。

適切なものを学ぶために科学者になる必要はありません。また、インサイトはリサーチチームだけのものではありません。我々のアプローチを使って考えていけば、優れた意思決定につながるでしょう。まずは、以下のことから始めてください。

  1. 信念と仮定を定義する(テストできるように)

  2. 学ぶべき最も重要なことを決定する

  3. 学習につながる実験をデザインする

プロのヒント問題/仮定モデルは簡単に始めることができます。これは「問題は何か?」「どうすれば我々は解決できそうか?」「どのような仮定を持っているか?」「仮定をどうやって検証するか?」などを問いかける方法です。

図5. Jonny SchneiderとBarry O’Reillyが作成した問題/仮定モデル

多くのマインドセット、ひとつのチーム

最も重要なのは、みんなで一緒に働いて、みんなで一緒に達成することです。学習はチームスポーツであり、望むべき場所にたどりつくまでの道を発見するには、コラボレーションが重要となります。正しい道があるわけではありません。ひとつのマインドセットで十分なわけでもありません。すべてのマインドセットをまとめることで、それぞれの要素が、求める道の発見につながるのです。

図6. 3つのマインドセットは重なっている

プロセスを適用することを重視するのではなく、新しいことについて考えたり挑戦したり、うまくいくことを受け入れたり、うまくいかなかったことから学んだりしましょう。チームとして、こうしたことに取り組むべきです。適切な方法は、チームの状況によって異なります。チームが新しい能力を身につけ、行動によって学習し、学習したことに適応できれば、それが成功なのです。

プロのヒント:Jeff Pattonの「デュアルトラック開発」を試してみてください。これは、チームで協力できるように、プロダクトの「発見」と「開発」を近づけるための方法です。

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