シェア
序章 鮮血の天使 その日を、少年は海の上で迎えた。 「ねぇ、気付いてた? 今日はあなた…
ワルシャワにいた頃から隣り合わせにいつもあった感覚──死への恐怖がジワリ。十一歳の少年…
「ああ、ごめん」 抱きしめたラドムの身体がビクリと硬直したことに気付いたのだろう。 手…
ここはモン・サン=ミシェル島の裏手に当たる位置であった。 島の表側には賑やかな参道(…
──とは言ったものの、だ。 ほどなくして、ラドムは自分の意固地さを後悔することとな…
にまっ。 片手に蛇を握りしめて、満面の笑みのアミは草原に仁王立ちしていた。 隻腕…
──いや、そんなことより……。 香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。 ラドムの意識は、危機感より食欲の方へとシフトしていった。 「ラドム! できたぞ。さぁ!」 条件反射だろう。 けたたましく鳴り始めた腹を宥めるように押さえて、ラドムは少女の方へと向き直る。 淡白な肉がこんがり焼ける匂い。 すぐ目の前には零れんばかりの笑顔のアミ。 つられるように笑みを作ってから、ラドムは己の頬が凍りつくのを自覚した。 生々しく体をくねらせて大きく口を開けて絶命し、炙
それはシュタイヤーが彼女に渡していた銃であった。 昨夜遅くたまたまその場面を見かけた…