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小豆と仲良くなりたい。

最近、なにかと家であんこを炊いている。
ひとり夜に、小豆と向き合う。

ジャラジャラと豆を洗う音から心地よくて、グツグツとゆっくり小豆に火を通していく。渋きりはどこまでしようか…とか、小豆が踊りすぎないように…とか、2時間くらいはけっこう付きっきりで小豆の様子を伺っている。

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そうして一晩置いて、翌朝。
いよいよ砂糖を入れてゆっくり煮詰めていく。砂糖を入れてしまうと豆がかたくなってしまうから、ここは慎重にやりたいところ。小豆の火の通り具合をもう一度確認してから、「かためのあんこ」なのか「ゆるめのあんこ」なのか、これから活用するあんこレシピを頭に入れながら、砂糖を入れてかき混ぜていく。
砂糖が入ると小豆が一気にテカテカしだして、「あんこ」の形になっていく。ここがつくる人にしか分からない最高のハイライトだと思う。

そうして、出来たてのあんこをトーストにのせて食べる。

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バターは溶かさないで冷たいまま、ほくほくなあんこと一緒に口に運ぶ。もうこれもつくった人にしか味わえない至福の極み。

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トーストで食べてもまだまだあんこはたくさんあるから、この後は焼き菓子にしたりアイスにのっけたりと引っ張りだこのあんこだ。

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「ずっしり、あんこ」という本の中で、糸井重里さんが『あんこは小宇宙だ。』と言っていて首がもげるほど頷いた。あんこづくりはそりゃあもう大変だけど、少しの加減で小豆の表情が変わってしまうし、トースト、餅、きなこ、よもぎ…色んな素材を内包して、小宇宙が口の中に広がる。

和菓子職人さんはあんこをつくる過程でよく、
『小豆の声を聞く』
『小豆がすべて教えてくれる』
という。

なんだ…そりゃ。
私はまだ付き合いが浅いから、小豆の声がまったく聞こえない。なにを考えているかさっぱりわからない。でもやっぱりつくる度に奥深さを感じるから、時間がある今だからこそもっと探求したいなと思うし、これをきっかけに小豆とお近づきになりたい。

今日は新たな試みで、朝に炊いたつぶあんで豆大福をつくってみた。だいぶ気合をいれて臨んだのだけど、あんこ・餅・えんどう豆のバランスがうまく保てずあんまりうまくいかなかったよね。今まで和菓子屋さんの豆大福を食べて「餅が厚い!」「豆の存在感が弱い!」とか批評していたけれど、つくる大変さが身にしみてわかったよ…。

このままあんこを炊きつづけて、コロナが落ち着くころには、私、
和菓子職人になっているかも…。

そんなことを本気で考え、ひとりキャーキャー興奮しながら、
今日も私はあんこをたくのであった。


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