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【お店雑記】音楽と、ものを売ることと、書くことについて考えた。

先日、音楽家・ふじたゆかりさんのライブへ行った。

写真提供:つぼみさん

法隆寺の参道にあるつぼみさんで夕暮れどきに開かれたライブ。辺りがだんだんと暗くなっていく静けさのなかで歌声とピアノが響いて...。それはそれはとてもいい時間を過ごした。

ライブが終わったあと、余韻に浸りたくて久しぶりにCDを買った。ご本人からお決まりのサインももらって、そのときに私はひと言、ふた言ライブの感想を伝えた。いつだってそうだけれど、ご本人に感想を伝えるというのはとても緊張する。わりとパニック気味で、手短に伝えた。

数日後、ふじたゆかりさんと田中陽介さん(音楽家。ライブでは、ギターを演奏)と再会してお話する機会があった。
そのときにいわれたことが今でもずっと残っている。

「 ライブのあときょうこさんがいっていた、” 飛躍 ”という言葉がずっと気になっているんですよ」

腕を組みながら考える。
あぁ、私そんなこといったかな…。いやたしかに、いったわ、いった。
だんだんそのときのことを、思い出してきた。

どうやら私はふじたゆかりさんの曲を聴きながら、頭の後ろっ側でフィルム映画のような情景を見ていたようだ。最初、足元を見ながら歩いているのに急にポーンと” 飛躍 ”するような、そんな感覚が度々あった。

それは、空に向かって上へ上へということでもあるし、前へ向かってジャンプすることでもある。後ろでも斜めでもある。
表現を変えると、「客観視する」ともいえるし、「別の視点を獲得する」ともいえるかもしれない。とにかくいまを生きていく上で、とても大切なメッセージを受け取ったと思えたから、” 飛躍 ”という二文字にまとめたのだろうと思う。

それから3人で、しばらく「表現」について話をした。
音楽も、ものを売ることも、書くことも、言葉や行動で明確にあらわせないところでの心の動きがあるよねという話で盛りあがった。

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たとえば、日々お店に立っていてこんな光景を見る。

お客さんがうつわと出会ってしまった瞬間だ。

そのあとお客さんがレジにうつわを持ってきて、ぽつり、ぽつりと話す言葉から自分なりの答え合わせをすることがある。正解であるかどうかが大事なのではなく、そこに「なにが込められているのか」を考えるだけで、感情がふつふつと湧いてくる。今日お店開けてよかったなぁと心から思える瞬間が、日々たくさんあるのだ。

幼いころ、よく砂浜でお城をつくった。
まず大きな山のかたちにして、そこからドアや入り口をつくっていく。しかしつくりながら、砂はどんどんこぼれ落ちていく。たまに崩れたりもする。こぼれて、崩れて、最後には小さな山が残る。飽きてしまって、海に入りにいく。帰ってきたら、小さな城は波にさらわれてしまって、少しだけ原型が残っている。

「ほんとうに伝えたいこと」って、実はそんな感じでいいと思っている。

理想系に近づこうとすることはできるけれど、近づこうとがんばって、結果少しだけ残るくらいがちょうどいい。色んな人が行き交い、その隙間を想像する。持っている感性をめいっぱい働かせてなにかを受け取ったとき、自分自身が思いもよらないところへ” 飛躍 ”することがある。

伝えきらない、伝えきれないところにあるもの。

草々をはじめてから1年半。
色んな人と出会うなかで、やっぱり無意識に大切にしているのってこういうことなんだなぁとお二人と話してあらためて思ったのでありました。

ということで明日から東京、行ってきます。
約1年ぶりの東京。たくさんの人たちと会えますように。

スナワチPOP-UPストア原宿2023
期間:10月13日(金) - 10月16日(月)11:00-19:00
※最終日は18:00まで
会場:デザインフェスタギャラリーEAST101
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目20−2 デザインフェスタEAST1

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うつわと暮らしのお店「草々」

住所:〒630-0101 奈良県生駒市高山町7782-3
営業日:木・金・土 11:00-16:00

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