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大学3年生ですが、心理系大学院受験までどのくらいの準備期間が必要ですか?

皆さん
こんにちは。
心理系大学院受験専門塾 京都コムニタス塾長の井上です。

6月も終盤に入り、臨床心理士指定大学院・公認心理師養成大学院の前期入試まで残すところ3ヶ月を切りました。

現在、心理職の資格は、国家資格の公認心理師が重視されていますが、臨床心理士も決して価値を落としていません。
今の心理士(師)養成システムはちょっとしたねじれ現象になっていて、

①まず公認心理師の単位に対応する大学の学部に入ります。
これは編入でも可能です。
②学部で公認心理師養成カリキュラムの単位を取ってから、卒業して、
③公認心理師も取れる臨床心理士指定大学院に進んで、修了して、受験資格を得て、両資格取得を目指す。

これがスタンダードになりつつあります。
現時点ではいずれかの資格しか取らない、と決めて進学する人は少ないと言えます。社会人の方で、学部からやり直すには時間がかかりすぎるので、公認心理師はあきらめて、臨床心理士のみを目指すという方は、たくさんおられます。
いずれにせよ、大学院に進むことが基本となることは覚えておかねばなりません。
それでは、心理系大学院受験までにどのくらいの準備期間が必要なのか、について、京都コムニタスのこれまでの経験に基づいて述べていきます。

先に結論を言えば、京都コムニタスで勉強した方に限定されますが、
早くて3ヶ月、長くて1年、平均8ヶ月で、たいていの場合合格できています。

心理系大学院受験の受験勉強の期間のスタートはどこにある?

今年度に入って、毎週のように情報提供ができるイベントを開催しています。その参加者の方々からいただく質問で一番多いのは「どのくらいの準備期間が必要か」ということでした。私たちのような塾にとって、準備期間とは「合格までの準備期間」ということになります。受験までの準備期間は、もちろん個人差はありますが、当塾で契約いただける月数の平均値で言うと、8ヶ月程度になります。1年あれば確実に合格できていますが、短いと3ヶ月で合格した人もいます。したがっていったん、合格をゴールと設定します。
(本当は入学してからの方が大事ですよ)

この種の受験は、どの業者も言っていると思いますが、やはり「情報戦」です。大学受験に比べて、情報がとても少ないのです。専門誌のようなものもほとんどありません。しかし、大学受験に比べて、受験をする人にとって「未知」のものがたくさんあります。

また学科も、「何をすればいいのかがわからない」からが、多くの方の「最初の壁」でしょう。
ということで、まずは「スタート地点を作る」ことから始めましょう。
ただし、これがなかなか難しく、宇宙空間に放り出されたような感じを受けて、とても不安になります。スタート地点とは「足場」「手がかり・足がかり」と言い換えてもいいでしょう。
それも、すべては情報をいかに集められるかにかかっています。
やはり、効率がいいのは、私たちのような業者を使うことだと思っています。
京都コムニタスでは、生情報にこだわりますので、直接取材にいくことを大切にしています。加工の入っていない生情報が大学院受験の場合は大いに役にたちます。
以下、種目ごとの準備期間とその間にやるべきことについて述べていきます。

研究計画書の準備期間

研究計画書の書き方については、『心理職大全』
 https://amzn.to/3tzkNPI

にかなり詳しく書きましたので、是非見ていただきたいと思います。
研究計画書の作成期間は、人によって異なりますが、少なくても3ヶ月は欲しいところです。つまり9月入試なら今でも少し遅いくらいです。

私の師匠の言では、本気になったら3ヶ月で論文は書けるということですが、それはある程度下地ができていることが前提です。
初めての研究計画作成で、真っ白な状態から始める場合は、じっくり半年くらいかけても損をすることはありません。もちろん、京都コムニタスの生徒さんであれば、私たちも一緒になって作りますので、もう少し早く作ることは可能です。

急がば回れ


時間的に早く作ることを重視する場合は、やはり下ごしらえが物を言います。どれだけ作る物のイメージが明確であるかが、早く作るポイントです。いつも言っていることですが、研究計画は料理のレシピですので、できあがった料理のイメージなくしてレシピを作ることはできませんし、試行錯誤段階では、レシピとは言えません。またやってみないとわからない状態、できるかどうかわからない状態も同様です。

私は、生徒さんと研究計画を作っていくとき、まず何がしたいのか、ということを徹底的に聞きます。むしろ生徒さんの方が焦りますので、「そんな悠長なことを言ってる場合ではない」と思いがちですが、焦らずにぶれずに「これを作りたい」というものをかなり絞り込んでいく方が早く形になっていきます。そうすることで、自分にしかフィットしないけれど、一般の研究からもずれない研究計画書に近づいていくことができます。焦らず、まずは何がしたいのかを徹底的に追求しましょう。
急がば回れです。
研究計画書の入り口に関しては以前に書きましたので、そちらをご覧いただけましたら幸いです。

願書は早く提出した方がいいのか?


願書は、当然ながら、大学ごとの書式に合わせて作る必要があります。京都コムニタスでは、提出期限ギリギリまで調整が続き、提出期限最終日に出すのが通常で、早めに出す人はほぼいません。「必着」か「消印有効」かは必ず調べておきます。それくらい最後の最後まで少しでも良いものを作ろうとする意識が必要ですし、そこまでしっかり手を掛けたものは、自分の誇れるものとなります。実際の傾向として、研究計画を最後まできっちり作った人は学科もうまく勉強できています。最後まで諦めず、手間を惜しまず、今できる最良のものを仕立てあげることにこそ意味があるのです。

心理系大学院の難易度と倍率はは確実に上がっている

ここまで、準備期間について述べてきましたが、心理系大学院受験は、昨年から目に見えて難易度が上がりましたので、今までの経験値そのまま、というわけにはいかなくなりつつあると感じています。

昨年度の受験から、心理系大学院の倍率が上がりました。追手門学院大学の5倍はかなり大きな数字です。私は各地で講演をする際に、皆さんが頭に置いておく倍率として、全国で2.5倍から3倍程度とお伝えしています。少子化の今時、大学受験でもこれは高倍率になります。まして大学院受験となると、私がこの仕事を始めた頃の倍率とほとんど変わりません。

ただし、今から20年前は、大学院自体がほとんどありませんでした。今は資格の取れる大学院は全国で180ほどあります。大学院の定員は、平均10人未満です。公認心理師の単位を学部で取っている人の平均値は30人程度です。故に単純計算で潜在受検者数は5000人を超えるくらいになり、2000人程度の合格者が出ているということになります。臨床心理士の合格者がこれより少し少ないくらいですから、リアルな数字と言えるでしょう。しかし、そうなると、3000人が合格できなかったということです。2.5倍から3倍というのは、不合格者数の方が多いわけです。大学を出るのに進路が決まらなかった人がかなりいるということになります。

しかし、公認心理師の単位を取っている時点で、大学院に行くことがある程度想定されることになります。となると、3000人全員が今年に受験を持ち越すわけではないにせよ、半分でも1500人です。少なく見積もっても1000人程度は、次の年度に受験を持ち越している可能性が高いと考えられます。したがって、通常の5000人に累積の1000人が加算されて、少ない見積もりで6000人程度の潜在受験者がいることになります。大学院の定員はよほどのことがない限り増えませんので、次の年度は、最低3倍を見積もっておく必要があるということになります。

できたら受験自体の準備期間は1年程度が望ましい

私の知人で、公務員試験系の予備校で働いている人がいますが、彼も、いつも「1年は準備期間をかけるべき」と言ったり、書いたりしているそうです。現状の心理系大学院受験の難易度も、私たちの感覚と経験値と現況を加味して言えば、受験勉強については1年程度が適当かと思います。
全国の様々な大学に行かせてもらってわかるのは、受験に対する意識の高い人は、1年生の時から受験を意識して勉強をしているようです。その善し悪しは一概に言えませんが、4年生になって、心理学の辞書を持っていない、という人と比べると、かなり差があります。
いずれにしても、目標設定は受験においては最も重要です。どの大学院をいつ受験するか、確実に決めて、準備をすすめなければなりません。それにはまずは行きたい大学を考えていただいて、それに向けた準備をしていただくのが良いと思います。まずは当塾まで相談にお越しいただければ、学校の選び方など様々なアドバイスをさせていただけると思います。

自分のできる限り精一杯を知りましょう


この時期は大学生、特に4年生の方が、相談によく来られます。ちょっと追い込まれているケースがほとんどです。
京都コムニタスでは、受験直前のこの時期において、塾生がどのように勉強しているか、どのように調べものをしているか、どのように論文を探して、入手して読んでいるか、どのように研究計画や志望理由など書類を仕上げているか、などなど、非常に重要なものを見ることが可能です。また体験授業も無料で行っています。今、質問として多いのは、
「どのくらい勉強すれば合格できますか?」
「どのくらいの勉強時間が必要ですか?」
「どの程度勉強すればいいのですか?」
この種の疑問は誰にでも生じますし、とりわけ心理学を始めて間もない方々にとってはまだ雲を掴むような状態ですから、何か目安が欲しいという考えを持つようになることは当然と言えます。
ポイントは「自分のできるだけ精一杯」です。「できるだけたくさん」とは言っても、個人ごとに取れる時間に限界がありますから、一応の目安として5時間以上と言っています。2時間くらいでは少ない気もしますから、やはりある程度は確保したいところではあります。しかし、これは、大学生、会社勤めをしている人、現役看護師、主婦、赤ちゃんを含む育児中の人、定年で仕事を卒業して、勉強に専念できる人などなど、条件が個人ごとに全く異なりますので、公平な情報ではないかもしれませんが、経験値的に5時間程度が大人の場合、ギリギリの確保可能時間になると考えられます。

例えばこの合格者の方 は、将来の臨床心理士指定大学院進学を見越して、編入されましたが、やはり、主婦の方は5時間という時間の確保は容易ではありません。そのため、小刻みに勉強したり、ちょっとした合間を工夫して時間確保をしてみたりと工夫した上で、合算で5時間という時間的数字を目標にするのが妥当です。もちろん、人によって確保できる時間は異なりますので、自分でできる精一杯という考え方が重要です。

時間確保の際に、むしろ大切と言えるのは、勉強というコンセプトに対する自分自身の見方です。頑張って努力することは、第一義ではありません。限られた時間内で、具体的に何を身につけ、何をできるようになろうとするかの目標設定が第一になります。漠然と単語、漠然と英語、こういった着手の仕方をするとうまくいきません。今の自分の置かれた状況をよく分析して、何時間ひねり出せるかをよく計算して、その時間を具体的にどう使うかを決めることがポイントです。大人であればあるほど、日によって確保できる時間量は異なります。その意味で綿密な時間の計算が必要になります。

確保できた時間はバランスよく配分するのが妥当

確保時間が見えてきたら、次は配分です。例えば、英語だけに時間をかけるとかいった勉強はせず(あまりそういう人はいませんが)、できるだけバランスのよい時間配分が欲しいところです。とりわけ研究計画に追われる時期が来ると、そればかりに時間をとられて、他ができなくなるという声はよく聞きます。大事なことは繰り返すことと継続することです。専門科目、英語、研究計画等の書類作成と、三種目あるとして、確保時間が5時間とすると、2:2:1で分配せざるを得ないと思いますが、どれを1にするかは、時期と能力の成長次第で変わってきます。月ごとの自己査定をしっかりしていると、このあたりは便利になってきます。もちろん、当塾の在籍者は私がある程度査定しますので、それに沿って計画をたててもらう方が妥当な配分ができると思います。

社会人の方でも準備期間は同じくらいです

この時期は社会人の方も相談によく来られます。公認心理師試験が始まって以来、私が大学生の方に聞くのは「単位を取っていますか?」ということですが、社会人の方には、
「Gルートで公認心理師は取りましたか?」
取っていない場合、
「公認心理師は必要ですか?」
必要な場合は、
「通信の編入をして、学部で単位を取る時間はありますか?」
となり、あれば
「編入はいかがですか?」
と流れることが多いです。特に公認心理師は必要ないと言われる方には、臨床心理士指定大学院受験の話をしていきます。そのあと、
「だいたいどの大学院に行きたいですか?」
という質問をします。行きたい大学院が決まっている人は半分もいませんので、まずは行きたい大学院の確認と情報提供からはじめていきます。今もなお、当塾の生徒さんの約半分が社会人の方です。40代は、すべての年齢層の中で最も悩ましい時期です。仕事は重要なポジションにつきつつありますし、それなりに充実してきます。家庭ができて子どもが小さい。今から新しいことに踏み出す勇気がない。年齢を理由に不合格にされるのではないか。今から心理学なんて勉強できるのか。このように様々な不安がよぎって、なかなか一歩が踏み出せないということはあると思います。その中でも、勇気を持って、一歩踏み出そうとした方が次に不安になるのは、
結局、「どのくらいの期間勉強すれば、合格に届くのか」という問題です。京都コムニタスの経験値で言えば、40代、心理学未修者で、合格するまでの期間は平均すると、やはり、8ヶ月程度です。もちろん、様々な面で個人差がありますので、早ければいいというわけではありません。ただ、だいたいこのくらいの準備期間で臨床心理士指定大学院に進めるという目安になると思いますが、現状を見ると、やはり1年くらいは欲しいところです。
また社会人の方は、社会人入試という方法もあります。立命館大学や、京都文教大学は英語が試験科目にない社会人入試を行う全国でも数少ない大学です。こういった入試も選択肢に入れて準備期間を考えるのが妥当です。ただし、最近はほとんど合格者がでていませんので、慎重に考える必要があります。