見出し画像

家族の絆

家族の絆


こんなはずじゃなかった。
穏やかに静かに
暮らすことができると思った。


SOSと聞き
訪れたお宅には
生後7ヶ月のスタンダードプードルの男の子
名前はロンくん。

ケージの中に座って
こちらを見ています。

娘さん3人のご家族で
パパさん以外はみんな女子。

ママさんは華奢な体つきで
大型犬のスタンダードプードルは
パピーといえど
既に13kgオーバーで
体高も高いので
散歩の時も引っ張られると
引きずられる勢いです。

それよりも何よりも
甘噛みの勢いがだんだん強くなり
本気噛みに近くなってくる。


身体中アザだらけになってしまったと
ママさんは言われました。


ロンくんは時々ケージから脱走しては
家中のものを壊し
マスクや靴下を飲み込んで
病院へ走るなど大騒動。

もうどうしたらいいのか
途方に暮れてご連絡をいただきました。

ドッグトレーニングにも通われ
トレーナーさんから
飼い主さんに対してダメ出しの連続で
何が何だかわからず
トレーニングの日が辛い。


でも犬は大人しくなりません。


ケージの扉を私が開けようとすると
勝手に出てこようとします。


ダメ

と伝えると引きますが
またすぐに出ようとします。


また


ダメ


と伝えると引き
3回くらい繰り返したら
もうでてこようとはしません。


それどころか今度は


おいで


と言っても逆に出てこない。


賢い子なので
様子をじっと見ています。


ママさんに色々お話をお聞きしている間も
出てこようとはしません。
結局それから私が帰るまで
出てこようとはしませんでした。


まず初めに
ロンくんがこのお宅へ来ることになった経緯を
お聞きしました。


ママさんのご実家には
子供の頃大型犬と暮らしていたそうです。


暮らしていたといっても
当時は外で飼われていて
家の中では暮らしていない。


今回ロンくんは家の中で
暮らすことになったのに
テレビで見るような大人しい様子は全くなく
家の中が荒らされまくるので
どうしたらいいかわかりませんでした。


パパさんは
犬どころか猫もとにかく動物と暮らしたことが
今まで1度もない未経験者。


犬と暮らすということが
どういうことなのか全く知りません。


家の中で
子犬とはいえ10kg以上あるロンくんが
暴れる、吠える


どんどん動物と暮らすということが
楽しいことからかけ離れていきます。


うるさい
臭い


そんなイメージがどんどん強くなります。


そんな時事件は起きました。


お子さんのマスクを食べてしまったのです。

慌てて病院へ走り
処置をしてもらうと
マスクどころか
靴下もさらにはコースターも出てくる始末


家の中にある家具も齧り
毛布も破り

毎日の散歩もグイグイ引っ張り

どうしたらいいのかわからないご家族でした。


ここでまず考えてみること。


『犬の行動』

それだけに注目していると
原因はそこにある。


と思い込んでしまいます。


犬を直さなければ!
犬をしつけなければ!
犬を!犬を!


犬は飼い主さんや飼い主さんの家族を
選ぶことはできません。


飼い主さんが心から
ウエルカムな状態なら
犬も安心できるのでしょうが

今回は最初動物と暮らしたことの無いご主人が
あまりいい印象をお持ちでない。


その空気を犬たちはちゃんと読んでいます。


ご主人に対しては
とても従順でということなのですが
ウエルカムな空気が感じられず
不安で仕方が無い。


ママさんにそれを理解して欲しいのに
ママさんもこの子を
どう扱っていいのかわからず
されるがままになる。


そうすると尚更犬はどうしていいかわからず
不安がどんどん大きくなる。


人間も同じです。


歓迎されていない空気の家に連れてこられ
ここで暮らすのです。

と言われても居心地がいいはずがない。



不安だとソワソワし
水をたくさん飲みたくなり

飲めばトイレに行きたくなり
水の飲みすぎと
緊張のあまりお腹が緩くなる


ケージでは
体の大きいロンくんは
壊してしまう可能性があり
さらには体の割に広すぎるので
それも不安な原因となります。


まずご提案させていただいたのは
ケージからクレートに変更すること。


ロンくんは
ケージの中で暴れたり
ケージの中に毛布を引っ張りこもうとして
その力でケージが壊れる

いっその事クレートに変更したら
ロンくん自体も自分のスペースが確保出来て
まずは一旦そこなら落ち着きます。


家族にウエルカムじゃなかった上に
ロンくんの落ち着くスペースがないことで
ロンくんの心の中は
いつも不安で落ち着かなかった。


それが問題行動、つまりロンくんの意思表示に
なっていたのです。


人間と同じで
赤ちゃんの頃は寝ることが仕事。


眠っている間に成長ホルモンが分泌され
成長するのに必要な役割を果たします。


普段眠りが浅い犬たちにとって
眠るということはとにかく大切なこと。


落ち着くスペースがなければ
落ち着いてねむれるはずもなく
常に睡眠不足と緊張と不安を
抱えていたというわけです。

~続く~

犬の声をお届けし、あなたの声を犬にお届けします。あなたと犬のシアワセな生活、関係のお手伝いをさせていただきます。