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デンマークのヒュッゲな暮らし

デンマークでの暮らしがあと1週間で終わろうとしている。

書いていない事がまだまだたくさんある。デンマークを離れて風化してしまう前に書き留めておこう。記憶が崩れてしまうのはとても早いのだから。



デンマーク人はハイキングが好きだ。

森を散歩すれば、バックパックを背負った人たちとすれ違い、森の中にテントが張られている姿も珍しくない。

わたしが暮らしている学校でも、"Great Hiking Day(グレートハイキングデイ)"と名がつけられたハイキングイベントがあった。

それぞれ希望の距離を選ぶことができ、もっとも長い距離を選べば100kmを歩くことになる。

100kmハイキングへの熱量は凄まじく、トレーニングとして学校近くの森の中を連日20km近く歩く猛者もいた。

その熱にあてられたいところだけれど、デンマークで足を壊すわけにはいかない。デンマークの後にも旅行が控えているんだ。というわけで、わたしは短い12kmを選択した。

ちなみに、ハイキングをしない学生もたくさんいる。どのイベントも、参加したい人は参加しようね、というのがデンマークの基本スタンスのようだ。

ハイキング当日、雲ひとつない絶好のハイキング日和に、出発地点まで車で運ばれ鬱蒼とした森に降ろされた。そこで、すでに50km近く歩いてきた他の学生と合流した。

わたしを含めて7人の学生がいた。最初は一緒に歩いていたけれど、それぞれ自分のペースで歩くらしく、自然と散り散りになっていった。デンマーク人はいつもくっ付いているイメージがあるけれど、こういう時は個人の時間になる。

事前に教えてもらった地図によれば、途中に休憩所があるらしい。

ハイキング道は、砂浜の砂がまかれており、大変歩き辛かった。いき過ぎたハイキングへの愛なのだろうか。重すぎる。12kmとはいえ足が棒のようになったので、休憩所があるのは大変助かった。

そろそろ休憩所のはずだけれど、地図が指している場所はざっくりしていて、正確な場所までは分からない。一緒に歩いた友人と辺りを見回した。すると近くから、

ドンッ、ドンッ、ダンッ、ダンッ〜〜♪ ダンッ、ダンッ♪

森の中からパーリーをしている音が聞こえた。この辺りは別荘も多いから、近くに住んでいる誰かが昼間からパーティーをしているのか、さすがデンマーク人、と気にせずに歩いた。

少し歩いたところで、前方に学校の友人が手を振っているのが見えた。無事に休憩所に着いたらしい。

すると目の前に広がったのは、リラックスした格好でレジャーシートの上でくつろぐ学生たち。ビールを片手に、デンマークの代表的な遊びである「木の棒を投げ」で遊んでいる。遊んでいたのは応援部隊の学生たちだった。

傍にはやたら大きなスピーカー。もちろんパーリーな音楽がながれている。

ドンッ、ドンッ♪

君たちだったのか!!

ハイキング組も合流して休憩を楽しんだ。
一緒にのんびりしながら、「ああ、これがデンマークなんだな。」と理解した。個人で頑張るときはあるけれど、要所要所で一緒に楽しさを共有する。きっとこれが、ヒュッゲなんだろう。

デンマーク人たちの心地よさを追求する姿勢はすごい。

学校ではみんな寮生活をしている。どこからともなくプールがあらわれ、焚き火があらわれ、バーベキューセットがあらわれる。寮のなかには、蝋燭はもちろん、植物や額縁に入ったポスターがいつの間にか置かれているのだ。

そして心地の良い空間を、仲間と一緒に共有する。

彼らは、そんな心地いい瞬間を「ヒュッゲ」と呼んでいるようだ。

ヒュッゲという言葉を理解したら、急に思い出したことがある。

昔の同僚たちと、公園でピクニックをしたこと。

飲み会で騒ぐのも好きだけれど、公園でのんびりしながら食事をしたことは、飲み会で得られる一瞬の狂乱とは別の心地良さがあった。

突き抜けるほどの青空だった日に、友人と芝生に寝転がったこともある。

外国人の友人に東京案内をしていたら、皇居近くの公園に爽やかな緑の広がる芝生を見つけた。あまりにも綺麗だったので、二人して寝転んで、お互いなにも話さず空を眺めていた。


心地のいい瞬間。

そんな瞬間に「幸せ」を感じていた。





お読みいただき、ありがとうございます。
次の記事でお会いしましょう。

またねー!

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