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センスメイキング ~手を動かして語り、違いを認め合うから腹落ちできる~

昨日は久しぶりに、模造紙とふせんを使ってのワークショップでした。
とある会社の新年度のキックオフです。他の会社さんより、ちょっと早めなんですね。マスク着用、手洗い励行、窓は開けっぱなし…という状態です。ここのところ、暑いくらいなのでかえって良かったです。部屋中の壁を模造紙とふせん紙で埋め尽くしました。

手を動かし、考えることで解釈が深まる

こうしたキックオフセッションは数多くファシリテーションしていますが、「こればっかりやっていたい」と思うくらい、ワクワクするし、気づきの多い場です。いずれの会社でも概ねやることは同じで、「社長や経営陣が、経営計画を発表し、それを各自が咀嚼して、自己の目標に落とし込む」です。この一文だけだと一つもワクワクしませんね。でもこの場に来るとワクワクします。思いを話せる仲間がいるからです。誰かの話を受けて、別の誰かが自分の思いを話す。時々悩むけど、模造紙を見直しているうちに言いたいことが見つかる。「これだ、これをやりたいんだよ」、そんな発見が生まれ、各自が自分の仕事の意義を見出していく。そんな時間を過ごして最後は、互いに期待することを交換し合う。そして、「今期もやるぞ!」となります。いわゆる「腹落ちしている状態」です。

こうした場を設計するときに意識するのが手を動かして考えるということです。実際に書き出したり、ふせんを貼ったりしながら考えることで自分なりの解釈が深まっていきます。

違いを認め合うからワクワクするゴールが見出せる

また、その作業は仲間と共同しながら行います。すると少しずつ違った捉え方をしていることに気づきます。例えば、「品質」という言葉一つとっても、それぞれが違った捉え方をしていたりします。

ある人にとっては、お客さんを喜ばせるための商品の出来栄え。
ある人にとっては、ばらつきのない、いつでも同じ状態にできること。
ある人にとっては、わが社の仕事への取り組み姿勢。
ある人にとっては、利益の出る高付加価値商品。

立場や役割の違いによって「品質」の意味合いが異なるのです。
普段の仕事では、立場や役割の違いは利害関係となって表れることもあります。そして、壁をつくってしまう。部分最適に陥るわけですね。しかし、この場では、違いを見出して、お客様に商品・サービスを届けるためのストーリーを紡ぎ出すことができます。それは、会場の壁を覆い尽くさんばかりに模造紙が貼られる状態になるからです。一人ひとりの考えが貼り出され、普段は見えない「品質」の捉え方の違いを感じることができた結果なのです。


腹落ちするとはつまり、互いに意味を見出すセンスメイキング

こうしたプロセスを組織論では「センスメイキング」と言います。

入山教授のこの分厚い本にはこんな図があります。

スクリーンショット (97)

まさに、この①②③のプロセスをワークショップでは行っていると思います。詳細は同書をお読みいただければと思いますが、センスメイキング、つまり腹落ちの一番のポイントは「行動して環境に働きかける」ところだと思います。

「今期の経営計画をどうやって腹落ちさせるか」と悩んでいる社長さんは大変多いです。その時に取りがちなのが、自分の解釈・意義づけを正確に理解させようとすることです。それは無理があります。やらされ感だけがつのります。そもそも他者の考えていることをまったく同じように理解することはわたし達にはできません。そうではなくて、話を聞いて、半信半疑ながらもやってみることで体感できることがあります。そこで初めて「なるほど、そういうことか」となるのです。

ぜひ、来期の経営計画発表の場では、こうした手を動かして語り、違いを認め合うプロセスを取り入れていただければと思います。

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