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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2020年8月の記事一覧

自主経営の重要性

現パナソニック創業者の松下幸之助氏は、「自主経営」の重要性を説いていました。書籍「実践経営哲学」を参照すると、「自社の経営を成す資源は、十分な見通しを立てた上でゆとりをもって、自社内で確保することが必要」ということが説明されています。先日、ある企業様でお聞きしたお話が、この自主経営の考え方に通じるものがありました。 同社様では、以前生産設備が故障し、その期間の受注分の生産を他社に外注することで、納品を続けたことがあったそうです。原因は設備メーカー側による不備だったようですが

学びを何に変えるのか具体的な目標を定める習慣を持つ

ある会社様から経営幹部育成プログラムの検討を依頼されています。その際に社長さんが「イケイケでやってきている連中だけど、筋は悪くない。要は、他のやり方を知らない。マネジメント手法を通りいっぺんでも良いからインジェクションしたら変わるんじゃないか」。そんなことをおっしゃいました。 70:20:10の法則「インジェクションですか?」 ニュアンスは分かるけど、注射…? どういうことなのか分からず問い返しました。どうやら、知的刺激を注入することをイメージされていたようです。 なる

人事評価によって、自分のありたい姿を常にアップデートする

人事評価は、何のためにあるのかと言えば、働きがいを最大化するためのものだとわたしは考えています。こう言うと「昭和の人だね」と言われるのですが、わたしは「仕事の報酬は次の良い仕事」だと考えています。目の前のことに真剣に取り組んで、その成果が認められる。だから、より付加価値の高い仕事を期待されていくわけです。結果、どんどん良い仕事をしていこう、もっと役に立とうとなっていくわけです。 MBOには「S」が隠れているそこで仕組みとして、目標管理というものが出てきます。目標を持って日々

企業理念の浸透度合い

先日、いくつかの企業事例を聞く機会がありました。そのうち、対照的だったA社様とB社様の事例が印象的でした。どちらも、「世のために尽くす」ということを企業理念として掲げられています。 コロナ禍の4月以降、A社様においても業績に大きな影響が出始めました。不安も広がる中ではありましたが、経営からの指示を待つことなく、社員が積極的に動き始めたということです。現場社員自ら様々な提案を出して実行したそうです。 いち早いオンライン商談への切り替え、お客様への現状確認、コロナ対策環境の整

賃上げ要望

先日訪問した企業様で、社員から賃上げ(ベースアップ)の要望が出ていると聞きました。コロナ禍の環境がどういうことか、そして会社や自分たちが置かれた状況に対して、あまり理解していないようです。 それはさておき、ベースアップについて改めて考えてみたことを、今日はテーマにしてみます。 ベースアップを行うにふさわしい状況は、下記のいずれかあるいは複数が当てはまる場合ではないかと考えます。 1.組織の売上・利益の増大が継続的に見込める時(もしくは継続的に増大させると強く意思決定する時

「共感レンズ」を装着する

私が、コンサルタントとして意識していることとして、「お客様が向き合うべきことに向き合っていただく」というのがあります。 これには二つ理由があります。 ひとつは、解決の主体は本人である もうひとつは、自ら気づかなければ、人は実行しない と考えているからです。 共感とは能動的な行為であるお客様が向き合うべきことを見つけるためにしているのは「共感レンズ」を目に装着することです。もともと、すぐ感情移入してしまう方ですが、それだと同感や同情になってしまいます。なので、お客様と接して

新入社員の定着

先日、ある製造関係の中小企業様を訪問する機会がありました。 同族経営で長らく小規模・地道な生産活動をされていた企業様なのですが、数年前から業容が拡大しています。それに伴い、2年前から新規学卒社員の採用を始めたそうなのですが、このことに関するお話が示唆的でした。 コロナ禍の影響で今後の採用市場も変化があるかもしれませんが、基本的に企業にとって採用難であることが、昨今の採用市場の環境です。 その環境下にあって、同社様ではノウハウがない中で2年前から新規学卒社員の採用を始め、採

育休世代のジレンマ

「育休世代のジレンマ」。以前、別のところで書いた「人事の成り立ち」の中で紹介されていた17冊の本の一つです。 育休世代の女性15名へのインタビュー調査をもとにそのジレンマの内容が綿密に描かれています。著者が、育休から職場復帰の時期にかけて修士論文として書いた内容を新書にしたものだそうです。とても生々しく、あれこれと考えてしまいました。 夫は職場よりも、戦略的に選びにくいこういう部分だけ切り取ると、誤った印象を与えてしまいそうですが、印象に残ったうちの一つが「夫は職場よりも

PDCAは古い?

8月11日の日経新聞で、「不測の時代の良い会社 まだPDCAですか」という記事が掲載されました。プラン、ドゥー、チェック、アクト(計画、実行、検証、改善)のサイクルで経営を進めていては、時間がかかって環境変化にもついていけないという問題提起です。 同記事では、下記のように触れられています。(一部抜粋) 「時々刻々と状況が変わるこの局面でPDCAはどれだけ有効なのだろうとの疑問が正直ある。世界を覆うコロナウイルスの感染拡大がいつ収束するかが見えず、異常気象の追い打ちも続く時に

好業績の決算内容から考える

8月7日の日経新聞で、トヨタ自動車、任天堂、メルカリといった有力企業の直近の決算発表について取り上げられていました。これらの会社が黒字であったと紹介されていたのですが、今年前半の環境下で黒字実現というのは、やはり評価に値するでしょう。 企業の永続的な社会貢献を可能にするために、利益は重要です。利益を出すためには、突き詰めるとシンプルに2つに行き当たります。売上を増やすか、費用を減らすか、あるいはその両方です。 トヨタ自動車は、国内外の自動車会社が総じて巨額赤字の中、4-6

お客様から学ぶ組織の作り方

企業は、商品・サービスを生み出しているわけですが、お客様にその良さを見出していただかないと儲かりません。どんなに優れた技術があっても、それだけでは、お客様の役に立たないのです。お客様が何を求めているのか、素直に理解し、商品・サービスとして提供しなければなりません。そして、何より重要なことは、提供する立場の自分たちでは持ちえない視点をお客様は持っているということです。その視点を取り入れることで、自分たちの当たり前を変えていくことが大切です。それができない、変わることのできない組

聴く耳を持つ方法

前回の投稿では、リーダーとして聴く耳を持つことの重要性についてについて取り上げました。ここでは、聴く耳を持つためにどうすればよいかについて考えてみたいと思います。 私たちは、特にリーダーの立場であれば「聴く耳を持つこと」の習慣化は重要だと感じていながらも、なかなかできないものです。「部下の意見を聴くように意識する」のは大切ですが、意識するだけでは実行が難しいからです。そこで、(半ば強制的に)実行するための仕組み化もできるとよいと考えます。 社内における仕組み化としては、例

同族経営について考える

先日、ある医療法人様の理事長とお話をする機会がありました。 地域医療に対し思い溢れる「使命感」と確かなリーダーシップで、同法人を飛躍的に成長させてきた理事長です。 その理事長は、創業者ではなく、創業者の跡を継がれた後継の経営者です。 日本では、創業者の家族や親族が株を所有したり、経営を担ったりする企業は「同族企業」と言われて、ネガティブに捉えられる傾向があります。しかし、世界的に「ファミリービジネス」と呼ばれるこの形態は、実はポジティブに捉えられていることを聞いたことがあり

人事の成り立ち

メンバーシップ型から、ジョブ型へ移行すべきという議論が一部で起こっています。日本型雇用の限界という言い方もされます。この手の話は、本質がよく分からないままにある一部分の問題点やメリットだけが切り取られて、○○は時代遅れだ、これからは△△の時代だと言われることが多いですね。 といいながら、わたし自身その本質が理解できているのか、そんな問題意識もあって、積ん読になっていた「人事の成り立ち」を読みました。 「誰もが階段を上れる社会」の変遷から働き方の課題に迫る良書この本では、戦