第145話 「入れ替わりトリック」
「えっ、何? フクシュウする??」
眉根にしわが寄り、私は肉を切り分けていたナイフとフォークを止めた。
運ばれて間もない骨付きステーキがふた皿、まだテーブルの上で熱気を放っている。
視線を上げると、頬をお肉で膨らませた香澄が、「ほうなのよ」と返す。
「えーっと、予習の対義語じゃなくて。この恨みはらさでおくべきかの?」
頷くと、彼女はワインを飲んでからハッキリとした口調で言った。
「復讐よ」
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2020〜2022年に投稿した意味怖を載せるマガジンです。
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