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【カレーレポ】高円寺 かりい食堂の魅力を語らせてくれ

誰かとカレートークをしているときは「かりい食堂はマジでかっこいい」「多分死んでも成仏しないで通い続ける」という旨の話ばかりしている。


かりい食堂とは

2019年12月オープン。東京都杉並区高円寺にあるカレー屋。
「スパイスフル」をコンセプトに掲げた鮮烈な香りのカレーは、カレー店が多くある高円寺の中でも異彩を放ち、根強いファンからの支持が熱い。

店主の増川さんは、2007年頃から独学でスパイスからカレーを作りはじめ、2016年頃からサラリーマンをやりながら、間借りカレー「仮居食堂」を月に1度のペースで営業。
2019年、現店舗であり、当時間借りをしていた高円寺の「ツバメおこわ」の移転が決まり、お店のテナントが空くことに。それをきっかけにサラリーマンを辞め、ツバメおこわと入れ替わる形で「かりい食堂」を開業させたそう。

僕はかりい食堂が大好きなんですよ

「一番好きなカレー屋は?」

カレーをやっているとしばしば訊かれる難しい質問。
自分はそもそもカレーやインド料理を実はそんなに食べ歩かないので、知っている店がカレーマニアの皆さんと比べて多くない。あとは尺度によっても一番が変わるので、一概には言えなくて困ってしまう質問だ。

というわけで ”一番好きなカレー屋”は答えられない。
けど、"一番食べに行っているカレー屋"は間違いなくかりい食堂だ。


少し話が逸れるけど、自分はカレーに限らず、何かに強く惹かれてファンになるということがほとんどない。もちろん好きなカレー屋さんは沢山あるし、どのお店もとても尊敬しているけど、すごいカレーに出会ったとき、
「好き!応援したい!」という感情より、「スゲー!これ吸収してぇー!」という感情が湧いてしまう。
どこかで常に「強者を糧とし自身を強化したい」という気持ちがある。メルエムかよ。

なので、"毎週のように店に通い詰める" "レシピ本やTシャツ等カレー以外のグッズも買う" "イベント出店はどこでも駆けつける"みたいな、いわゆる「推し活」は基本しないタイプ。
何をするにしても、”受け手ではなく送り手でありたいし、応援するより応援されたい”と思ってしまう自分は、「熱狂的なファン」をやってる人の気持ちを正直理解できてない…。(別にディスる意図はないですよ)


しかしそんな自分も、かりい食堂に対してだけは話は別だ。
誰かとカレートークをしているときは「かりい食堂はマジでかっこいい」「カーリーチキンカリーは年々深化(進化)している」「多分死んでも成仏しないで通い続ける」という旨の話ばかりしているし、何ならかりい食堂リスペクトカレーを作ったこともある。

さっき「ファンやる気持ちわからん」と書いといて、自分もバッチリかりい食堂に惹かれていた。完全に"熱狂的なかりい食堂ファン"である。ロゴTシャツとか出してほしい。マジで。


僕がかりい食堂に初めて行ったのは、2020年の5月。
当時「トルカリ高円寺」という、かりい食堂からすぐ近くのバングラデシュ料理店を間借りしてコバタロカレーをやっていたので、オープン当時からかりい食堂の存在は知っていたけど、自分が営業している時間と被っていたのでなかなか行けずにいた。
そんな中、コロナの影響で間借りが一時休業状態になり、周りのお店もテイクアウトメインで自粛ムードの中、かりい食堂はイートインで食べられるということで行くことに。やはりスパイスフルなカレーを味わうなら店内でフレッシュなものをいただきたい。

そして、その時初めていただいたカレーに胸を打ち抜かれた。脳天を突き抜けるような鮮烈な香りのカーリーチキンカレーに当時衝撃を受けた。 完全にくらった。
「とりあえずカルダモンチリブラックペッパーを多めに入れとけばオッケー」みたいな安易なスパイシーさではなく、ほんのりビターで幾重にも絡み合うスパイスの香りが魅惑的なこの一皿は、どこのお店でも出会ったことがない唯一無二の味だった。

2020年5月に食べた初かりい食堂のスペシャルかりいプレート。
今みると見た目の雰囲気が今と少し違っていて、日々アップデートされていることがわかる。

その衝撃的出会いがきっかけで定期的に通うようになり、今ではすっかりかりい食堂ファンだ。


かりい食堂の魅力

熱狂的かりい食堂ファンの熱い気持ちだけはここまでで伝わったかもしれない。

ここからは「なにがそんなに良いの?」というところをもう少し具体的に伝えていきたい。

①脳天を突き抜けるようなスパイスフル

かりい食堂のメインコンセプトは「スパイスフル」
看板メニューである「カーリーチキンカリー」は、まさにスパイスフルそのもの。惜しげもなく大量に多彩なスパイスを駆使して作られたカーリーチキンカリーは、鮮烈かつ複雑な香りで唯一無二の味わい。
17年間レシピを進化・深化させ続けているというカーリーチキンカリーには、店主増川さんの紡いできた歴史・思想がギュッと詰まっている。

大久保の魯珈や福岡のアフターグロウなど、スパイスがビシッと決まったカレーが好きな人は気にいると思う。かりい食堂は、この二店とはまた違う方向性のどっしりとしたスパイシーさなので、食べたことない人はぜひ行ってみてほしい。

この黒さよ。しっかり炒めた玉ねぎと大量に入ったスパイス由来の色だそう。
シード系のホールスパイスも大量に使われていて、噛むたび口中で香りが弾ける。

②流行りや現地感にとらわれないかっこよさ

キャロットラペや紫キャベツのマリネが添えられたあいがけスパイスカレーや、10種類近くのアイテムが所狭しと乗ったミールスが流行る昨今、かりい食堂のメインメニューであるかりいプレートは、

「メインのカレー・副菜2種・ダル」

という、トレンドを抑えつつもあざとくない潔い構成をしている。もっと色鮮やかな副菜を添えて映える盛り付けにするのは簡単だけど、味のバランスを第一に考えるからこそこのビジュアル。

余計な装飾を排して無駄のない形態・構造を追求した結果、自然にあらわれる美しさ。まさに機能美。まじでかっこよくないですか?

必要十分な構成がとてもかっこいい。

内容面で目立つのは、ワンプレートの中で様々な国がルーツのカレーや副菜がのっているところ。

・南インド風カーリーチキンカリー(または月替わりの限定カレー)
・スリランカ風豆カリー
・中華風にんにく芽のポリヤル
・バングラデシュ風キャベツとじゃこのチッチョリ
・日本の五分づき米

インド・スリランカ・中国・バングラデシュ・日本と、それぞれ別の国の料理をかりい食堂流にアレンジしたアイテムたちが一皿に乗っている。
現地系が好きな方からしたら「複数の国の料理が一緒にのるなんて邪道」とか「統一感がなく味がケンカするじゃないか」と思うかもしれないが、実際食べてみると、見事に一つの料理として一体感をもって調和している。

メインのスパイスフルでほろ苦いカーリーチキンカリーを、白米の甘味と玄米の食感をあわせ持つ五部づき米が受け止め、優しい甘味の豆と玉ねぎのカリーが箸休めの役割を果たし、にんにく芽のポリヤルの中国醤油っぽい香ばしさ・キャベツとジャコのチッチョリのマスタードオイルのツンとした清涼感のある香りが良いアクセントになっていて、一皿全体のバランスがとても良い。
カオスな一皿に見せかけて、実は緻密な計算のもと設計された一皿なのだ。

増川さん曰く、「料理工程はロジックが99%、そしてマジックが1%。理屈が美味を形作る。しかし、最終的にはマジックが混沌の中にある種の秩序を生み出す。」

各素材の尖った特徴を活かしつつまとめ上げるのが増川さんの凄いところ。

③底が見えない唯一無二の限定カレーたち

インド・ネパール・パキスタン・スリランカなどの印度亜大陸だけでなく、和食・洋食・中華、時には音楽やファッションからもインスパイアを受けて作られる底知れぬルーツが複雑に絡み合った限定カレーたちは、増川さんにしか作れない独創的な味わい。どれも本当に美味い。

特に好きだった限定を3つ紹介。

納豆と厚揚げの発酵キーマ(右上)
ヨーグルトや八丁味噌など発酵由来のうま味を存分に生かしたカレー
砂漠の赤い羊(右上)
西インドラジャスタンのラールマースを元に作られた赤いマトンカレー
一日限定の漆黒のビーフカリー「黒の衝撃」
ファッションブランド・コムデギャルソンとヨウジヤマモトから影響を受けて作られたカレー
一皿2500円だが、衝撃の美味さで価格以上の体験だった。

最近は月替わりの限定カリーに加えて、月に一度1日限りの「超限定カリー」を提供している。
手間暇を惜しまず、食材の質も妥協なしのリッチなカリーを提供している。

3月「ど煮干しバッファロー」
4月「黒の衝撃」
5月「プレミアム・カーリーチキンカリー」

ときて、6月の超限定カリーは「ダブル・ポークビンダルー」をやるらしい。

…おや?ダブルとはどういうことなんだ?


だいじニュース

2023年6月13日(火)夜 かりい食堂×コバタロカレーで一夜限りのコラボをします

そんな大好きなかりい食堂でなんと、一夜限りの超限定コラボカレー「ダブル・ポークビンダルー」を出すことになりました!

かりい食堂・コバタロカレーがそれぞれ作った独自のポークビンダルーとそれに合わせた副菜を合いがけで提供します!

めちゃくちゃ嬉しい!!!!!!!
カレーやっててよかったな…。ファン冥利に尽きる…。

実はかりい食堂に通いながら、おこがましくも自分のカレーをたまに差し入れして食べていただいていたこともあり、ありがたいことに今回増川さんからお誘いを頂き、即「やります」と返事をして、今回の企画が実現。

「学生の頃から聴いていた憧れのバンドと対バンする」みたいな感覚だ…。

「ダブル・ポークビンダルー」※限定30食

先日試作を持ち寄って撮影兼試食会をした。
ふるえるほど美味かったです…。

同じカレーを合いがけにするってどうなの?と思われるかもしれませんが、今回の「ダブル・ポークビンダルー」は、使用する肉の部位・調理工程・スパイス構成が両者全く異なる、明確に方向性が違うポークビンダルーに仕上がっています。

先日試作を食べたのですが、かりい食堂とコバタロカレー各々の個性の違いがカレーに顕著に表れていてとても面白いです。そしてめちゃくちゃ美味かったです。

ちなみに、
かりい食堂は「一晩マリネした肩ロースとバルサミコ酢を使った重厚感のあるビンダルー」
コバタロカレーは「低温調理65℃でジューシーかつトロトロになるようじっくり火入れしたバラ肉が主役の肉肉しいビンダルー」
です。

どちらも銘柄豚を贅沢に使い、手間と時間を惜しまず作るポークビンダルーに、旬の国産野菜を使った副菜も付いてくる妥協なしの超豪華な一皿です。

一皿3000円。限定30食です。

決して安くない価格ですが、他では食べられない最高のポークビンダルー体験をお約束します。

ということで、6/13(火)ダブル・ポークビンダルーナイト、お待ちしております。

※ダブル・ポークビンダルーについての追加情報は随時Twitter・Instagramで発信していきます。

そして、通常営業のかりい食堂のカレーもこれを機にぜひ食べに行ってほしい!


最後まで読んでいただきありがとうございマサラ。

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それではまた別の記事で。皆さまのキーマカレーライフが充実することを願って…。フィルミレンゲ~。


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