けぶり

文章ともつかない文字列を作るのが趣味です。 日記と書き散らしを載せてゆきます。

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最近の記事

独が回るまで

どうしたんだい、そんな顔をして。 けむりは体に悪いのですよ、と顰めた顔を隠さず言ふ あんたね、あたしがどうして吸っているのか知らないから言えるんだよ。 鈴が揺れている簪。好い人に貰った簪。あたしの手の届かない所で揺れる、簪。 あんたを好いているやつが、その簪を贈った男だけだと思うんじゃないよ。 煙草は近くの人間にも死に至らせる力があるらしい。 だからお前の前で吸うのだ。お前の最期の理由になるために。

    • 私の周りの人間は、

      なんだかどうも自分の価値がわかっていないのだ。 自分は最悪だの才能が無いと言う口から、最高に光ったセンスの語彙が並べ立てられるのだから。 私はもう呆れてしまって、それに、その人にとって私の言葉など無意味なのだと散々知っているので、毎度口を噤むのであった。 「あなたにはきっと表現をする才があるのね」と言ったら「そうは言うんだけどね、それは違うんだ。僕はね、認められる才が欲しいのだよ」 なによ、私からの言葉じゃ認められたことにはならないのね。 ほんとう、寂しくてやんなっち

      • 生きを留めて

        嗚呼、私はいきをとめている。 溺れぬよう縋って、繕っている。 何たる無様で滑稽で、格好悪い姿だ。 この矮小な私は、この小さな手によって深くふかく沈められると、みっともなく泣きじゃくってしまい、こうしてまた愚かにもすがってしまうのです。

        • さす紅

          あなたに触れて、先にあるものは紅 揺れる鈴がしゃんと鳴らした簪。 好い人に贈って貰ったのよ、なんて 私がさす紅、この後落ちる 憎き彼奴に移るのでしょうか 好い人になれないのよ、おんなのこは わかっているくせに、それでも私に構うのね 酷い女よ、あなたが幸せならそれでいい。 祝いの言葉の裏側を、どうか見ないでね 白装束の綺麗なあなた 滲む視界で霞むせいで、歪んだ 餞にさす紅

        独が回るまで