スポーツマンの品格
朝起きたら、また金メダルが増えていた。
オリンピックの中継をそれほど熱心に観ているわけでもない。
毎晩観ていたら、体がもたない。
1976年のモントリオールオリンピックをきっかけに、体操ファンになった。
ルーマニアの妖精コマネチや塚原光男さんを夢中で観ていた。
2日前の体操男子団体、
真夜中なので最後まで観るか迷ったが、見始めたら、途中でやめられなくなった。
結果的に日本の大逆転の瞬間を目撃することが出来たのは、ラッキーだった。
新聞やネットでも話題になっているが、この中継で忘れられないシーンがあった。
橋本大輝選手は最後の鉄棒演技を高得点で終えた。
会場はワーッと沸いたが、彼は唇に指を当て、しーっ、お静かにという仕草を見せた。
次に演技をする中国人選手への配慮だった。
今どきの選手は技が決まれば、大きくガッツポーズ、
雄叫びを上げたり、競技の前に観客を煽ったりして、拍手や歓声を求めることもある。
それはそれで、皆を巻き込んで盛り上げる今風のやり方だと思うけれど…。
中国人選手の鉄棒の2回の落下はまさかだった。
正直あのミスがなければ、日本は銀メダルに終わったと思う。
百戦百勝の人はいない。
負ける人がいるから、勝つ人がいる。
橋本選手のあの振る舞いに、スポーマンシップと奥ゆかしさを感じた。
個人的にオリンピック史上に残る記憶となりそうだ。