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⑪水の確保と高度プランニング ~アパートの庭エディブルガーデン化プロジェクト~

水やりをしたい範囲が大きくなってくると、水をどう確保するかも超重要事項。

特にこの庭には外に蛇口が無い(!)ので、水道の水を使おうと思うとキッチンの蛇口からなんとか外に引っ張って来る仕組みを作るか、水道工事をして外に蛇口を作るかしかない。

何より水道料金がバカにならないので、なるべくお金がかからず楽なシステムを作りたいと思います...!


Catch and Store Energy(エネルギーをキャッチして蓄えよう)

パーマカルチャー第2の原則(デイビッド・ホルムグレンが提唱する第2原則)は "Catch and Store Energy"

水に限らず、必要なものをどう "Catch and Store":キャッチして貯めておくかを考えることは、効率的な空間デザインに欠かせない要素です。

水やりの水を経済的&安定的&豊富に確保するためのワザはいくつか学んできましたが、当然ながら場所によって適応できるものとできないものがあります。

好きなだけいじって問題ないない大きな敷地であれば穴を掘って溜池を作ることもできるし、川や湧き水が近くにあればそれを引っ張って来ることもできる。

以前パーマカルチャー関西のワークショップで実践した方法で、「樹冠流を利用する」というのもある(木の幹に布を括り付け、面積の大きな葉から表面張力で幹に伝ってくる雨水を集める方法)。

パーマカルチャー関西のワークショップより
みんなで試行錯誤を重ねて、樹冠流を利用するシステムが完成

現状そのどれも無い(いじるのはオーナーがびっくりしない範囲にする必要あり、川と湧き水は無い、木をむやみに植えられない)このアパートの庭で、手間もお金もかけずにどういうことができるか考えます。

できそうなこと4選

やっぱりまず観察してみるのが大事だと思ったので、大雨の日にこの庭を眺めてみる。
すると、改めて水が流れる方向や豊富に水が溜まる場所、排水口の水量などいろいろ見えてきました。

生活排水の利用も視野に、もしかしたらこんなことができそう↓↓

  1. 雨水がまとまって流れてくる土管の下の排水口にバケツを置いてキャッチする

  2. お風呂の残り湯を抜かずにとっておいてバケツで運んで利用する

  3. 米のとぎ汁を含め、洗剤を使わない際のキッチン排水をキャッチする

  4. 三角形のメッシュ生地を使って雨水をキャッチする

やってみた結果

1 はバケツを置いても排水口の水は問題なく左右を流れてくれたので、早速トライ。

結果、たまに流れてくる大きな枝葉が引っかかって、やがて重さでバケツごと流されたので却下(苦笑)。

草マルチにぴったりの資源がどっさりなので、しっかり取り出して活用します。

2 は残り湯を活用できるというだけでなく、人が入浴して時間が置かれた残り湯は水道水に含まれている塩素などの化学物質が比較的抜けた状態になるので尚Good。
バケツに汲むのは動線的に大変すぎることもないので、毎朝の日課にすればいい運動になりそう。
庭とは関係ないけれど、洗濯にも併せて活用。

3 はシンクにタライを置いておけば簡単にできるけれど、洗剤を使うときにいちいちタライをどかすのがかなり面倒そう。
油汚れにも、土に返して大丈夫な洗剤にするのが一番ですね(米糠が超優秀!)。

ご飯に混ざってる黒いのは、うちでは炭を混ぜてるから

4 は樹冠流と同じ発想で、水の表面張力を活かして三角形の布に雨水を伝わせて雨水を回収する方法。
メッシュがいい理由は、風を通すのであおられにくいこと。今回は時間が足りないので設置はまた今度!

高度プランニングとAnimals above Plants

検証の結果、とりあえず 2. と 3. はすぐ日課に組んじゃってシステム化することに。

居住空間が庭よりも高い位置にあるので、重力を活かした楽な残り湯の移送方法が作れれば良かったですが、お風呂が庭から最も遠い位置にあって難しいので今回は断念。

こういうふうに、エネルギーのCatch & Storeのために重力と落差を最大限活用できるデザインをすること(など)を「高度プランニング」とも呼びます。

また「Animals above Plants(植物の上に動物が居るデザイン)」というのも高度プランニングの文脈でよく言われます。

鶏やヤギなど動物を飼うなら畑よりも高い位置に住処をつくると、栄養となる排泄物が重力と水の流れで自動的に斜面の下の方へ流れて畑が豊かになる、という考え方。
人間活動から出る生活排水の利用も例外じゃないということですね。

そしてやっぱり、生活排水だけじゃなく雨水を収集する仕組みは作りたい。

雨水の収集

地球上の水は動植物の体内、水蒸気、雨や雪、河川、池や湖、ダム、地下水、海へと場所と形を変えながらぐるぐる循環していて、どの状態の水をキャッチするのが理想だろうと考えると、まずは雨水なんです。

「接する全ての水溶性の物質を溶かし込む」ことが水の重要な特徴のひとつなので、人工的な汚染物質が最も少ない水の状態は、大気汚染があると言えどやっぱり雨水

飲み水としてはもちろんのこと、畑に入れる水としても雨水は優秀なはず。

水道水を水やりに使うときは、置けるなら一定時間置いた方が塩素が抜けて野菜に嬉しい水になるらしいです。

なのでまた時間作って、④の設置で雨水を効率的に溜められるようトライしたいと思います!

あとはオーナーやご近所さんと親しくなることでいじれる度合いを徐々に拡大していく、というのも一番根本的な「この場所を豊かにする方法」でしょうね。

他にこの場所でできそうなことが思いつく諸先輩がた、アイデアありましたらぜひご教示ください◎

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#日々の大切な習慣

with ライオン

8月初旬から夫婦でCamino de Santiago巡礼の旅に出ています。出費はできる限り少なくしている旅なので、サポートは有り難く旅の資金にさせていただきます。ですが、読んでくださったり反応をいただけるだけで、一緒に旅している気分になって十分エネルギーをいただいています。^^