ドランカーズ・ハイ【Wuah日報】
酒を飲んでいる。
かつてバーテンだったオレと酒との付き合いは深い。
最初の出会いは、確か2歳か3歳のころ。
後に家族を捨てて出ていったクソ野郎となる親父が、まだちゃんと父性を発揮していたころのことだ。
親父が晩酌に飲む酒は、決まってウィスキーだった。
物心つく前だったのでさすがにうろ覚えもいいところだけど、なんとなく黒い瓶だった記憶があるので「サントリーオールド」なんじゃないかと思う。親父がちびちびと大事そうに飲んでいた記憶に残っていて、だからオレはウィスキーに憧れ、「オレも飲みたい!」とせがんだ。
ごくフツーの親だったら「大人になってからね」と諭すところだろう。2歳~3歳の子どもに、40度のアルコールはトゥー・デンジャラスだ。
だが、オレの親父は豪胆だった。オレがせがんだその日から、毎晩晩飯の時にウィスキーを飲ませてくれるようになったのだ。
ハードボイルドなギフト。
オレは小学一年生くらいから「デビルマン」を読破してしまうほど大人びた趣味を持っていたが、このアダルティスな趣味は、このウィスキーが育んでくれたと言っていい。
あの時飲んだウィスキーの甘く、ビタミンテイストな味と炭酸の刺激が、オレにアダルティスな魅力をくれたのだ。
──ちなみにこの話には後日談がある。
その後小学生に上がったオレが、スーパーでばーちゃんに買ってもらった飲み物と、ウィスキーの味が一緒だったのだ。
その飲み物の名前はオロナミンC。
そのころには既に親父は家を出ていっていたので、親父への責任追及はしていない。恐らくオレの親父はウィスキーと偽ってオロナミンCを飲ませていた罪悪感から、家を離れてしまったに違いない。
子どものころからオロナミンCを飲んでいるおかげで、オレは今日も元気ハツラツだ!
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