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ある掛け持ちサポとされる人間の独白

最初に断っておきたいが、この文章を以て一つの結論ではないし、数多ある考え方の一つに過ぎない、とお思いいただくと幸いだ。

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私も含めて、特定のスポーツの国内リーグに於いて複数のチームを応援している、という立場の人はわりといると思う。

ご存知の方も多いかもだが、私は、ガイナーレ鳥取を軸として、湘南ベルマーレだとか、SC鳥取ドリームス、さらには女子のディオッサ出雲FCとか、フットサルF2リーグのポルセイド浜田なども応援している。
これ以外にも、過去も含め、同時並行的に応援したチームがいくつかあり、また、シンパシーを抱いているチームは、ここに名前を挙げた以外にも多数あって、そういう状態を全く疑問に思ったことはない。

私自身はその語はあまり好きではないが、語への個人的な好悪はひとまず置いとくとして、一般的にはこういうのを……

掛け持ちサポ

……と称するようである。

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例えば、ある人が「私は川崎フロンターレも、モンテディオ山形も、AC長野パルセイロも、鈴鹿ポイントゲッターズも、FC徳島も、七隈トンビーズも、どのチームも全て等しく応援している」と仮に言ったとしよう。
なお、今ここに名前を出したチームに特に理由はない。全国から適当に選んだだけに過ぎない。

ともあれ、このような状態を問題視などせず、是認してしまうか、そもそも自分には無関係と見る人もいる一方、これを由々しき事態で、到底是認できないと怒りを露わにする人もいると思う。

例えば……。

応援するチームは一つにするべき
……と、口にした方の節操のなさを詰る声があったり、

もし応援するチーム同士が対戦したらどうする?
……などと、大きなお世話を焼いてくださる人がいたり、

それぞれのチームに対する忠誠心がない、または薄いに決まっている
……などと、もっともらしいことを言って論評してくださる人もいる。

まあ、いずれも「大きなお世話」の一言でカタが付くものだが、そんな感じの文句を言い出す人はいると思う。これらのみならず、応援チームを多数有することを良く思わない理由は多々あろう。

人の思いというのは得手勝手であることが多く、人それぞれに種々異なるだろうから、それ自体は別に気にすることもない。

ただ、こうした人がもし何事に於いても「十人十色」であることを是とするならば、「ワンチームオンリー」の人が「掛け持ち」の人を貶す理由などないと考える。
何故って上記のような項目と、それらに相反することとは、そのような人にとっては並立すべきことになってしまうからだ。

もし頑なに、応援する先は一つに限るとか思うなら、それは自分の心の中で思っておいてくれたら良いだけのこと。5ちゃんねる風に言えば「チラシの裏にでも書いておけ」である。

応援する際に、とりあえず諸々の事情は置いといて、比重の軽重はあるにせよ、サポーターと称される人々はごく大まかに「勝利という最良の結果を願う」という同じ方向を向いている。
時にはそうした目的を達するためにと、公序良俗に反する暴言を吐いてみたり、規程違反の行動に出てしまうなどの困った人もいるが、それは公的なルールを根拠に締め出しを食らうべき問題だ。

応援チームを複数持つことは、個人の考え方に起因し、それらとは全く異質の話だと思う。
応援行為の方法論の問題ではなく、対象に対する気持ちの持ち方の問題に過ぎないからだ。

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かく言う私自身も、かつてこういう試合を経験したことがある。

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J2に参入したばかりのガイナーレ鳥取と、湘南ベルマーレがリーグ戦で対戦している。

その最初の試合である2011年の鳥取ホームの試合で、こんな大差がついたことがある。

この時の私の様子を、一部の鳥取サポは知っていると思う。

画像2

画像3

時の鳥取ユニの下に、ベルマーレのこのシャツを着ていた。

当時はまだそれが可能な体調だったので、この状態でガイナーレ鳥取のゴール裏で、ひときわデカい声を出して応援行為に勤しんでいた。正直言えば、ただのアホである。

結果に随分とツッコミも受けた記憶があるが、それもそれで私自身は楽しい思い出の一コマだと思っている。

こんなものは、傍目から見ればただの自己満足だったろうし、さぞ滑稽な姿だったかもしれない。でも、結果はともかく両者の対戦が見られて良かったとは思う。私は幸せだ、とさえ思ったほどだ。

なお、翌年のこのカードも観ている。しかし、写真はないが、確かに観ている。そして私は、その直後に脳梗塞で倒れた。
もし神様とやらがいるのなら、たぶん、その試合まではどうにか持ち堪えさせてくれたんだろう……と思っている。

その後、入院等を経て、同じ年の秋頃に、できたばかりのチュウブYAJINスタジアムで、同じ湘南ベルマーレ戦のアウェイ戦パブリックビューイングがあり出向いている。確か湘南が勝っているはずだ。

幸か不幸かそれは知らないまでも、それ以降は両者の所属ディヴィジョンが違うのでリーグ戦に於いての対戦機会はない。

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ともあれ、このように推しチーム同士が試合をするとしても、何ら違和感なく楽しんだし、私は普通にガイナーレ鳥取の応援者然としていたどころか、その態度を咎められることは一切なかった

よって、何も気にすることなんてない。むしろ、推しチームが複数あることを誰に憚ることがあろうか、とさえ思う。

私は予てから、掛け持ちサポであることは一つも悪いことではないし、何ら恥じ入ることもないと思っている。それらは元を質せば全て自分の美意識の問題であり、そんなものを他人からとやかく言われる筋合いはない。

だいいち、その他人に何ら迷惑などかけてもいないのだから。

サッカーを楽しむ方法は、人の数だけあると思う。千人いれば、千の方法論が存在するものだ。私の楽しみ方と私の隣の人の楽しみ方は異なるものだと思う。ただ、その違うものでも妥協したら受け入れ可能ではある。
もちろん、聞くに堪えない暴言や悪口雑言などは誰もが慎むべきで、受容できないほど不快なものなら、席移動などの対策を講じるしかない。
まあ、昨今の情勢下では安易な席移動も困難だろうけど、それはひとまず置いとくものとして。

ともあれ、推しの愛し方は人それぞれに異なるし、誰もそれを咎めたり誹謗したりはできない。それだけは肝に銘じて置いた方が良い。

その上で言いたいのだが、私はこれからも、ガイナーレ鳥取も応援するし、湘南ベルマーレや、最初の方で列挙したその他のいろんなチームを応援していく所存だ
筆頭格はガイナーレ鳥取だろうし、次点が現時点では湘南ベルマーレであることも変わりはなかろう。

別に推しに殉じる気はない代わりに、推しとは末永く気楽につきあいたい、という心情でいるだけのことだ。
それに、そんなヘヴィな関係性では、私も相手も疲れてしまうだろう。だから気楽につきあえれば良い。

そういう愛し方で、推しチームが増えたり変遷したり、というのが率直なところであり、これからもそんな感じで気軽にサッカーと関わっていきたい。

基本的に他人様にどうこう、と偉そうに提示するような文章ではなく、「こいつ、馬鹿でぇ」と軽くお読みいただけるような文章を書き発表することを目指しております。それでもよろしければお願い致します。