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片道約二時間の旅の供は何?【Short Letter】

私は、ある時期から、車を運転して出雲市と鳥取市との往復をするのを止めた。理由は一つ。病気が怖いから。

よって、特急列車に乗っての片道二時間の列車旅行をするのが常だ。

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こんな感じの切符の買い方をしておく。復路で特急に乗る必要が出た時、後から帰るようにしておくためだ。同じ区間を快速列車が走ることがあって、うまく時間が合えばそれに乗ることもあるが、これを書いている2021年12月6日時点での復路のダイヤは微妙だ。
また、往路に至っては夜しか走らないので、元々利用する機会がないと言って良い。

出雲市発鳥取行き

鳥取発出雲市行き

快速はこういう便しかなく、不便きわまりない。特に鳥取に行く便は夜にしかないのだ。

そうなると、特急に乗るしかなくなる。

用途に応じて、往路はこのどちらかを使う。

復路はこれしかない。

往路復路とも概ね所要時間は二時間程度。但し、昨今のサービス合理化の影響もあり、車内販売みたいなものはない。しかも、この列車は特急列車にもかかわらず、普段は二両編成で運転している。

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四両編成というのもあるらしいが、一部の列車だけで、しかも島根県には来ない編成である。

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一般的には二両編成であり、もはや快速列車並みの扱いだ。普段から三両、ないしは四両編成で走らせてくれたら良いのに、とよく思う。昔、三両編成で走っているのを見たことはあるのだが。

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けれど、「スーパーいなば」や「スーパーおき」が同じ編成の使い回しという事情もありなかなかうまく行かないのだろう。

あと、扱いこそ快速列車に毛の生えたようなものだが、速度はさすがに特急列車だ。

同じ区間を快速列車だと三時間はかかるものが、特急ならば二時間程度で着けてしまうのだ。

一時期、出雲市~鳥取間には「オオクニヌシ号」という名のバスがあった。

しかし、途中から松江~鳥取間に距離が縮小され、そして気がついたら運行を止めてしまった。採算が取れなかったのだろう。

料金的には恐らく特急列車よりも安価だったはずなのだが、それでも乗ったことはない。
たぶん、このバスが登場した時期が、私がなかなか鳥取に頻繁に行ってたわけでもない時期だったせいとも関係あるのかもしれない。

ということで、私は「オオクニヌシ号」に一度も乗車したことがない。

したがって、出雲市と鳥取を往復するのは、この特急スーパーまつかぜを利用するのがほとんどである。

この列車は、たとえば「やくも」に使われる381系電車のような振り子式の構造を持っているが、言われないとそのように気づかない。
山陰本線の当該区間は基本的にきついカーブが存在しない区間だからというのもあるだろう。特に鳥取~益田間は特にそうだと思うが、高速化対応工事が施され、スピードアップしている。
むしろ、同じように高速化対応路線だとしても、智頭急行線が区間に含まれる「スーパーいなば」や、山口線が含まれる「スーパーおき」に乗車しないとわからないかもしれない。


さて、スーパーまつかぜに乗車する都合二時間の間、私は何を考えているだろう。

車窓をボーッと見ているか、スマートフォンをいじっているか、音楽に身を委ねているか。本を読むというのも選択肢に含まれることがある。

くどくどと推してしまって申し訳ないのだが、これなども選択肢の一つに含まれるだろう。

私にこういうものを書かせる程度には、読み応えはあるんじゃないかと思っている。

この小説も以前読んだ。これを読みながら、多感な少年期に帰ってみるのも悪くなかろう。
この小説を書かれた長谷川雅人さんはガイナーレ鳥取の応援も熱心に行ってらっしゃる方だ。

恥ずかしながら長谷川さんに実はお目にかかったことがまだないが、少なくとも表題作の「孤どもたちへのクロッキー」を読んでいる限り、そのナイーヴさが刺さるような気がするので、ぜひ御一読いただきたい。

ボリューミーではあるが、これもすぐに時間が潰れそうだ。その人のフットボール哲学や人間模様を探求するだけでも面白いだろう。

正直言えばかなり読ませる本だと思うし、結城康平さんの語り口に引き込まれること請け合いだと思う。


二時間ちょいの旅のお供は、いろいろとある。そのどれでも楽しかろう。

音楽も好きなのでたくさん聴く。

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別に安いmp3プレーヤーがあればそれで良い。たかだか旅先で音質に拘ってどうする。拘るほど我々のほとんどは、いい音なんて知らない。
今のこのセットなんて、安いプレーヤーにセブンイレブンで売ってる有線イヤホンだ。それで十分よ。


私のする移動は、時間的な余裕のない都市間移動に過ぎないが、その都市間移動でも、いろいろな過ごし方がある。

本来なら、普通列車でとことこと時間をかけて進むのがベターかもしれないが、時間の制約があるとそういうわけにはいかないだろう。

できれば、ゆっくりとできる時間を作った上で、来てみると良いかもしれない。特に風情豊かな地方に行くなら、余裕を持つべきだと思う。
しかし、日程の都合などで、時間的余裕を作ってねじ込むのが難しいケースもある。そんな時は、精神的余裕を作り出してみるのも良いと思う。列車に乗る時、いつもするルーティンと違うことをしてみるとか。
そういう些細なことから少しずつ試してみるのも良い。そんな風にいつもと違う試みがあることで、精神的な変化があるかもしれないのだから。

私が列車で鳥取に行くようになってからは、時間の余裕を作るように心掛けているが、たまに失敗することもある。まあ、寝坊とかしないようにするのがベスト。そこさえ守れば、あとはどうにかなるものだから。

ともあれ、こんな小さな旅だからこそ、時間に追われそうになる中に生まれるであろう精神的な余裕は大切だと感じる。

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