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君はサッカーを観ない

突然だが、あいみょんの曲に「君はロックを聴かない」という作品がある。

こういうボーイズソングをあいみょんのような女性シンガーソングライターが歌うことを、個人的にどう思うかを語ったら、メチャクチャな文字数を費やしてしまいそうなので、それは止めたい。

そもそもこれから書くテキストは、そんなことを言いたいものではない。

以下、自分が歌詞から推測した曲の世界観を述べてみる。当てずっぽうなので違っていること必至ではあるが。あくまでもおっさんの直感だ。

主人公は、恋の相手の娘が恐らくロックを聴かないであろう、という前提で話していて、でもたぶん同室にいるはずの相手の娘に聴いてほしいとは思ってもいる。
だからこそ「自分はロックを聴いて、あんな歌やこんな歌であれこれと乗り越えてきた」みたいなことを歌っているのではないか。そして、明言こそ避けているものの「その娘にロックを聴いてほしい」と願っているのだろう。

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さて、自分には彼女などいなかったけれど、それは置いといて。

この曲に於ける「ロックを聴かない」というシチュエーションを、如何なるものにも当てはめることは可能だろう。

「君は落語を聞かない」
「君はマンガを読まない」
「君はビールを飲まない」

……などがあり得る。もちろん次に出てくることも当然ながらあり得る。

君はサッカーを観ない

自分が好きなのだから他の人も好きだろう、という思い込みは捨ててかからなければいけない。
確かに自分はサッカーが好きだけれど、では他の人にも同質の好きさ加減を要求すべきか、と言えば、答えはNoだと言わざるを得ない。
世の中には、同好の士ばかりが存在するわけではない。それは当たり前の話で、サッカーを受け入れられる自分のような人間もいれば、程度はともかく受け入れかねる人間もいる。

その「受け入れかねる側の人間」を頭ごなしに全否定することだけは厳に慎みたい。我々はそんなに偉い人間でも高尚な人間でもないのだから。

ただ、同じ趣味を好きな人と楽しむ、あるいは共有する時間があったなら、それはつまり、趣味に費やす時間が幸せなものになり得る、ということにもなるかもしれない。

簡単なことではないかもしれないが、聴く音楽や視聴するテレビ・ラジオ番組に動画、読む雑誌、楽しむ飲食物、観たり体感したりするスポーツ。様々にあるが、それらは人によって嗜好の違いがある。

しかしそれらを、自分の趣味に合わないからと切り捨てては味気ない。特に好きな相手のそれはしない方が良い。どんなに相容れなくても尊重はする。これなのではないだろうか。

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かくて、自分の青春期は、そんな相手もいなかったが、趣味を共有してみたいと思ったことはある。
それはきっと楽しい時間になり得るものだろう、と思ってもいる。

例えば自分の今のメインであるサッカーだって、一人よりも同好の、それも近い誰かと楽しんだ方が、より楽しめよう。簡単に価値観が一致することはないかもしれないけれど、したら嬉しい。

だから、お互いを尊重し、譲り合いながら、同じ方向に向けるようにしていけば、少しずつ融和し、理解し合える面も出てこよう。

そういった擦り合わせの結果、あいみょんのあの歌の「ロックを聴かない彼女」が、いつしかロックを聴くようになってくれたら、あの歌の主人公はそれだけで幸福な気分になってしまうだろう。

それと同じようなもので、自分にもサッカーを理解し合える誰か近しい人がいたならば、人生の豊かさや密度は今と比べものにならないほど違っていたかもしれない。

もしあなたにパートナーがいるなら、その人の趣味は、生活に実害がない限りは、あまり否定してはいけない。尊重した上で近づいてみればいい。愛好しなくても良いので、存在を認知するだけで良い。
そうしたら、その人が何故そのことに熱狂するのか、何となくでも理解できるような気がする。

今の自分にそれはできているだろうか?

周囲にサッカーに興味を示さない人がいるとする。できるなら興味を持ってほしいが、どうあってもそれは難しい、という人もいるだろう。
そういう人に強制的に同調してもらうようなことをせず、こういうものもあるんだよ、程度の話をしておけば良いと思う。

自分は一人観戦が気楽なので、あまり他人を誘ったりはしないが、何となく興味を示したら、連れて行ってみることはするかもしれない。
ただ、あくまでもその人の興味が持続したら、二度目、三度目がある、ぐらいには思うようにしたい。
興味が持続しないのに押しまくっても、逆にその人に引かれてしまうだけのように思える。

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推しの何かを勧めたい。それは、誰にでもある感情だろうし、欲求でもあると思う。理解者は多い方が楽しいだろうし。
でも、勧めるのは構わないけれど、あくまでも相手次第。それだけは忘れないようにしたい。

今まで「君はサッカーなんか観ない」と思われていたような人が、何となく観てくれるようになってくれたら良いと思う。そのためにも、誘引の仕方は大切だなあ、と考えてしまう。

冒頭に載っけたあいみょんの歌に、その辺のヒントみたいなものがあるならば、こんなおっさんでも、彼女の歌を掘り下げて聴いてみようと思うかもしれない。

基本的に他人様にどうこう、と偉そうに提示するような文章ではなく、「こいつ、馬鹿でぇ」と軽くお読みいただけるような文章を書き発表することを目指しております。それでもよろしければお願い致します。