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【大企業vsスタートアップ】NTTドコモに10年つとめた現スタートアップ社長が語る2つのちがい

スタートアップの人気が高まっています!

エン・ジャパンさんの調査によると、約7割の若手が「スタートアップへ転職したい」と回答しているようです。

しかし、本当にスタートアップへの転職はいいことだらけなのでしょうか?

そもそも、大企業とスタートアップのちがいがわからないと「どちらがいい」か判断できないでしょう。

私もいまでこそスタートアップの経営者ですが、起業前は大企業(=NTTドコモ)でサラリーマンをしていました。私の経験から実感している、大企業とスタートアップのちがいを解説していきます。

①研修制度について

私が新卒で入社したNTTドコモは、いま振り返ると研修制度が非常に充実していました。まず新入社員は全員が軽井沢の別荘地で3週間の研修を受けます。電波のつながる仕組みなど、通信の基本的な知識から習得することができました。

その後、支店へ配属されることになるのですが、すぐに業務がはじまるわけではありません。今度は支店内での研修がはじまります。1週間ずつ、各部署をローテーションで研修しました。法人営業に同行したり、鉄塔に登ったり。実務を見ながら業務を理解します。

次にはじまるのはドコモショップ研修です。配属された支店管内にあるドコモショップで、1ヶ月くらい研修を受けます。窓口での契約手続きなど、実際にお客様と接しながら現場を体験します。

このように、入社した4月から4ヶ月間みっちり研修を受け、9月にようやく本配属されることになります。創業したばかりのスタートアップで、こんなに研修をしっかりやる企業はないでしょう(笑)

※あくまで私が新入社員だった20年以上前の話です。

スタートアップの場合、入社初日にかんたんな業務説明をして、二日目から現場投入する会社もあります。マニュアルも整備されておらず「見よう見まねで覚えてね」というスタンスだったりします。

当社も創業時に比べるとかなり研修制度は充実してきましたが、それでも1ヶ月程度。大企業のそれに比べたら、時間も投資額もまだまだ不十分です。

「スタートアップのほうが成長できる!」と思って転職する方がいますが、それは自ら問題を発見して行動できる人だけです。「会社が成長させてくれる」という淡い期待を抱いている人は、むしろ大企業のほうが成長させてくれるでしょう。

②役割分担について

スタートアップにおける役割分担は「常に変化するもの」だと思ってください。

スタートアップを一言で表現すると「少ない人数で新しいことに挑戦している会社」です。だれもやったことがないことに挑戦しているので、手探りの日々が続いています。

「これやっといて」「あ、やっぱりこっちやって」なんてことが日常茶飯事で発生します。担当者レベルでやることが変わるのは、まだマシなほう。会社の事業そのものが変わってしまうケースだって少なくありません

それくらいスタートアップの業務内容は不安定です。

その点、大企業は役割分担がしっかりしています。営業は営業、広報は広報、法務は法務でそれぞれの担当業務が明確です。

野球チームで例えてみましょう。

大企業は、100人もの部員を抱えている歴史のある野球チームです。ひとつのポジションだけでも、2番手・3番手が控えています。それぞれの役割がしっかりと定義されており、OBもアドバイスをくれます。

一方スタートアップは、きっちり9人しかいない新設の野球チームです。いや、9人そろっておらず、8人とか7人のチームかもしれません。当然ながら補欠なんていません。そういうチームなので「突然ピッチャーやって(=やったことのないポジションでのアサイン)」「レフトとショートを同時に守って(=関連性のない兼務)」がどうしても発生してしまいます。OBもいないので、誰もアドバイスをくれません。

そんな環境なので、「営業がやりたい」「マーケティングがやりたい」など、ポジションへのこだわりが強い人はスタートアップには向いていません。そういう人は大企業に入って、専門性を磨いていきましょう。

スタートアップに向いているのは「ビジョン達成のためなら、なんでもやります!」という人です。ポジションへのこだわりよりも、ビジョンへの共感が求められる点が、大企業との大きなちがいです。

③忙しさについて

「大企業よりもスタートアップのほうが忙しい」イメージがあるかもしれませんが、そんなことはないと思います。私の印象だと「スタートアップも忙しいけど、大企業も負けず劣らず忙しいよ」と思っています。

ただ、忙しさの質は多少違うかもしれません。先ほど説明したとおり、ベンチャー企業は少数で仕事をまわしているので、業務範囲が広くなりがち。「あれもこれもやらなきゃいけない」という状況へ陥る傾向にあります。

一方で大企業の場合は、関係者が多くなりがちです。なにかひとつ変更するだけでも、さまざまな部署と合意形成する必要があります。オプションサービスをひとつ追加するにしても、サービス内容や料金を考えるだけでなく、カタログや規約をどう表記するか、コールセンターでの案内をどうするかなど、調整にかかる手間は膨大です。

結局スタートアップであれ、大企業であれ、「成長企業は忙しいのが常」なのではないでしょうか?私が入社した頃のNTTドコモは、ちょうどiモード(当時ドコモが提供していた携帯電話向けコンテンツ配信サービス)が世の中でブレイクしていましたので、会社全体がとっても忙しかったです。どうしても忙しいのがイヤなら、成長が止まって衰退していく会社に入ることをオススメします。

④年収や待遇について

「スタートアップは給与が低い」と言われてきましたが、昨今はそんなことありません。実際にデータでも示されています。

給与に関しては、会社の規模よりも業種・業態による影響のほうが強いです。たとえば金融業のように、業界全体の給与水準が高い場合は、スタートアップといえども高い水準にあります。

一方で宿泊・飲食業のように、業界全体で給与水準が低い場合は、大企業でもそんなに高い給料は期待できないでしょう。

当社も採用市場で一定の競争力を保つために、給与相場は強く意識しております。相場に比べて、極端に低い給与は提示していません。採用市場で勝ち抜くために「大手並みの給与を払う」というスタートアップは多いんじゃないでしょうか。

また以前は「スタートアップから大企業への転職は難しい」と言われていましたが、いまはそんなことありません。大企業も多様性を重視しており、スタートアップ出身の人材を積極採用しております。そういった大企業側の方針転換も、スタートアップの給与底上げに寄与しているのかもしれません。

「将来的に給与を上げていきたい」と考えるなら、大企業 or スタートアップで悩むのではなく、高待遇の業界を選ぶのが確実だと思います。

⑤社長との距離感について

大企業とスタートアップで大きな差を感じる点は、社長との距離感ですね。ドコモみたいにグループ全体で30,000人弱もいる会社だと、社長と直接会う機会は基本的にありません

「テレビでは見たことあるけど、直接は会ったこともないし話したこともない」のが普通だと思います。私もサラリーマンだった頃、当時の社長と直接話す機会があって、とても感動したのを覚えています(笑)

一方で、スタートアップの場合はすぐそばに社長がいます。大企業に比べれば組織階層が深くないので、互いに声が届きやすい存在です。違和感があったら気軽に経営者へ質問できるのは、スタートアップのいいところではないでしょうか。

未熟な分、伸びしろがあるのがスタートアップです。スタートアップの場合は組織が小さく歴史も浅いため、改善案も採用されやすいでしょう。私もメンバーには、気になるところはどんどん提言してほしいと思っています。

まとめ

以上、スタートアップと大企業の両方を経験した立場から、気になりそうなポイントを解説してみました。

「だれもやったことがない新しいことに挑戦している」「歴史が浅く方向性もルールも定まっていない」「役割分担が明確でなく、あれもこれもやっている」のがスタートアップの現状です。

こうした環境が合わない人もいるでしょう。でも未熟で整っていない分、変化のスピードはとても速いです。半年前ですら遠い昔のように感じますし、1年前なんて「もはや別の会社なんじゃないか?」って感覚です。スタートアップはそんなエキサイティングな環境であることは間違いありません。

いろいろメリット・デメリットありますが、挑戦心あふれる若者には「ぜひスタートアップへ!一緒に世界を変えよう!」と声を大にして伝えたいと思います。

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もし今回の記事を読んで「スタートアップに興味を持った!」という方は、ぜひユニークワンの採用サイトを見てみてください。






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