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問題解決あるあるコラム#14:WantsとNeeds

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第14回のテーマは、「WantsとNeeds」です。皆さんはこのふたつ、明確に意識していますか? このふたつ、しっかり意識していないと、どんな活動も途中で止まったり失敗してしまったりします。一方で、上手く意識を切り替えられれば、成功の確率がグンとあがります。その違いを一緒に見ていきましょう。


改善はWantsで始まることが多い

皆さんの改善の動機が生まれる時ってどんな時ですか? 「こういうことができたらいいな」「こんなものがあったらいいな」というケースが多いのではないでしょうか? 「この書類、書きかたがよく分からないから記入例が欲しいな」「この作業、毎回同じことの繰り返しだから自動化できないかな」など、これらは、「あったらいいな」なので「Wants」ですね。「Nice to have」と言われることもあります。この、「あったらいいな」は活動の動機としてはわかりやすく、意外とフットワーク軽く始められるのですが、当に「あったらいいな」なので、実は「なくても困らない」のです。なので、活動を始めても何か想定外の問題が生じたり、優先度の高い他の仕事があったりすると、あっという間に活動が下火になり、やがて放置されてしまいます。なくても困らないのでそうなりますよね。こうして、多くの「あったらいいな」活動がその短い生涯を閉じていきます。

Needsは切実であるほど原動力になる

一方「Needs」ですが、その名の通り「必要」なのです。「I need water」のように切実なのです。切実であればあるほど、それを求める力は強力で目的達成のための原動力になります。しかし、多くの改善活動の場で、この「Needs」が明確に言語化されていません。そのため、最初の「あったらいいな」活動の方が表面化しやすく、「Needs」はなかなか顕在化してきません。

この「Needs」を顕在化させるためには、「Wants」が生まれた背景や、現在「Wants」が満たされていないことで被っている不利益を、明確にする必要があります。「Wants」である以上「別に困っていない」のですが、実は困っていない本人が、「困っていること」に気づいていない可能性もあります。「必要は発明の母」と言われている通り「あったらいいな」と思うことの裏側には、実は顕在化していない潜在的な「困りごと」や「期待」があるはずです。例えば、最初に例として挙げた「記入例が欲しい書類」は、書きかたがわからなくて担当者への問い合わせが頻繁で、その対応に時間を割かれてしまっていたり、記載不備で書き直しが非常に多かったり、間違った記載のまま提出されて必要な物資が購入できなかったり、などのような「困りごと」が発生しているかもしれません。「繰り返し作業」も、同じ所で失敗が多発し、作業の手戻りや製品の廃棄が多数発生しているかもしれません。このように、「あったらいいな」の裏に潜んでいる「困りごと」=「潜在Needs」を「顕在化」させることが、改善や是正には不可欠なのです。「Needs」が明確になり、「Needs」が満たされた先の自分の姿が想像できれば、人はその姿に向かって強い意志で進むことができます。

WantsとNeedsの狭間で生まれる新たな敵

あきらめを生みやすい「Wants」と、最後まであきらめずに行動を続けることができる「Needs」、この「Wants」を意識的に「Needs」に変えることができるようになれば、自分からわざわざモチベーションを作り出そうとしなくても、人間が元々持っている「Needsを満たしたい」という欲求が強い原動力になり、あなたを行動させてくれます。自分でも知らず知らずの内に強い行動力を示している時は、あなたの中に「Needs」が生まれている証拠です。その力を自在に操れるようになれば、あなたはどんな困難にも立ち向かっていける行動力を手にいれることができます! ただ、世の中そんな上手い話ばかりが転がっているはずもなく、「Wants」から「Needs」へ意識を切り替えようとすると、自分の中の「リスクマネジメント」が起動し、失敗を恐れて行動を踏み留まらせようとします。人間ってつくづく面倒くさい生き物ですね(笑)。

リスクマネジメントが我々の行動を踏みとどまらせる

「Wants」と「Needs」を意識的に切り分けることは、「強みや弱み」そして「機会や脅威」を明確にする「SWOT分析」を行うと理解しやすくなります。普段我々は、この「Wants」と「Needs」をあまり強く意識していないため、なにか行動を起こそうとした時に、失敗して自分が被害を被ったり傷つくリスクを避けるために、無意識の内に失敗が許容されやすい「Wants」を優先し行動に移します。そのため、失敗しても「仕方ない」という現状肯定を繰り返し、「Needs」を満足できた時の「達成感」や「成功体験」の機会を捨ててしまっています。なんかすごくもったいないですね。でも、そんな状況を変えるのは意外と簡単なのです。その答えは……、また次回以降でお話していきたいと思います。

まとめ

我々人間は、常に「リスクマネジメント」をしながら行動をしています。無意識のうちに自分のリスクを回避し、「安心安全」を確保しようとします。その行動心理が組織の問題解決の場でも起動し、問題解決を停滞させてしまいます。この状況を変えるためには「Wants」と「Needs」を意識するところから始める必要があります。無意識だったことを、意識するようになると、物事の見えかたが変わってきます。見えかたが変わると「Wants」を「Needs」に変換できるようになり、強い原動力を生み出すことが可能となります。「Needs」に背中を押されたあなたは、強い意志を持って行動することができます。それを実現するためには、まずは「Wants」と「Needs」を意識するところから始めてみてください。見える世界が変わってくるはずです。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「あなたはいてくれるだけでいいの」です。
次回もお楽しみに! 

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