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問題解決あるあるコラム#31:忘れたい嫌な思い出はなぜ忘れられないのか?

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第31回のテーマは、「忘れたい嫌な思い出はなぜ忘れられないのか?」です。皆さんにもある日突然、昔のいや~な恥ずかしい思い出が脳裏によみがえってくる時がありますよね? 忘れたい思い出なのになぜかことあるごとに思い出し、ひとり恥ずかしい思いをするはめになる、できることなら忘れてしまいたいのに……。なぜ忘れられないのでしょう?


忘れられない恥ずかしい思い出は、大切なレッスンズラーンド

やらかしてしまった大失敗、みんなに大笑いされて恥ずかしい思いをした過去、みんな忘れてしまいたいですよね。でも、なぜか定期的に記憶によみがえってきます。「なつかしいなぁ……」などと思い出に浸っている心のゆとりなどありません。今思い出しても恥ずかしい、二度と思い出したくない、そんな嫌な思いをします。これ、我々の脳が、同じ失敗をくり返さないように注意喚起として思い出させてくれているそうです。人間は忘れっぽいので、すぐに色々なことを忘れてしまいます。しかし、自分にとって二度と経験したくない、するべきでないような出来事は確実に予防しなければならないので、定期的に、根気よく、注意喚起してくれているのだそうです。そう思うとあの嫌な瞬間も少しありがたいものに感じてきます。人間の脳ってすごいですね。

それでも失敗をくり返す人間

そんな素晴らしいふり返りによる未然防止機能があるのに、なぜ我々人間は同じ失敗をくり返してしまうのでしょうか? これは、元々我々に備わっている「好奇心」が、次は大丈夫に違いないという「楽観思考」を誘発し「リスクの過小評価」をすることで背中を押してしまうことによる結果です。「注意喚起」だけでは「好奇心」に勝てないのです。では、この「好奇心」に打ち勝つにはどうしたら良いのでしょう? これにはやはり我々が持っているもう1つの能力、「リスク回避」能力を使わなければなりません。

想像力の欠如が「未来の自分」を危機に晒している

人間を力強く前に進ませる原動力「好奇心」に打ち勝つためには、「リスク回避」を発動させなければなりません。そのためには「過去の失敗」からの注意喚起と、前に進んだ場合の「この先の未来」を想像させる必要があります。それも、より具体的な「自分に降りかかるであろう被害」を想像させなければなりません。ここが具体的にならないと、その予測される被害が「他人ごと」のままで「自分ごと」にならず、「抑止力」になりません。しかし、我々はどうしても「自分ごと」として未来の姿を描くことができないのです。殆どの場合、「今」目の前にチラついている成功が「確約された未来」のように感じてしまい、別の可能性として「未来」に待っている「失敗や被害」を無視してしまうのです。

失敗のくり返しは「タイパ」も「コスパ」も悪い

「恐れているばかりでは未来は切り開けない!」と仰る方もおられるでしょう。その通りです。悪い未来ばかり思い描き、活動を止まらせることがやりたい訳ではありません。ここでは、「過去の失敗のくり返しを避けることで、成功の確率を高める」ということを実現したいのです。同じ失敗をくり返すことほど非効率なことはありません。かけた時間も費用も無駄になってしまいます。活動の直行率を上げていくのは、「一度やった失敗をくり返さない」ことが一番なのです。

なぜ組織にレッスンズラーンドが根づかない?

人間は、個人であれ組織であれ、自分をよく見せようとします。それ自体はいいのですが、その手段のひとつとして自分の評価にとって悪い影響を与える情報を開示しないようにする傾向があります。例えば、起こしてしまった失敗は、できるだけなかったことにしようとします。記憶に残されるのも嫌なのに、記録に留めるなどもっての外です。そこで、失敗の事実はなるべく過小評価し、できれば後でふり返ったりされないようにしようとします。さらに、失敗の記録も仮にふり返られたとしても、自分たちの失敗が明確に伝わらないような表現に留めます。よく、読んでも「なんのこっちゃ?」という過去トラレポートに出会うことがありますが、それはこの心理が理由です。「未来の失敗防止」よりも「今の名誉保全」の方が優先度が高いのです。

失敗防止は「好奇心」と「虚栄心」と「注意喚起」の戦い

失敗をくり返さないためには、人間が根源的に持っている「生命の維持」という欲求を実現するために最も重要な「リスク回避」の手段でもある、過去の記憶による「注意喚起」を上手く活用すれば達成できる可能性が高いです。しかし、「自分の失敗を隠して自分をよく見せたい」という「虚栄心」と、「色んなこと全部取っ払ってでもこの先に待っている『はず』の楽しそうな未来をつかみたい」という「好奇心」が、先を見通す「想像力」を奪い、失敗のくり返しへの道を進ませてしまっているのです。

みえる化ツールが人を冷静にする

これを防止するには、冷静に判断できる環境を作ることが不可欠です。その方法のひとつが「現状のみえる化」と「予測される未来を描く」という組み合わせです。人は、目に見えた物は比較的冷静に受け入れることができます。普段は自らそれらをなるべく見えないようにして活動しているのですが、逆に、自らの手でみえる化をすると、それを冷静に受け入れることができ合理的な判断を下せるようになります。そのステップを踏むことができれば、失敗防止は実現可能となります。我々の周りにはよくそのための「みえる化ツール」が数々準備されていますが、なかなか上手く活用されていないのが現状です。

まとめ

「人間」も「しくみ」もやりたいのは「失敗防止」ですが、人間はしくみを超えた生き物で、「こころ」が優先してしまいます。基本、とにかく前に進もうとする「こころ」を、一旦立ち止まらせ冷静に合理的な判断を生み出すためには、「みえる化」が効果的です。そのために作られたのが「しくみ」ですが、我々自身の「こころ」が邪魔をして、折角の「しくみ」が上手く使えていないのかもしれません。今後もこのコラムで「しくみ」の上手な使い方について考えていきたいと思います。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「お気に入りは違いの分かる人を生む」です。
次回もお楽しみに!  

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