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問題解決あるあるコラム#32:お気に入りは違いの分かる人を生む

こんにちは。いちおか@問題解決サポーターKAIOS代表です。

問題解決あるあるコラム第32回のテーマは、「お気に入りは違いの分かる人を生む」です。皆さんそれぞれに「お気に入りのシェフ」とか「お気に入りの品」とか「お気に入りの場所」など、お気に入りの「ヒト」や「モノ」「環境」をお持ちですよね? 今回は、そんな「お気に入り」たちが我々に与えてくれる影響について考えてみたいと思います。


お気に入りは心地よい

皆さんもお気に入りのペンとかノート、はたまたキーボードやマウスなどがありますよね? 明確な理由がある場合もそうでない場合も、「やっぱりこれが書きやすい」とか「使いやすい」と感じる道具たちがあるはずです。他には、「この人の教え方が分かりやすい」とか「この店のこれが美味しい」など「モノ」や「ヒト」「方法」「場所」といった、たくさんのお気に入りを持っていますよね? お気に入りを持っていたり囲まれていると、快適でそれに満足し、皆さんに「心地よさ」を提供してくれます。

お気に入りはベンチマーク

そして、これら「お気に入り」たちは、常に皆さんの判断基準になっています。「これより使いやすい」「ここより美味しい」「これより運転しやすい」などなど、お気に入りが基準線になり、それより良ければ今度はそれが次のお気に入りになる可能性があり、超えられなければ「やっぱりこれが一番」となります。皆さんの生活、もっというと人生は「お気に入り」を中心に回っていると言っても過言ではありません。

お気に入りを持つと違いに敏感になる

お気に入りを手にすると、その心地よさを継続して感じたくなり、何度もくり返し心地よさを体感しようとします。いわゆる「ヘビロテ」に入ります。「くり返しが安心を生む」ことは前々回のコラムでもご紹介しました。そうしてくり返し心地よさを享受していると、それが「あたり前」の状態になり何かいつもと違うことがあると身体が敏感に反応します。「違和感」というやつですね。その小さな違和感の正体がわからないと「なんか気持ち悪い」状態となり心が落ち着きません。すると、すぐさま「問題解決」が始まります。そうして「違和感」の正体が分かり、それが許容できなければ、直ちに「排除・修正・交換」などの対処をし現状復帰を図ります。一方、それが許容できれば、その違和感を受け容れ次回以降の判断の際の「公差」となります。一旦公差として受け容れると、次回からは違和感を感じなくなります。引き続き違和感を感じている場合は、あらためて「受け容れられない」側に分類され、現状復帰プロセスが起動します。

お気に入りは5M管理

そして、この公差=許容範囲の対象は、冒頭に出てきた「人」「食べ物」「乗り物」「作り方・教え方」「場所」「季節」など多岐に渡りますが、よーく眺めてみると、あるキーワードでまとめることができます。そう「5M」です。実は我々は「Man(人)」「Material(材料)」「Machine(設備)」「Method(方法)」「Mother Nature(環境)」のそれぞれ許容可能な範囲を無意識の内に管理しているのです。驚くべき管理スキルですね。

お気に入りはMSAで維持される

このように、我々は自ら「お気に入り」の許容できる範囲を修正しながら、自身の判断基準を維持管理しています。自分の「好き嫌い」を理解し、できるだけ「嫌いなもの」を選択しなくて済むように準備をしているのです。これも、我々人間のリスク回避戦略のひとつなんですね。そしてこれらは、それぞれに特定の条件が影響しあって運用されていきます。例えば、「同じお店、同じメニューでも、このシェフの料理が好き」とか「同じ場所でも秋の夕暮れ時が好き」というように、ある程度条件を絞った中での公差(バラツキ)を持っています。これはまさにMSA(Measurement Analysis System)の考え方そのものです。我々の「お気に入り管理システム」はMSAによって維持されているのです。

違いが分かる大人

このように、我々はお気に入りを持つことにより、敏感に違いを感じることができるようになります。違いが分かることは、いつもと違う「異常」に気づける力を持ち、リスクを未然に防ぐことを可能にしてくれます。「違いが分かる大人」というとなんだか敷居が高そうですが、「ベンチマークとなる『お気に入り』を持つことができればいいんだ」と思うと、意外と自分たちでも「違いが分かる大人」になれそうじゃないですか? ただし、持っているだけではなく世の中の変化に合わせて「お気に入り」も常にアップデートしていかないと、違いには敏感になれないかもしれませんが……。アップデートを怠り「現状維持」を続けることは、変化・違いに鈍感な、リスクに気づけない「違いの分からない大人」を作ってしまうかもしれません。

まとめ

人間は好き嫌いで動く感情の動物であり、「システムは苦手」と勝手に思い込んでしまっていますが、実は好き嫌いの感情の裏で「お気に入り」による「意思決定システム」が運用・維持管理されていたのですね。そう思うと、ちょっと面倒な「品質マネジメントシステム」も少し身近に感じられるかもしれません。ちょっと無理矢理過ぎますか? そうですね。もうちょっと皆さんが「なるほど!」と、納得できる説明ができるように自分自身も「違いが分かる大人」になってから出直してきます。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
次回のテーマは「Failure modeの”mode”ってなんだ?」です。
次回もお楽しみに!  

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