見出し画像

私の原点にある「妊活・不妊治療を取り巻く不を解消したい」という思い

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年はこちらのnoteももう少し更新していきたいなと思っています。

2022年4月からはようやく、待ちに待った「不妊治療の保険適用」がスタートされます。この保険適用がスタートされれば、不妊治療を取り巻く様々な問題が解消されるのでは?と期待した人も多かったのではないでしょうか?
正直、私もそんな一人でした。しかし、なかなか私たちの思うようにいかないようです。
少しでも妊活・不妊治療中の方が遠回りしなくて済むように今年も情報発信をしていければと思います。


私が妊活・不妊治療サポートをはじめた原点

今年は新年に改めて、私が妊活・不妊治療サポートを始めた原点について振り返ってみました。

妊活・不妊治療の理解不足を痛感した当事者時代

私自身も不妊治療経験者であり、不妊治療退職を経験した一人です。
この時に痛感したのは、びっくりするほど世の中に妊活や不妊治療に関する正しい情報や認識が少ないということでした。

私が、妊活・不妊治療をしていたのは2009年から2012年までの約3年間ですが、この頃は今ほど不妊治療について情報も少なければ、理解も乏しい時代でした。昨年書籍を出版しましたので、それを通して両家の両親は私の妊活・不妊治療・不妊治療退職の経緯は知っていますが、それまでは両親にすら不妊治療のことは話したことはありませんでした。

どのような反応が返ってくるかもわからない。
もしかしたら治療そのものを否定されるかもしれない
そもそも両親に話したところで何かがかわるわけではない

そんな気持ちでした。もちろんそのような思いがあったので、会社内でも伝えているのは極々一部のみ。
興味本位であれこれ聞かれたくない、という気持ちが大きかったことを今でも覚えています。実際に結婚した女性にあれこれ言ってきたり、怪しげなものを勧めてくる人も少なくありませんでした。

周りの理解も乏しい、興味本位で他人のプライベートに口をはさむ、そんな中孤軍奮闘していたことを今でも思い出します。

不妊治療を進めるための情報不足

そしてこれは不妊クリニック選びにも言えたことでした。
「病院」に行けば、どこの病院を選んでもある程度は同じ方針で検査・治療が進んでいくと思っていました。しかし、実際はそうではなかったのです。

私自身も、近くの産婦人科内にある不妊外来ではなく、体外受精まで行っている不妊クリニックを受診すれば、どこのクリニックでもある程度同じだろうと思っていましたし、個人クリニックの範疇を超えれば大学病院等、大きなクリニックを紹介して貰えるものだとばかり当初は思っていました。

しかし、通院を始めて、不妊治療をしている仲間が通しがつながって情報交換をしていくなかで、自分が思っていたクリニックのイメージとは大きく乖離があることに気が付きました。

実際に私は「まだ若いから」という理由で、卵管造影検査をしないまま1年以上タイミング治療のためにクリニックに通院していました。飲み薬ではあまり効果がなかったため、かなり頻繁に排卵誘発剤の注射を打ちに仕事終わりに通院していました。

ただ自分で色々と調べるうちに、卵管造影検査や男性不妊の検査をしていないことにモヤモヤし始めました。治療を始めて1年を過ぎたあたりでようやく卵管造影検査は必要ないのかを確認し、検査をしてもらえる流れになったのです。実際に同じクリニックに通院していた人の中には人工授精12回以上して、ようやく医師に体外をお願いして1回目の体外受精で妊娠したという人もいました。

こちらから打診しないと、検査や治療のステップアップもされないクリニックがある、自分で知識をつけないといこの間にも年齢を重ねてしまうんだという危機感を持ったことを今でも覚えています。

不妊治療と仕事の両立が困難な現状

まだまだ「不妊治療って何?」の時代でしたから、通院(排卵誘発剤の注射)の為に、2日に1回、定時になるとダッシュで帰宅する私を快く思わない人もいました。
今でこそ、働き方改革という言葉が一般的になってきましたが、その当時はまだまだ残業して当たり前の時代でした。帰宅時に玄関で嫌味をいわれたことも一度や二度ではありませんでした。

子供が授からないだけでも十分なストレスなのに、そのような皮肉や嫌味をあしらわなければならないことも大きなストレスでした。

タイミング治療でこのような現状なのに…これが体外受精にステップアップしたらどうなるのだろう?と思った事は一度や二度ではありませんでした。2度ほど、業務内容の変更も申し出てみましたが、様々な人事の兼ね合いでなかなか難しいものが…

暗に治療をしてまで子供を望むことを否定する人もいましたし、「今でなくてもいいのでは?」と言われたこともあります。
知識もなければ、理解もない人達に説明することに限界を感じ、退職を決めたのです。私が退職すれば、代わりの人材を採用できる…そうすれば、同僚に負担をかけることもないという思いもありました。

ただ、正直こんな現状は私たちの世代で終わりにしたい、終わりにしないといけない、そんな思いで「妊活や不妊治療を取り巻く環境改善と支援サポート」を掲げて事業をスタートさせました。

10年経った今、妊活・不妊治療を取り巻く環境は変わったのか?


あれから10年が経ちましたが、果たして妊活・不妊治療を取り巻く環境は改善したのでしょうか?
確かに、妊活や不妊治療の認知は広まりました。男性不妊の認知もあがり、不妊治療は女性だけの問題ではないとい考える人も増えてきました。不妊治療と仕事の両立の課題に前向きに取り組む企業も増えてきました。

でも、いまだに情報収集はネットや口コミが中心。その中には怪しげな情報も多く紛れ込んでいるのが現状です。
クリニック選びはこの10年でより複雑になった印象を受けます。近いクリニック、通いやすいクリニックを選んでいては遠回りしてしまう可能性もあります。でもそこに触れる記事はまだまだ少ない。

不妊クリニックは一国一城の主であり、横の連携も乏しく、他の選択肢があることを知らないまま数年という月日を費やしてしまう人もまだまだ少なくありません。

にもかかわらず、不妊治療が話題になるたび「女性の高齢化」ばかりが取り上げられる現状は変わりません。その前に適切な知識や情報が提供されていたかどうかには目を向ける人は残念ながらあまりいません。

保険適用、不妊治療と仕事の両立支援など動き始めた部分もありますが、まだまだ課題が山積みなのが妊活や不妊治療を取り巻く現状なのだと思います。

私が目指す妊活・不妊治療の世界

・産む・産まない、いつ産むのか?何人産むのか?リプロダクティブ・ヘルス・ライツに関わるこの点を自分達で誰に関与されることもなく決めることできる
・妊活や不妊治療の必要な情報に必要な時にスムーズにアクセスできること。
・妊活や不妊治療の必要なサポートを必要な時に受けることが出来、必要な時に相談できる環境にすぐにアクセスできること
・どこに住んでいても同じ技術レベルのクリニックを受診できること、クリニック選びに悩まなくていいこと
・不妊治療をしながらでも仕事が続けられること

これが私の目指す妊活・不妊治療を取り巻く環境です。
決して特別なことを望んでいるわけではありません。当たり前のことが当たり前に叶社会をつくるために、これからも活動を続けていきたいと思います。

この記事を書いた人






#この仕事を選んだわけ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?