産む、産まない、不妊治療する、しないは自分達で決められる
多くの不妊治療当事者が声を上げ続けた保険適用の話。
ようやく大筋が見えてきました。
しかし、このような内容が話題になるたびにあがってくるのが、「不妊治療で、出産を強要されている」という意見です。
でも、ちょっと待ってほしいのです。
本来、産む・産まない・不妊治療をする、しないは自分達で決めることが出来、それを周りからあれこれと言われるべきものではないはずです。
「不妊治療が保険適用になったのだから治療をして出産するべき」
本来、第3者からこのような発言が出てはいけないのです。
そもそも不妊治療は万能ではありません。
不妊治療をしたからといって絶対に授かるわけではありません。
確かに金銭的な負担は今まで比べれば軽減するでしょう。
でも、時間的な負担や身体的な負担、心理的な負担はかわらず発生するのが不妊治療です。
だからこそ、私達はそれらを知ったうえで、「産むのか産まないのか」、「不妊治療をするのか、しないのか」、を決めることが出来るし、決めていかなければならないのです。
そして、それらは他人から強要されることがあってはいけないのです。
リプロダクティブ・ヘルス・ライツの意識
私達日本人に大きく欠如しているのが、このリプロダクティブ・ヘルス・ライツの考え方です。
そもそも、リプロダクティブ・ヘルス・ライツって何?という人も少なくありません。
こちらは以前Twitterで行ったアンケート結果
医療関係者や不妊治療経験者を除くと知っていると答えた人は2割もいないし、そもそも聞いたこともないと答えた人が3割以上いる結果に。
ちなみにリプロダクティブ・ヘルス・ライツとは
と言われています。
要は適切な知識と情報の元、私達は自分達の身体に関することを自分達で決められるという権利です。
適切な性や妊孕性、ライフプランに関する教育を受け、必要な時に適切な情報を取得でき、そして私達自身で、産むか産まないか、不妊治療をするかしないか、を本来は決めることが出来るのです。
しかし、残念ながら日本では最初の段階であるはずの「適切な性や妊孕性、ライフプランに関する教育」を受けずに多くの女性が大人になっています。
10代に妊孕性に関する教育を行おうとすれば、「産むことを強要するつもりか」と反対意見が出て前になかなか進みません。
その結果、適切な教育も情報も提供されないまま、妊活・不妊治療に突入してしまうカップルも少なくありません。
性だけを教えるのではない、妊孕性だけを教えるのではない、産む・産まないを含めてどのように生きるのかを学ぶ過程で、性のことや妊孕性のことを一緒に学ぶ環境を作っていく必要があるのではないでしょうか?
学ぶのは若い世代だけではない
そして学ぶのはこれから妊娠・出産を迎える若い世代だけではありません。
それより、すでにその世代は通り越してしまった世代こそ、もう一度きちんとリプロダクティブ・ヘルス・ライツについて学んでいく必要があるのではないでしょうか?
産むことも、産まないことも、不妊治療をすることも、しないことも
決めるのは自分達です。
それを誰に強要されることもなければ、相手に強要することも許されません。
最近色々と取り上げられる生殖医療の話題ですが…
まずはこの根本を理解したうえで議論が進むことを願ってやみません。
そして日本はこの分野、特に女性の健康に関しては長い間、後回しにされてきた国です。
だからこそ、不妊に関わる部分だけではなく、それ以外の女性のヘルスケアに関わる部分も制度を整え、誰もがアクセスしやすく、そして女性に出来る限り負担のかからない手段へ変えていく必要があります。
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