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「不妊」という問題を自己責任で終わらせない 不妊で悩む人にやさしい社会をつくりたい

「こんな社会だったらいいな」…から「こんな社会にしたい」そんな気持ちで不妊カウンセラーとして活動しています。


「自己責任」という言葉で片付けられがちな不妊の問題

最近は少しずつ変わってきたようにも感じますが、「不妊治療=高齢=自己責任」こんな流れの記事や投稿を見かけることがあります。

最近では、「不妊治療=高齢=自己責任=卵子凍結」という流れになりつつあるようにも感じます。

不妊治療が話題になると
・好きな事がしたくて結婚・出産を先延ばしにしていたんでしょう・・・
・自分の健康に気を使うことなく好き勝手してきたんでしょう・・・
・もっと体質改善とか健康管理とか出来る事があるんじゃないの・・・

などなど当事者の事情を顧みることなく好き勝手に言われることもあります。最近はここにプラスして
・だから卵子凍結して将来に備えよう
こんな流れになりつつあります。

不妊の問題本当に個人の責任だけなのでしょうか?
社会が個人の責任で片付けている以上、どれだけ卵子凍結を推進ても根本は変わらないだろうなと思います。

そもそも不妊治療の高齢化は個人の責任だけではありません。

・20代から不妊治療をされている方もいます。
・早めに病院を受診したもののまだ若いから・・・という一言で済まされた人もいます。
・不妊検査を受けた時にはもうすでに早発閉経の状態だった人もいます
・選択できるクリニックが少なく、転院も難しく、同じ治療を数年にわたり続けていた人もいます
・2022年までは費用が高額でステップアップを躊躇う人も少なくありませんでした。
・周りの自然志向に影響されて不妊治療は最後の砦と思っている人もいます
・仕事と治療の両立に悩み、仕事を辞めるとお金の問題にぶつかり八方塞がりの人もいます。

一人一人がそれぞれの問題を抱えているにも関わらず・・・
そこに目を向ける人は少なく、不妊=高齢 が原因で片づけられがちなのが不妊を取り巻く現状なのではないでしょうか?

少子化が問題視されているならば・・・
産みたい、子供が欲しいと願う人への支援やサポートがもっと充実すること
そして、不妊治療に悩んでいるカップルに優しいまなざしが向けられる社会をつくっていきたいと思います。


私と不妊治療退職

私は10年以上前に不妊治療と仕事の両立に悩んで前職を退職しました。
まだまだ当時は「不妊」という言葉自体もメジャーではなく、「不妊治療」を説明してもまだまだ理解してもらえる社会ではありませんでした。

周りで産休・育休者がいるのに妊娠したいなんてわがままだ・・・そのようなニュアンスの事を言われた事もありました。
会社に迷惑をかけないように順番に妊娠・出産する・・・
それが総合職で入社している女性の役目だといわんばかりでした。

当時は不妊治療に関する休暇制度もなく、まだまだ働き方改革すら進んでいなかった頃。
通院の為に残業せずに定時退社することによく思わない人も正直いました。

また通院していたクリニックが本来であれば最初に行う検査をすべて行っていなかったこと。
ただ若いからという理由で排卵誘発剤を使ったタイミング治療が繰り返されていたことに疑問を抱いていたことから、体外受精をするなら遠方のクリニックに転院しようと考えていました。

しかしここで問題になるのが仕事と治療の両立。
県外に転院するのであれば通院に往復4時間以上。
とてもじゃないけど遅刻や早退でカバーできるレベルではありませんでした。
そして必ずしも1回で妊娠出来るわけではない・・・
そう悩んでいた時に様々な出来事が重なり、仕事を辞めて治療に専念することを選択しました。

3ヶ月でも半年でも良いから不妊治療に専念できる環境
時間外、休日にトラブル対応で呼び出されない環境であれば今も会社員として仕事を続けていたかもしれません。(この点に関してここ10年で大きく改善されたようです)

実は当時、メンタルの不調で休職を選択する社員も少なくありませんでした。メンタルの不調には休職制度があるにもかかわらず、なぜ不妊治療で悩んでいる女性にはこの制度を利用できないんだろう?
そんな疑問が今の活動を繋がっていく事になります。


私がフリーの不妊カウンセラーを選んだ理由

不妊治療退職をした翌年私は子供を授かり出産しました。
勢いで辞めたところもある前職でしたが・・・

さてこれからの長い将来どうするんだ?
そうだ・・・不妊で悩む人をサポートできるような仕組みをつくろう

そう思った私は不妊カウンセラーの認定資格を取得し、フリーの不妊カウンセラーとしての活動をスタートしました。

実は医療資格を持っているので不妊クリニックに勤めるという選択肢もあったのですが、私がフリーの不妊カウンセラーを選んだのにはいくつか理由がありました。

その一つが、私自身が仕事と治療の両立に悩んだ時、周りの産休ラッシュにどうしようもなくむなしくなって涙が止まらなくなった時、このままの治療の進め方で本当に良いのかと不安になった時、私の通っているクリニックでは相談する場がなかったのです。

それに治療の進め方や転院の相談に関しては中々通っているクリニックではしにくいものがあります。

当時の私は読みやすそうな不妊治療に関する専門書を2冊ほど購入し隅から隅まで読んで不妊治療に関する知識を叩き込みました。
その後、偶然見つけた症例報告が多く記載されている専門書を本屋さんで暗記するほど読み込んだ記憶があります。
(座って読めるように椅子が置いてある本屋さんだったので・・・)

医学的な知識を得た後、転院先候補のクリニックのHPを隅から隅まで読み、論文を探した記憶があります。

相談する場がないなら…
自分で自分の不妊治療の治療計画をコーディネートできるようになろう・・・そんな風に考えていました。

・転院のタイミング
・医師にも得意とする分野が違う事を踏まえて自分に今必要な事はなんなのか?(何を最も優先させた方がいいのか)
・ステップアップの目安
・治療回数の目安

そんな事を踏まえながら、自分で自分の治療計画を立てていました。

不妊治療をしていても誰もゴールは決めてくれてません。
「ゴールを決めてからスタートしなきゃやめ時がわからくなる。先の見えない暗闇に一人飛び込むのは無理。」
これが、当時私が抱えていた感情でした。

ただこれらを一人で考え、決めるのはしんどい作業です。

そのうえ不妊分野はウソか本当かわからない情報が蔓延しており、本当にこのドリンク飲めば妊娠しやすくなるのかな?と夜中に何度も購入ページまで進んだこともありました。
もう少し不妊で悩む期間が長かれば・・・もしかしたらポチッと購入していたかもしれません。

だからこそ、一人で不妊に悩んでいる人に寄り添える場を作りたい・・・
そんな思いでフリーの不妊カウンセラーという立場を選択しています。

そして、声すらあげられず、あげても中々必要なところに届かず悩んでいる人達の声を届けていきたい。
「不妊」という問題を社会問題として考え、「不妊」で悩む人にやさしい社会を目指していけたらなと思います。



現在、不妊治療と仕事の両立支援に関するアンケートを行っています。

期間:2024年3月14日~2024年5月15日

アンケート対象者
・不妊治療と仕事の両立に悩んだことがある人、現在悩んでいる人
・治療ステージは問いません
・悩んだ結果、治療をしなかった方も対象になります。

少しでも多くの方にお答えいただければ嬉しいです。
アンケート回答のご協力、シェア・拡散をどうぞよろしくお願いいたします。

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