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【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-4】「過去」と「未来」をつないでいく(前編)

(1)ある役者さんの「コーズ」の変遷


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
今回も引き続き「コーズ」についてお話ししていきたいと思います。
「コーズ」は「原因」「理由」「信念」「価値観」といった意味合いのある言葉であり、「ゴール」を目指して進んでいく過程で、ふと我に返って「なぜそれをしたいのか」を考えるときに重要なコンセプトです。
 
先に「ゴール」があって、その次に「コーズ」が来るという順番がポイントになることは前回お伝えした通りです。先に「コーズ」を掘り下げてしまうと、迷路に入ってしまって、迷子になってしまいます。
 
最近、若いころから役者を目指して活動してきた方とお話しする機会がありました。その方は、あるタイミングでご自身で「企業に就職する」と判断して、企業での仕事と役者としての活動を両立しながらやっていらっしゃいます。その方は「役者としてこういうことを伝えたい」「お芝居で自分をこういうふうに表現したい」という目指すもの、「なぜそれやりたいのか」というルーツみたいなものをしっかりと持っています。
 
ただ、それを進めていく中で、「やりたいことをどこまでできるか」といった実現性や、「こういうふうに生きていきたい」という生活上の思いを総合的に検討しながら、「じゃあ、ちょっと軌道修正をしようかな」と判断したそうです。
 
軌道修正をする過程では、「自分がもともとやりたかったことをいかに維持しながらやっていくか」と考え、あるいは「実はこちらのほうが向いているかもしれない」というように、「目指すもの」が変化していくことがあります。
 
目指すゴールはどんどん変わっていっても構いません。一方で、自分のルーツである「コーズ」は大きく変化することはありません。
すでに起きた「過去」は変わらないからです。しかしそれでも、過去の出来事の意味合いは変わっていきます。根っこは変わらないけれど、どこを、何を目指すかによって、「コーズ」に対する解釈、捉え方が変わってくるといえばわかりやすいでしょうか。

(2)「スポーツの世界」から「ビジネスの世界」へ


たとえば、高校生の頃の「原体験」がきっかけで「こういうふうに活躍したい」と思うようになって、それを目指して進んでいくなかで、人生のフェーズが変わって、他にも大切なものが発生して、そちらを大事にするようになることは少なくありません。高校生の頃の「原体験」そのものは変わりませんが、その意味合いが変わってくるということです。
 
スポーツの例で考えてみましょう。高校を卒業したときにプロにスカウトしてもらいたかったけれど、それが叶わなかったから大学まで続けた人がいたとします。しかし、大学卒業時にもスカウトから声はかからなかったため、サッカーの道は諦めて、ビジネスの世界に進んで、自ら起業した方はたくさんいらっしゃいます。
あるいは、その方の同級生の中には、プロにはなったけれど、なかなか思うような活躍ができずに引退して、いまは違う仕事をしているという方もいるるでしょう。
 
そうした状況にある人の心にも、「自分はどこから来たのか」という「コーズ」はしっかりと存在していて、それがある種の反骨心となって、誰を見返すわけではないにしても、いまの自分を超えていくためのエネルギー源になっていたりします。
 
ここでポイントになるのが、個別の出来事を「どうつないでいくか」になります。単純に「つなげる能力」と言ってしまうと語弊があるのですが、「目指すもの」につなげていく過程で、点と点をつなぐ、点と点をつなぐと線になって、線がさらに増えてくると面になるという発想をベースに、一つひとつの成功と失敗を含めたさまざまな体験をつないでいく力が必要になるのです。
 
そして、それを裏で支えているのが、ここまでお話ししてきた「コーズ」なのです。

(3)アメリカ時代の私の夢は「大統領」!?


アメリカで幼少期を過ごした私の夢は「アメリカの大統領」でした。当時のレーガン大統領は俳優出身ということもあって、パフォーマンスの仕方を心得ていたからなのか、5歳の私はテレビを見ながら「かっこいい! 僕も大統領になる!」と言っていました。
 
その後、「日本人はアメリカの大統領になれない」ということを知った私は「じゃあ、アメリカ人になる」と言ったのですが、「アメリカ人にはなかなかなれないよ」と両親に諭されました。それでも諦めずに、「じゃあ、日本の総理大臣になる!」と6歳の頃の私はよくわからずに言っていました。
 
「なんとなくかっこいい」「人の役に立てるような気がする」という漠然としたものではあるのですが、その思いをそれからずっと持ち続けることになります。
 
その後、ロックミュージシャンになろうとして、でもなれなくて、10年くらい歌を教える仕事をしたり、それでも「やっぱり違う。これ以上はできないな」と思ったりしながら、何度も何度も軌道修正を重ねてきました。10年前、15年前は私自身もまだ整理できずにいて、「なぜこんな状況になっているのか……」と考え込んでしまうような時期もありました。
 
それでも、5歳くらいのころに「大統領になって、人の役に立ちたい」と感じた体験があったからこそ、あっちに行ったり、こっちに行ったりと、一直線ではありませんでしたが、いろいろなものを積み重ねて、そうした経験をもとにコーチングの体系を整理して、書籍にしたり、お話ししたりできるようになり、いまに至っているのです。
 
これをお聞きの方の中には、たとえば自分が引退したあとどうするか迷っている経営者の方、営業について課題を抱えている方、あるいは、お子さんにどう接したらいいか迷っている子育て中の方もいらっしゃることと思います。みなさんも私と同じように今日に至るまでさまざまな出来事を経験されたことと思います。そして、それは本人にしかわからないことでもあります。
 
だから私はコーチングの過程で、クライアントの方に「あなたのコーズは何ですか」とお聞きしているのです。「コーズ」という言葉は使わなくても「あなたのルーツは何ですか」というような質問は珍しいものではありません。私が「コーズ」と名付けたコンセプト自体はもともと存在していていて真新しいものではありませんが、先に「ゴール」を考えることを強く推奨するのは、私のオリジナルかもしれません。この「コーズ」というコンセプトを理解していくことで、「過去」と「未来」とをしっかりとつなげることができるようになるのです。
 
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回お会いできるのを楽しみにしています。

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