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【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-3】「コーズ」があることで人は強くなれる(前編)

(1)一人ひとりが持っている物語


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
今日は、拙著『CEOコーチング』の中で初めて発表した概念でもある「コーズ」についてお話ししていきたいと思います。
 
「コーズ」のスペルは“because”の“be”をとったもの、すなわち“cause”になります。このコンセプトについて説明し始めた最初のころは英語で書いていたのですが、カタカナのほうが馴染みやすいのではないかと考えて、いまは「コーズ」と書くようにしています。
 
「コーズ」には、「原因」「理由」「信念」「ルーツ」「価値観」「土台」といった意味合いがあり、私のコーチングの体系では「なぜそれをやるのか」といったものをまとめて「コーズ」と呼んでいます。
 
では、「コーズ」とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

ありがたいことに私の周りには、いつも「すごいなあ」と思わせてくれる方が大勢いらっしゃいます。その方たちは皆さん、この「コーズ」の部分がとてもしっかりしていて、私にもご自身の「コーズ」を教えてくれます。
 
そういう方たちは、「夢」「目標」「ゴール」があって、その人が進むべき道、進みたい道を示してくれるので、それを聞いた私は「すごいなあ。おもしろいなあ」と共感したり、「すごいけれど、自分にはちょっと向いていないなあ」と思ったりします。
 
人にはそれぞれタイプがあるので聞き手である私の反応がまちまちなのは当然なのですが、どちらの場合であっても私の頭に浮かんでくるのは、「どうしてそうしたいのだろうか」「きっかけは何だったのだろう」「続けている理由は何なのだろう」という疑問です。「きっかけ」という「点」だけでなく、たとえば「20年前にきっかけがあって、今も続けているのはなぜだろう」というように、全体のストーリーに興味が湧いてくるのです。
 
コーズと言うのは、ある一つの出来事に限られず、むしろ積み重ねられた時間や経験を元に構築されるもので、ストーリーと言い換えても違和感がないものです。
ですので、コーズはストーリー/物語の形を取ることがよくあります。
 
そして、その物語を聞かせていただいたとき、「なるほど。だからそれを目指していらっしゃるんですね」と、一本の道筋が見えたように感じて深く納得するだけでなく、いままで以上に一段と「すごいな!」と思ったりすることがよくあります。
 
その人独自の物語というのは、その人の人生に根ざしたものであり、一人ひとり違います。
 

(2)オトバンクの例


たとえば、今では誰もが知っている「オーディオブック」の創業者であるオトバンクの上田渉会長が「なぜオーディオブックをつくっているのか」といえば、本好きだったおじいさまの目が見えなくなってしまって、つまらなそうにしていらっしゃったことがきっかけと伺っています。当時も書籍を朗読した音声や教材は存在していたようなのですが、ほとんど普及していなかったため、おじいさまも上田会長もよく知らなかった。
上田さんはこのことをきっかけに、本を目で読むのではなく、耳で聴く文化を広げていきたいと考えてスタートしたわけです。

そして、それをやっていくうちに、いざ目が見えなくなってからだと音声の書籍や教材を探すのがとても難しくなるため、そもそも大勢の人に知ってもらっておく必要があるという事実に気が付きます。そこから世の中全体への啓蒙・普及活動が始まります。
さらに、実は耳で聴くことは、目が見えにくくなった人のためだけでなく、「一般の人にとってもプラスになる」という価値を感じるようになって、新しい「コーズ」が積み重なっていく――。
 
「コーズ」というのは、体験を積み重ねていくことによって、どんどん強化していくことができます。とはいえ、全部を1人でやるわけにはいかないので、「私はここをやります」「あなたはここをやるんですね」という具合に分担してやっていけば、世の中もどんどんよくなっていくと私は考えています。
 
「コーズ」というのは特別なものではありません。誰もが自分自身の、あるいはあなたが経営している会社、所属している組織などにもルーツ、信念があるはずです。仕事以外のところでも、たとえば週末に少年野球のコーチをやっていたり、ボランティア活動をしている人であれば、「それをやっている理由」がきっとあることでしょう。
 
『CEOコーチング』の書籍のなかでは「コーズ」について詳細に説明していますのでぜひ目を通してみて頂きたいですが、まずは「なぜそれをはじめたのか」「なぜ続けているのか」という「コーズ」はとても大切であり、自分自身の「コーズ」を理解していると「人は強くなれる」ということを知っていただければと思います。
 
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回お会いできるのを楽しみにしています。

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