【シーズン2-6:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】フォワーダーの姿勢① ~「愚痴」を聞きすぎない

(1)相手の話をジャッジしてはいけない


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。

シーズン2では、CEOコーチングの中でも、とくに重要な要素である「未来思考:フィードフォワード」を軸にお話ししています。

 前回は、フィードフォワードをする人である「フォワーダー」と、フィードフォワードを受ける人である「レシーバー」の心得について解説しました。

「レシーバー」は、「フォワーダー」に促されるがまま、導かれるがままに気持ちよく話せばいいだけですので、そんなに難しくはありません。

 一方の「フォワーダー」に関しては、ある程度の心構えと技術が必要になります。

なによりも大切なのは、「レシーバー」が話す内容をしっかり聞くこと、そして、それに対して「ジャッジ」しないことです。
「レシーバー」の話に対して、「よい」「悪い」を判断するのは「フォワーダー」の役割ではないからです。

ただし、上級者になってくると話は変わってきます。
上級者の場合、ニュートラル、中立の立場で「なるほど」とか「そういうふうに考えているのですね」と伝えたうえで、はっきりとしたメッセージを表明したほうがいい場合もあります。

 たとえば、上司と部下、先輩と後輩等、「フォワーダー」と「レシーバー」の関係性がはっきりしていて、「レシーバー」が意見を求めていたり、答え合わせをしたいと考えているケースです。

そういう関係性においては、なんでもかんでも部下、後輩、スタッフの話を受容して「そうか、そうか」と聞くのではなく、リーダーシップを発揮して、組織の方向性等を考慮しながら話を聞いていくこともまた「フォワーダー」の役割になります。

とはいえ、これはあくまで「応用編」です。
基本の段階では、相手の話に対してジャッジせずに、相手の意識を未来に飛ばすのが「正解」です。

(2)相手の愚痴を聞きすぎてはいけない

次に、拙書『いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード』(フォレスト出版)でも触れているポイント「愚痴を聞きすぎてはいけない」について解説していきます。

 たとえば、上司と部下の面談、1on1をするうちに、何でも話せるよい関係になっていくと、ついつい愚痴っぽい話に展開してしまうことがあります。

 「あの人はああだこうだ」等々、部下の愚痴っぽい話に対して、上司が「そうか、そうか」と聞いていくと、部下のほうも、最初はそこまで言うつもりではなかったけれど、ついつい話しすぎて、その場の雰囲気で、最後には悪口を言ってしまう……。

 これが飲みの席であれば、「今日は飲み過ぎました」の一言で済むかもしれません(もちろんそれも十分リスクではあります)。

しかし、面談のような「落ち着いた場」での発言となると、悪口を言った部下は「ここまで言ってしまったということは、私は本当にそう思っているのかな……」と考えるようになるでしょうし、聞いてしまった上司もその話が頭から離れなくなってしまったりと、互いに悔いが残ることになります。

 本来、愚痴を言ってしまうことと「フィードフォワード」とは関係のない話です。
相手の意識を未来に飛ばす質問をしているわけですから、愚痴につながりようがないはずです。

 ただ、毎月毎月、面談、1on1をしていると、「フィードフォワード」が終わったあとに、「じゃあ、別の話を……」となって、愚痴っぽいモードに突入することもあるでしょう。

 そうしたケースでは、愚痴を聞きすぎないことと「フィードフォワード」とのコンビネーションを意識してみてください。

 まずは、聞き手は聞きすぎないように注意して、「もうこのあたりでいいのではないか」と察して、「自分もそうでしたよ」とか「そういうものですよね」と言って、愚痴を終わらせましょう。

そのうえで、「じゃあ、どうしたらいいと思いますか?」「何か対策はありますか?」と切り替える。
相手の言葉を受け止めたうえで、ふわっと意識を未来に飛ばすことができれば、未来思考のコミュニケーションになっていきます。

(3)武道のように、ふわっと未来へ投げる


愚痴を聞きすぎてしまうのは、ビジネスシーンだけではありません。

友人との会話、近所付き合い、親戚付き合い等々、日常生活においても、聞き手が「うんうん」と聞きすぎると、話し手がしゃべりすぎてしまい、愚痴っぽくなることはよくあるものです。

 そんなときは、イメージの話になりますが、武道、たとえば「柔道」の投げ技のように、ふわっと宙に浮かせて、相手の意識を未来に投げるようにしてみてください。

 みなさんもそうかもしれませんが、私自身も、体育の授業で受け身の練習をしたり、テレビでオリンピックを観戦したことがあるくらいですが、「久野さんに『フィートフォワード』をしてもらったときの感触は、柔道や合気道でふわっと投げられる感覚に似ています、ネガティブなことを言っても、久野さんはそれを受け止めたうえで、ふっと未来に連れていってくれる。気がついたら前向きになっている自分がいるんです」と話してくれた人が何人かいました。

上級、もしくは超上級の「フィードフォワード」には強引さがありません。気がついたら、「あれ、愚痴を言おうと思っていたのに、なぜ、いまはこんなに明るい気持ちになっているんだろう……」となっているのが理想です。

 たとえば、落ち込んでいるときに、取引先から「受注」メールが届いたり、付き合っている人からメッセージが届くと、鬱々としていた気分が吹っ飛んで、晴れやかな気持ちになることがあると思います。
人の気持ちというのは、意外に簡単に変わるものなのです。

そういう変化を起こせるのが、「フォワーダー」という存在であり、「フォワーダー」はポテンシャルのある生き方と言えるのです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

次回またお会いできるのを楽しみにしています。

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