運動の質を高めるために
今回より、本のレビューをしながら、運動について考える機会を作ろうと思います。
今回紹介するのは、アナットバニエル氏著「動きが脳を変える」。
著者は”フェルデンクライスメソッド”というボディワークの創始者、モーシェ・フェルデンクライス氏から直接メソッドを学ばれており、現在は発達障害の子供に対しての活動をメインに行っている方です。
こちらの本、運動パフォーマンスを上げたい方、痛みなく快適な生活を送りたい方、運動指導者は必須の本だと言えるくらいに質の高い内容が記載されています。
今回はそんな内容の中から、個人的に重要だと思える場面を記載していきたいと思います。
1、動きに注意を向ける事
個人的に一番大事、しかし殆どの人が実践できていないところです。
歩く、物を取る、椅子に座る…。例え動きに意識を向けていなくても、ある程度のことは体はオートで動いてくれます。全部の動作に意識を向けていては動く側も疲れてしまいます。そのぐらい体ってうまく動いているのです。
ただ、ある程度意識せずに動けるからこそ、私たちは体に注意を持って行くことを忘れてしまっています。
動きに注意が向いていないため、歩く時に足に力が入っている、物を取る際に不必要に腕に力が入っている…といった体の使い方の偏りが生じてしまいます。
このような状態はよく「癖」と表現されたりします。
この癖が強くなった状態だと、その部位への負担が強くなるため、結果痛みやパフォーマンスの低下といった問題が生じてきます。
なので、私がクライアントさんに介入するときは、体に意識を向けて動くことで、自分の癖に気づき、動きの幅を広げる事ができるように介入を行っています。
2、力を抜いて、ゆっくり動く
動きに注意を向けながら動く際の注意点として、力を入れすぎず、ゆっくりと動くことを意識させています。
身体の癖に縛られた状態から動きの幅を広げるためには、運動や身体意識の中枢である脳内の運動イメージを変えて行く必要があります。
脳はかなり柔軟性があり、適切に感覚情報が入ると脳内の身体イメージも変化し、結果より効率的に動くことができるようになります。
「効率よく動く」ことを目標にする場合、脳への感覚入力は確実に意識して行く必要があるのです。
じゃあどのように脳へ介入を行っていくのか。
脳が新しい動きを学習する際には、力を抜いて、ゆっくりと動くことが運動イメージを広げるとされています。
運動を提供していると、みんなうまくやろうとしたり頑張ったりしてしまうのですが、そうなってしまうと体のどこかに力が入っていたり、無理に動いてしまっていたりと、適切な運動学習ができない状態になってしまいます。
なので私が介入する際も、相手には無理に頑張るのではなく、じぶんが楽にできる範囲で動くように促しており、その後の変化を感じてもらうことでゆっくり動くことの大切さを感じてもらうようにしています。
3、動きをただ楽しむ事
ここまで運動のことを書いてきましたが、何よりも大事なのは楽しみながら動くことです。
運動を提供していると、動きができないことに対してショックを受けたり、意地になって過剰に力を入れてしまっている人を見ます。
そういう時には人の体はうまく学習できません。学習が一番進む時って、「楽しい」と感じる時なのです。
学ぶのが一番上手なのが子どもで、彼らは楽しいことしかしません。しかし楽しめるからこと、運動の発達や大人顔負けの深い学びを得たりします。
なので、できないことも楽しめばいいんです。「今できないだけ」なことを伝えたりします。
またできないことを行うことで脳に新しい刺激が入るので、他の動作がやりやすくなる事が多々あります。
そう考えると「失敗」も自分の体にはいい経験になるのです。
以上、長くなりましたが、この本から自分が学び実践している事を記載しました。
このほかにも身体について重要なことが書いていますし、具体的なワークも記載されていますので、興味のある方は是非読んでみてください。
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