見出し画像

イシューからはじめよ / 安宅和人

ビジネスパーソンでイシューから始められている人はどれだけいるでしょうか。

ビジネスで使われることもあるイシューとは、単語としては課題、論点などという意味になりますが、イシューから始めるとは、課題の重要性・必要性を認識してから、問題を解き始めるということになります。



1.バリューの本質


本書の中で、

(知的生産性)=(生み出したバリュー)/(投下した労力・時間)

であり、バリューの本質は

・イシュー度・・・その状況でのその答えの必要性
・解の質・・・その答えの明確さ

であると言っています。

イシュー度と解の質について、バリューを4つに分けると

①イシュー度が高く、解の質も高い
②イシュー度が高く、解の質は低い
③イシュー度が低く、解の質は高い
④イシュー度が低く、解の質も低い

本来は①、②が評価されるべきだとは思いますが、③が比較的評価されやすい傾向にあり、さらに言えば、時間・労力をかけたという理由で④が評価される場合すらあります。

始めに書いた生産性の式の分母にあたり、生産性を下げる要因になる時間や労力で評価されるということはとても不思議に思いますね・・・



2. 良いイシュー、なんちゃってイシュー


本書で言っているよいイシューの条件とは以下の3つであると言っています。

(1)本質的である
(2)深い仮説が含まれている
(3)答えを出せる

(1)は動的で状況に応じて変わる課題について、本質的に捉えられているか、なんちゃってイシューになっていないかということ。

(2)は常識の見直しや新しい考えなどが含まれていて、新しいものを生み出す可能性を秘めているかどうか

(3)は今持っている材料で答えを出せるものであるか
  ※ 例外的に、今の技術で常識的には不可能だが、
     それを可能にする「死角的イシュー」にも大きな価値がある


(1)について、少し補足をすると

イシューを考えたり、相手のイシューを汲み取ることは大事ですが、同時にそれがなんちゃってイシューになっていないかどうかを考えることも重要です。

つまりは、問題を解く前に解くべきものかどうかを考えるということです。


今まで私が見てきたなんちゃってイシューを2つ挙げてみます。

①相手に言われたことをそのままやる
②前回やったのと同じ方法でやる

①については、一見正しいように見えますが、相手が求めていることに関して全て言語化してくれるわけでありません。

相手のイシューをきちんと汲み取れていない状態で取り掛かってしまうと、見当違いの方向に行ってしまうこともあります。

相手が言われたこと=「1つの方法」であり、イシューから1段下がった「問題の解き方」を汲み取っているだけなので、その通りやっても相手に言われたこと以上は間違いなくできませんし、価値を提供することはできません。

②について、イシューとは生き物であり、時間や場所が変われば必ず変わり、全く同じということはありません。

つまり、前回と同じ方法でやるということは、イシューの追求を無視し、それなりの仕事をするという甘えた行為になります。

これをやっている人はかなり多いように感じるので、自分自身で常にイシューを考える癖をつけるといいと思います。



3. イシュー明確化のための仮説の立案・検証


イシューを明確化するためには、仮説に落とし込むことが重要であると言っています。

仮説に落とし込むメリットとしては、仮説を立て、検証・分析をすることで、イシューの明確化をすることができ、その過程を通して相手とのイシューの理解の相違が無いかどうかも確認できます。

また、1つの結果が出ることで、そのイシューの良し悪しがより見えやすくなるということも大きなメリットです。


私は営業と技術を兼任するような場面が多かったのですが、そのときに意識したのは、まず最初になぜその問題を解決したいのか(イシュー)を明確にすることです。

そして、もう1つ大事なことは、実際に仮説を提案して、常にイシューの確認を行うようにしています。

最初にイシューの確認を行いますが、その時点では全て汲み取ることはできないですし、そもそも相手が言語かできていない場合があります。

そのため、仮説の提案、検証、分析を行いながら、常に相手とのイシューの確認をするようにしていました。

これを行うことで、結果が相手の要望と異なるということは起きにくく、相手の要望に近いものか、あるいは、相手の要望を上上回るような価値を提供することができます。


私は、非効率なことが嫌いで、人と違うことや新しいことをしたいという考えが昔からあったので、上司から言われたことについても「どういう目的でやっているのか、本当に正しいのか」ということを常に考えながら仕事を行ってきました。

これに関しては、やり方によっては嫌われたり、言うことを聞けないと判断されてしまいそうですが、上司から嫌われないということは業務の本質ではなく、大事なのは価値を生み出せるか、それによって相手を満足させられるかということだと思います。


イシューに対する考えが甘いと、効率が下がり、生産性が下がるので、結果的に、長く働いてそこそこの結果しか出ないということになってしまいます。

自分が働く会社、一緒に働く仲間を選ぶときには、イシュー度ということも1つの基準になっていくのではないかと思います。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?