うどん屋にて

部屋で友達と2人でダラダラと喋っていた。
腹が減ったので家のすぐ近くにあるうどん屋に行ってみることにした。

初めて行くお店に入るときはなんとなく少し緊張してしまう。
席を案内されメニューを開くと、写真なしの文字だけが羅列されたメニューだった。

メニュー名だけではどれが旨そうなのか判断が出来ないので迷った。
大体いつも優柔不断な自分はファミレスや定食屋でもどれにしようか迷う。写真の無いメニュー表なら尚更だ。メニューは幅広く中華そばやオムライスまである。

一通り悩んだあと、定員さんを呼んで鴨南蛮うどんとミニ親子丼を頼んだ。頼んだ後に「やっぱり中華そばにすればよかったかな〜」と、うだうだと小さな後悔をしてしまう。

本来はズバッと決めてチャッチャと悔いなく食べたいんだが、選択肢が多いと迷ってしまうのだ。自分でも自分がめんどくさい。

定員さんが温かいうどんを運んできた。腹が減っていたので、いざうどんを目の前にするとさっきまでのしょうもない後悔はどこかへ消えていった。
今自分がやるべきことは目の前のうどんを食べて、お腹も心も満たすことだ。友達が「旨い、旨い。」と言いながら健気にカキフライ定食を食べていた。次来た時はカキフライ定食にしよう。

食べ終わり、うどん屋から出ると外は暗くなっていた。
秋の穏やかな風が滑らかに過ぎ去っていく。

そういえば誰かとご飯を食べたのはとても久しぶりだった。
最近は仕事に追われ、食事も作業化になってることが多く1人でいることにもすっかり慣れていた。やっぱり友達と一緒にゆっくり食べる飯は旨かった。


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