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家に帰り溜息をつく。

溜息をつくのが好きだ。

仕事中、ミスが発覚してまた一から書類を作り直すことが決まったとき、「はぁ」と溜息が出た。
もちろん溜息をしようと思ってしたのではなく、体から勝手に息が漏れてしまったのだ。

周りにも聞こえるほどの溜息だったようで、上司は「えっ!」と反応していた。一瞬上司の雷が落ちるのではないかと冷や汗をかいたが、セーフだったようだ。ふとその隣に視線を移すと優しい先輩がマッハでパソコンをカタカタしていた手を止めて、心配そうにこちらを見ていた。

この日から僕は職場で溜息を吐くのをやめた。
といっても仕事中にはっきりと溜息をついたのはこれが初めてだったが。
その代わりに家では気が付いた時に意識的に溜息をつくようにした。

溜息にはリラックス効果があるらしい。仕事から帰ってきて1人になった時に「はぁ」と溜息をつくとなんだか心身が回復した気がする。
溜息をすると、我に返って自分のペースを取り戻すことが出来たような感覚があり、僕にとっては自分が生きていることを確認するための大事な習慣だ。そんなこんなで今日も人間をやっている。



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