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第106回全国高等学校野球選手権大会展望号

準々決勝までの組み合わせ表

『ここにかける、ここから始まる。』

高校野球というわずか2年半足らずの期間、でも高校生にとっては非常に重要な時間。
野球に情熱を傾けてきた彼らにとってはまさにここに賭けてきたし、選手によってはここから始まるという感情だろう。

この夏にかけてきた球児達の熱い、アツいプレーに期待したい。

過去大会ベスト4の傾向

2023年 ベスト4進出校データ
2022年 ベスト4進出校データ
2021年 ベスト4進出校データ

必要と考えられる能力
攻撃面
とにかく打線の繋がり。低反発バットだからこそ振れる力は大切になってくる。

投手面
ピッチャーの枚数は多いに越したことはない。
今年の異常な暑さと、球数制限の問題を考えるとなおさらだ。
最近のトレンドは

必要と考えられる能力
攻撃面
とにかく打線の繋がり。低反発バットだからこそ振れる力は大切になってくる。

投手面
ピッチャーの枚数は多いに越したことはない。
今年の異常な暑さと、球数制限の問題を考えるとなおさらだ。
最近のトレンドは3枚以上の投手起用。
2枚の投手起用で勝ち進むのは至難の業で過去3年だと上記の通り近江(104回)と京都国際(103回)のみ。近江は山田君、京都国際は森下君といずれも後にプロ野球の世界に身を置くレベルの投手がいることが条件となる。

今大会の見立て

今大会の大きなポイントは3つと考える。
①酷暑への対応と疲労度
②球数制限への対応と投手起用
③低反発バット時代だからこその"振る力"

①酷暑への対応と疲労度

今年の夏はとにかく暑い。
例年にも増して暑いような気がする。
そんな暑さによる、選手ならびに関係者の健康面へのリスク管理対策が問われ続けていた。
そんな中、今年から暑さへの対策として大会初日〜3日目の3日間は史上初めての2部制が導入される。

とはいえ当該試合の中で勝ち上がるのはわずか9校。大会の行方に大きな影響を及ぼす可能性は限りなく低い。
※この日程の中から優勝校が現れて2部制が促進されるのもアリだが…

以下で登場する②の話にも直結してくるがそうなると問われるのは球数制限導入後、加速度的に傾向がハッキリしてきた2回戦スタート校圧倒的有利という考え。
これだけ暑い中で行われる大会だけあって疲労をいかに残さずに大会の終盤に向かっていくことができるのかは非常に大事なポイントになる。
そう考えると自ずとシンプルに消化する試合数が少なくなる2回戦スタートの学校は優位になる。

過去10回の優勝校の初戦は以下の通り
※中止となった2020年は除く

23年:慶応→2回戦 ※仙台育英→1回戦
22年:仙台育英→2回戦 ※下関国際→2回戦
21年:智辯和歌山→2回戦※智辯学園→1回戦
19年:履正社→1回戦
18年:大阪桐蔭→1回戦
17年:花咲徳栄→1回戦
16年:作新学院→2回戦
15年:東海大相模→2回戦
14年:大阪桐蔭→1回戦
13年:前橋育英→1回戦

夏の甲子園で球数制限が導入されたのは2021年の103回大会。それ以降の優勝校は全て2回戦スタート。
準優勝校については上記※印の通り。

昨年の仙台育英は5人の投手起用で疲労軽減
3年前の智辯学園は1回戦と2回戦が10日空く

1回戦スタートで決勝まで勝ち上がった学校には理由があったように思えた。

この点は今年も大会の行方を大きく左右する可能性があると見ておきたい。

②球数制限への対応と投手起用

3年前に導入された球数制限の影響により1人の投手は7日間で最大500球までしか投球することが出来なくなった。
この影響は大きく、毎年500球の壁を意識した投手起用に頭を抱える学校が出てくる。

昨年のベスト4以上の学校は全ての学校は3人以上の投手起用で大会を進めていった。
2年前、3年前についても前述の通り近江と京都国際のみで基本的には3人以上の投手で戦うことが定番化しつつある。

1人のエースで勝ち上がるというのは今のルールではなかなかお目にかかれない。

③低反発バット時代だからこその"振る力"

低反発バットに切り替わって最初の大会となった春のセンバツでは大会を通じてのホームラン数は僅か3本だった。
※内1本はランニングホームラン

季節的な要因も多分にあるが春のセンバツはとにかく長打が少なく、大会の序盤は外野の頭を越えていく打球が稀というほどの投高打低の状況だった。

夏になってさすがに春とは比べ物にならないほどに長打が増えてきたがそれでも使う道具が変わったわけではない。
そういう状況だからこそ"振る力"を磨いてきたチームとそうでないチームの差はさらに拡がっていくはず。

『夏は打力』

この点は基本的に外せないポイントであることに変わりはないはずだ。

注目選手

この夏ときめいた投手達
この夏ときめいた野手達

注目校

スコアリング上位16校

SS評価

東海大相模
日本一の激戦区である神奈川を制して5年ぶりに帰ってくるスーパーアグレッシブ軍団。

前任の門馬監督から原監督へバトンが引き継がれて3年が経過して原監督の元で初めての甲子園。
監督が交代したが基本的な野球のスタンスは変わらずに選手たちの高い能力を活かした超アグレッシブな野球が持ち味。

これまでは勝負弱い面が見受けられたがこの夏は一変。準決勝の向上戦、決勝の横浜戦ではともに終盤でビハインドを背負う厳しい場面から高い集中力と反発力を見せつけて見事な逆転劇を演じた。

終盤でゲームを動かすことができるまさに夏向きのチームを作ってきた。

投手陣はエースの長身サウスポー藤田君、2番手の剛腕2年生福田君がお互いにゲームメイクできる能力がある。3番手の塚本君も十分な実力の持ち主で投手の枚数に不安はない。

打撃陣はとにかくアグレッシブで1番三浦君、3番中村君、4番金本君、5番木村君、6番才田君ととにかくよく振れる選手が並ぶ。この上位勢の迫力は今大会屈指といって間違いはないはず。

日程的に大いに優位となりうる2回戦スタートを引けたこともあって戴冠へ待ったなしと見た。
唯一の不安は監督も選手も甲子園の経験がない点。ただしあの神奈川大会の雰囲気を味わってきているならばその心配は杞憂に終わるはず。

今大会の主役になりうる学校と信じて本命に据える。

S評価

青森山田
プロ注目のエース関君と4番原田君がチームの中心。
今年の青森県はレベルが高いと昨秋から言われ続けてきたが地力の高さを見せつけてくれた。
準々決勝で洗平君、岡本君擁する八戸学院光星相手にコールド勝ち、準決勝ではプロ注目のサウスポー金渕君擁する八戸工大一にコールド勝ち。
決勝戦では弘前学院聖愛の粘り強い野球に苦しめられてきたがワンチャンスをものにして満塁ホームランで一挙逆転するという反発力の高さを見せてくれた。
昨秋に神宮大会出場、この春のセンバツは優勝候補の広陵相手に逆転勝ち。この世代になってことごとく全国大会を経験してきたことがこの夏に実を結ぶ可能性はある。

こちらも有利とされる2回戦スタート。強運を味方に深紅の大優勝旗が本州最北端の県に渡るのは今年かもしれない。

報徳学園
2年連続センバツ準優勝の悔しさを胸に挑む今大会。
経験豊富な今朝丸君、間木君の2枚看板を中心に堅守で守り切るのが勝ちパターン。
県大会での大きな山場となったのは準決勝の社戦。

7回表に守備の乱れから3点前に出られて絶体絶命の危機となったが、今朝丸君に代打を送るという捨て身とも思われる作戦が実を結び同点に。
そもそも夏に大角監督がこういった思い切ったタクトを振ることにもビックリした。

8回からの3イニングを伊藤君⇒上阪君のあまり実戦経験の豊富でない2人でゼロに凌いでサヨナラ勝ちに持ち込んだ経験はとてつもなく大きい。

打っては切り込み隊長の西村君を中心に堅実に送りバントを絡めながら得点を取りに行く。

この夏にきて今朝丸君、間木君に続くピッチャーが出てきてくれたことの価値はとてつもなく大きいはず。

葛城コーチも手ごたえを感じているチームで一戦ずつ力を付けていけば兵庫県勢久々の戴冠があっても良い。

神村学園
昨年のベスト4を知るメンバーが多く残る。この春は秋の神宮大会決勝まで勝ち進み優勝候補の一角だった作新学院を撃破。2回戦で大阪桐蔭に敗れはしたもののインパクトのある戦いを見せてくれた。
この春での悔しさを胸にチーム力を大きく強化してきた。
鹿児島県大会は5試合で42得点3失点と全く隙の無い戦いぶり。

打線は4番の正林君を中心に繋がりがある打線で走塁の意識も非常に高い。

投手陣は春のセンバツから復調してきたエースの今村君を中心に早瀬君、上川床君もきて強力。

夏の経験値という意味では今大会指折りで昨年の経験を今年に活かせれば大いに期待できる。

A評価

大阪桐蔭
言わずと知れた高校野球の頂点に君臨する学校。
攻守に能力の高い選手が揃うが一番の持ち味は投手力の高さ。
ただエースナンバーの平嶋君が不調で大阪大会はほとんど登板がない。彼の復活がないと上位進出は難しい。

高崎健康福祉大高崎
春夏連覇を目指すことのできる唯一の学校。圧倒的な攻撃力は今大会随一。
佐藤君、石垣君の下級生コンビは超強力。と書きたかったがエースの佐藤君が左肘の疲労骨折のためベンチ外となった。

石垣君に掛かる負担は大きくなる中でこの局面をどう打破していくか。

とにかくキーマンはキャプテンの箱山君。彼がこのチームの顔であり全て。

広陵
高尾君-只石君のバッテリーは高校最高レベル。とにかく成熟したバッテリーで見ていて美しい。
高尾君に続くピッチャーの登場が鍵。

1試合だけの出力は全国屈指だがどうしても取りこぼしが多い。

『サクラの広陵』この2つ名を払拭できるか…

関東一
今年の主要な全国大会には全て出場。経験値の高さは指折り。坂井君、畠中君の左右の両輪を中心に守りが信条。セカンドの小島君、ショートの市川君はレベルの高い守備力。
激戦区東京で1年間しっかりと力を示しているならキッカケ1つで甲子園でも勝てるはず。

花咲徳栄
5年ぶりの甲子園。
振る力は全国屈指。その中心は今年の高校生No.1野手と呼び声の高い4番ショートの石塚君。彼が打線に火を付けると簡単には止まらない。埼玉で殴り合いを制し続けた打力を全国でも見てみたい。

京都国際
春の近畿チャンピオン。
中崎君、西村君のWサウスポーはしっかりゲームメイクできる。
キャッチャーの奥井君、ショートの藤本君、センターの沢田君とセンターラインの選手が中軸を担う。
センターラインの強固さは全国でも誇れるレベル。

ベスト8予想

組み合わせ表の左上から
東海大相模
関東一(明徳義塾)
青森山田
滋賀学園(花巻東)
大阪桐蔭
西日本短大付(京都国際)
神村学園
報徳学園(聖光学院)

優勝予想印

◎東海大相模
○青森山田
▲報徳学園
△神村学園
✕大阪桐蔭
☆聖光学院、関東一、西日本短大付

さぁ暑い、アツい、熱い夏の始まりだ!
こんな陳腐な展望がことごとく裏切られる展開を大希望!
高校球児の皆様、全力プレーで素晴らしい夏としてください!

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