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【FF15クリア】未完成じゃなければ名作になれたレガシー。有料コンテンツ8個買って真相が分かるストーリーはダメよ。

「やっぱり辛ぇわ」のセリフだけ一人歩きして、発売当時は酷評されたファイナルファンタジー15を8年後に初見プレイしてみた。

発売当時は10年待ったファンにバグだらけの未完成品をリリースして大変怒りを買った作品でもあったが修正された今やるとまた違う景色も見える。

今もセールでワンコインで買えてしまう扱いだが、正直例のセリフも何も知らない状態だったのでそこまで先入観なく令和にプレイできた感想を。

クリア時間は金策にサブクエをチャプターごとで費やしても20時間程度で終わった。サブクエのやりこみ要素もあるが本編に影響することは何もないのでメインだけで無理やり行けば19時間前後で終わるだろう。

あらすじ
ルシス王国とニフルハイム帝国の間で長く続いた戦争が終わろうとしていた。停戦協定の調印式を数日後に控えたルシス王子ノクティスは、その和平の証として帝国属州テネブラエの令嬢ルナフレーナと結婚式を執り行うため、王の盾と呼ばれる親衛隊グラディオラス、王子の御側付きで参謀役のイグニス、陽気なムードメイカーの親友プロンプトら、3人の仲間たちと共に王都を発つ。

良かったところ

普通に書き進めると不満だけの記事になりそうなので最初は良かった点を。

・PS4のポテンシャルを最大限に生かした映像美とアクション演出

以前にFF7リメイクをプレイしたがアクションの自由度や映像美は本作の方がよかった。

映像に関してはPS4のソフトタイトルで見ても1位2位に入るポテンシャルの活かし方をしていたと思う。神ゲーと言う人がいるのもこの辺の評価からきているのだろう。その点だけであれば同意できる。

今作からコマンドから切り替わったアクションも中盤以降はシフトブレイクを多用して戦うことが増え、フィールド全体を使った自由度のある戦いができる設計は上手かった。

ボスの難易度自体は大したことなくとどめがQTE主導だったり、終盤は召喚獣や指輪を手にして大味な戦いが増えるのは気になったが映像美のポテンシャルを活かしたアクロバティックなアクションは切り替え初作品としては魅せられる内容だったと思う。

・神ゲーになれたエンディング演出

ネタばれになる人もいるかもしれないので細かくは触れないが、エンディングまでの演出はよかった。

それぞれのプレイヤーの冒険の過程が気づけば伏線回収にさせられるエンディングになるのは感心させられる。

中盤以降からキャラクター各々の物語も動いていき映像演出は素晴らしい。

ここに肝心なキャラ背景や関係性、ストーリーの詳細がもっと見えていれば感動できたのだろう。


不自由を強いるオープンワールド

FFナンバリングとしては初のオープンワールドに挑む意欲作だったが、発売当時からPS4タイトルとしても考えられないほどバグが多発しFFのシリアス世界には似つかわないネタ方面で話題になった。

今やってみると度重なるアップデートで大分修正はされており概ね普通にプレイできていたが、序盤の所々に演出とは違う音楽と動きをしている場面もあって相変わらずの底力はまだ垣間見える。

主役のオープンワールドはPS4のグラフィックを最大に生かした景観から8年後にプレイしても感動できる映像美とマップの広大さは感じられる。

ただ移動はレガリアと呼ばれる車が主になるため、舗装された道を走ることがメインでイレギュラーにはみ出る自由度はあまり感じられない。

また広大なマップなため車の移動時間も遅く一つの場所に数分はかかるためテンポが早すぎるストーリーとは裏腹に、割いてほしかった時間配分がここにかかってしまう。

景色も特徴が変わらないため中盤以降オープンワールドの仕様に興味を持てなくなり、ただ到着までスマホで違う作業を開始してしまう人も少なくなかったと思える。

そして時間縛りが謎に多いのも気になった。夜になると車移動ができなくなって急に変な場所で降ろされたり、挙句道中でレベルに見合わないモンスターがうろついていたり、進行中のクエストが朝まで進められないのもざらにある。

何とか宿泊して朝を迎えても約45分で夜になるためサブクエ一つこなしたらあっという間である。また中盤以降はストーリーの関係上もっと夜が長くなる。

折角のオープンワールドでもサブクエや移動の余裕も必要最低限に狭められるような制限が多いのはあまり意味を感じられなかった。


ゲーム本編では大枠しか理解できないストーリー

今作は長年続くルシス王国とニフルハイム帝国軍の争いを止めるための王国側の王子ノクティスとその親衛隊の仲間らがメインとなる。

長年の争いに王国側のノクティスと帝国側のルナフレーナが結婚することで停戦協定を結ぶはずだったが、帝国側がそれを裏切る形で奇襲しノクティスの父の王は亡くなり帝国側に支配された。

王国の象徴であったクリスタルも帝国側の支配下におかれたため奪還するべく、ノクティスらは王の遺言によって王家の力を集める旅に出て、帝国の黒幕と戦っていく。

ゲーム序盤から王国と帝国軍の歴史背景や争いの説明や描写は何もなければ、ノクティスと親衛の仲間たちの背景も見えないまま始まる。

オープンワールドを始めわざわざ国単位で規模の大きい話にした割には政治的な場面が出てもいまいち薄く感じられるのは残念だった。

クリア時間が20時間弱しかないように1つのチャプターの内容も薄くアクションと移動がメインのまま気づけば中盤まで続いていく。

中盤以降はキャラクター各々で話が動いていくがその過程のシーンや前後の関係性をプレイすることも描くこともないため、誰かが亡くなったり、重傷を負って怒ったり、泣いていたりしてもプレイヤーは詳細がよくわからず置いてけぼりになる。

グラディオが途中うるさいおじさんにしか思えなくなってくるのもキャラ個人の物語や関係性が見えないままここまで来ている象徴に感じた。

全体的に世界観やキャラの筋は通っている展開ではあるのに、その過程がお粗末なだけにご都合主義の物語と思われても仕方ない。

結局その間の補完は有料DLC4本とラジオ小説、ifルートも描く小説の計8本のコンテンツを受け取ることで明らかになるらしい。

ゲーム本編は大枠だけの内容で有料コンテンツ8本でようやく完成だったというのはどうかと思う。

DLCの映像も見たがサイドストーリーではなく完全に本編の役割を果たしてたので相当大人の事情が絡んでいたことしか理解はできない。

https://a.r10.to/hkL8ad


子と父の正しい結末と母親代理のルナフレーム

パッケージが語る本作の物語のテーマ性は父と子の物語であった。

母と娘、息子をテーマにした話はよく描かれても父と子の物語は基本的に描かれない。男はそもそもあまり語らないし、単純に堅苦しくて見てられないとか理由は様々あるが、

本質的に一つ言われるのは良い父親の役割は「子供から超えられること」だけで母親より仕事が何もないからということ。

今作では王である父は開始から息子を家から送る身になり、退場していくことでその点を解消した。ノクト自身も開始から父を鬱陶しく思ってる時点で結婚は半分彼主導の話になっていると思われる。

父親を超えてもらう一つの条件が家から一旦出て行ってもらうことでそこで王の役割は終えていた。

その後ノクトは王家の力を集め、父を超える大人へと歩む旅に向かう。そして男が大人へと歩む過程として母親からの自立がもう一つある。

ノクトの母親は不在だったが幼いころからその代理も担っていたのが王女のルナフレームであった。

そして彼女が退場し彼女の死を受け入れたことでノクトは外見とともに大人になり、父を超えた姿で王の椅子に座り終わっていった。

家族をテーマにしたようには一見見えないが、それを間接的に踏まえた成長譚としては正しい運び方と結末だったと思う。

大人になったうえで礎になるのは仲間になるのだがその3人も退場して終わるのだから「やっぱつれぇ」はずである。


制作指揮は別だがこの未完成による遺産が後のFF7リメイクに影響していないとも言えないのは複雑なところでもある。

良いところはあまり継承されず悪いところは誇張して改良されていることが、また負の連鎖を産んでいるのが最近のスクエニ事情になっているのは本作からもプレイして改めて感じられてきた。

クソゲーとは思わないけどFFナンバリングとしては凡作なのは結局映像しか褒められなくなってるからかもしれない。









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