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実は完結に失敗して黒歴史化しかけていた「ロッキーシリーズ」まとめ【映画】

わざわざ書くほどもない誰もが知っている作品だが、その世代を除くと全作追いかけられる人はもう少なくなるだろう。

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あらすじ
無名ボクサーのロッキーは、先の見えない日々を過ごしていた。そんな中、話題作りを目論む世界チャンピオンが格下の彼を対戦相手に指名。愛する人のため、そして自身のために、ロッキーは一世一代の決戦に挑む。

そもそもロッキーが誕生した理由

まだ無名だったスタローンがモハメドアリの試合をみて感銘を受け、後のロッキーとなる無名ボクサー映画の構想と脚本を書き上げスタジオに売り込んだことから始まっている。

自分が主演であることを条件に売り込みが成功し制作、公開までこじつけて大ヒットした。

無名だったスタローンはホームレスも経験していたと聞いたことがあるが、無名のロッキーと共にアメリカンドリームを掴むスタローン自身の物語だったともいえる。

ただ今ではロッキーの権利はスタローンの元に1%もないらしく、譲渡も許されなかったことでクリードの出演に影響が出るなど哀しい展開にもなっている。


これさえ収めておけばいいロッキー1作目



なぜそれまで無名だったのかと疑うほどスタローンのマッチョすぎる肉体と溢れる貫禄で、低予算も関係ないほどに映力にも圧倒される。

そして誰もが知るロッキーのメインテーマから挿入歌のtake your backまで音楽やタイミングに関しても完璧で、神がかり的な作品だったとしか思えない。

有名なトレーニング前の全卵丸飲みシーンも実はシリーズ通してこの1作目と最終作ザファイナルでしかしていない。

その後のスピンオフ作主人公であるクリードはシリーズの因縁の強敵であり友ともなるアポロの息子である。

もはやクラシックとして語り継がれるトレーニングシーンやクリードきっかけで過去の因縁を見返すうえでは1作目さえ押さえておけば十分だろう。


監督としても成功した続編「ロッキー2」


あらすじ
宿敵・アポロとの再戦! ロッキーは再び愛と人生を賭けたリングに立つ!

スタジオの反対も押し切りスタローン自ら監督として制作した続編。

アポロとの試合後目のけがも相まって引退を決意していたロッキーだが、タイトルマッチの賞金によるエイドリアンとの豪勢生活に次の職探しが上手くいかず再びアポロとのリベンジマッチを受ける状況になっていく。

ここからシリーズの物語の流れはタイトルマッチ勝利→賞金で豪勢生活→金銭トラブル→引退撤回で鉄板化していく。

1の劣化焼き回しと言う人もいたがロッキーの目のケガを負ったハンデの中での練習や駆け引きは最後まで見ごたえあった。

クリードにも継承されたミッキーによる鶏を追いかける俊敏性の練習はロッキーの視力ハンデをスピードで補うために今作で行われた。

エイドリアンとの馴れ初めを自ら語るシーンも現代の男性主人公では中々言えない純粋な良い男なセリフがそのまま出ているので個人的にはシリーズ名セリフだった。


ここで終われたら完璧だった「ロッキー3」


あらすじ
強敵<殺人マシーン・クラバー>出現!闘争本能を、失った栄光をロッキーは取り戻せるのか──?

アポロ戦から数年間ベルトを防衛してきたロッキーは引退も視野に入れていたが、新たな挑戦者クラバーの挑発により再びリングに上がることになる。

トレーナーだったミッキーは今作で早々退場してしまい代わりにアポロが専属としてロッキーのトレーニングや技術を伝授する熱い展開に。

試合の代理人も務めていたミッキーの戦略や全盛期から衰退期に入ったロッキー自身の揺れ動きも、ボクサー映画の集大成としては完璧なドラマだった。

賢くここで終われる判断ができる大人がいればシリーズ単位で愛される完璧なボクサー映画となっていただろう。

スタローン自身も4作目からはあまり意欲的ではなかったらしいが、この辺から権利問題の争いも表面化していたようで彼の発言権は既に奪われていったのかもしれない。


政治色を押し出しすぎて駄作化した「ロッキー4」


あらすじ
世界最強ボクサー“ドラゴ”参戦! 親友・アポロの復讐を誓う、ソ連でのデス・マッチ

ロッキーのパッケージが利用されただけの政治工作映画に。

公開年は1985年で冷戦のさなかでソビエト崩壊になった年でもある。

対立軸であったソ連への偏った敵対心をアメリカとしては映画でも煽りたかったのであろう風潮が前面に出ていてかなり冷める。

ロッキー対ドラゴではなく、アメリカ対ソ連の対立構造としての演出に終始し描かれている。

相手となるドラゴは改造人間として設定されており余計にアメリカ側に正義が見えるよう演出されている。

最後のドラゴ対ロッキーのマッチシーンだけは面白いが、そこまでに至るドラマは最悪である。この作品でアポロがあっさり退場してしまうのも政治対立に利用されたようで非常に残念だった。

後にスタローンが再編集しドラゴ対ロッキーのマッチを数年前に公開されて話題になったがアクションに関しては申し分ない。

またクリードの二作目炎の宿敵の相手はドラゴの息子が登場するほど、制作側が思入れの強い作品になっているのは分かる。

黒歴史となった完結1作目「ロッキー5」


あらすじ
引退を決意し、再出発したフィラデルフィアの英雄ロッキー。今、愛と勇気のゴングが鳴り響く!

完結させようとしたが最低の終わりになって黒歴史化した。

4から構成がドラマメインになってしまうが、感動の(?)完結作にさせるはずの5は如何せん詰め込みすぎて面白くない。

アポロも失ったロッキーは遂に引退し、トミーという有望なボクサーを弟子にしてトレーナーとして生活するようになる。

今思えばクリードにおけるロッキーの師の在り方は幕引きとしてここから構想されていたともいえる。

ボクシングから解放されたロッキー個人の話に寄せればもう少し厚い話になったと思うが、彼の不器用さによる家族間のトラブルやトミー自身にも安易な裏切り問題が急に起きるのでドタバタのままこじつけで終わっただけで感動が薄い。

師と弟子に加え、息子と父親とのあり方で交錯する話になるところまでは良かったのに、結局どちらも折り合いつけられ仕舞いで人間ロッキーの良さが見えるドラマにはなっていなかった。

また肝心なアクションもラストシーンまで結局リングには全く立たず、裏切ったトミーをストリートで普通に殴り合って終わるかなり残念な幕引きに。

リングから解放されて成熟したロッキーの姿を見せて終わりたかったのは分かるが、シリーズ通してストリートに逆戻りで終わったため大変不評で制作人からもなかったことにされた完結1作目だった。

ロッキー最終章として銘打ったのにリングにも上がらず、結局シリーズとしても最悪の興行だったのは言うまでもない。


二度目の正直の完結作「ロッキーザファイナル」


5で終わりじゃなくてよかったといえた最終章。余りにも前作で起きた話はなかったかのように構成されていたのは笑えるがモヤモヤは吹き飛ばされた。

年を取り、家族とも疎遠となって孤独化した状態からリングに上がっていく過程は1の原点回帰を彷彿とさせるドラマだった。

メインとなる試合演出も今見ても新しいテレビ中継的演出でリアルにロッキーが実在したことも錯覚させる質でよかった。あの演出は知っている限り真似されていない。

あそこからクリードのロッキーへ繋がれていくにも綺麗な終わりだと思った。

これからロッキーを見るなら1作目とザファイナルが見られれば十分満足できるだろう。

失敗に終わった完結1作目から16年後に汚名返上のリングに上げてしまう力技は、スタローンだからこそできた幕引きだったといえる。


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