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怖い話し その2

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ホラー小説まとめ 11話〜20話収録。
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#ホラー小説

#20 短編空想怪談「上階の音」

#20 短編空想怪談「上階の音」

僕の部屋はマンション5階建ての3階。
1LDKで一人暮らしには少し広めだが、僕が大学生時代にせっかく父が「お前も大学生なんだから、そろそろ一人暮らしくらいしろ。」と、探してきてくれた、良物件だったのでそのまま、そこにはもう10年以上は住んでいた。
大学を卒業後も、特に彼女や親しい友人が居るわけではなかったので、社会人になった今もその家に住み続け、今は家と会社を往復するだけで、何ら変わりの無い毎日を

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#19 短編空想怪談「必要ない人」

#19 短編空想怪談「必要ない人」

会社の同僚が行方不明になった。

家に連絡、訪問をしてもどこにも居らず緊急連絡先として実家の電話番号があったので、そこにも連絡をして、安否を確認するが実家にも居ない。
程なくご両親から捜索願が出された。

会社は会社で、居ない人間の穴埋めの為に引き継ぎがなされた。
彼の仕事の引き継ぎは簡単に終わり、数日後には何事も無かったかの様に滞り気味だった会社の運営も解消。
言い方を変えれば、その人が居た形跡

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#18 短編空想怪談「きさらぎ駅」

#18 短編空想怪談「きさらぎ駅」

皆さんは「きさらぎ駅」という話しをご存知でしょうか。
今から10年以上前、ネット掲示板に書き込まれた正体不明の存在しない駅。
私が子供のころ、初めてこの話しを知った時は背筋がゾッとしたのをよく覚えている。
しかし今となっては創作の可能性も高く、本人かどうかは定かではないものの、後々にまたスレッドの主の書き込みで、生存報告もされている。

私も今は子供の頃程の恐さは感じず、面白半分で、すこし興味がで

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#17 短編空想怪談「あなたに贈る…」

#17 短編空想怪談「あなたに贈る…」

ある同人イベントにて、
その時も北美ティナ(仮称)はいつも通りの可愛らしい姿でそこに居た。
彼女は元々アイドルグループの一人で、数年前にそのアイドルグループを卒業。
アイドルグループとしては珍しく、作詞作曲を彼女が担当し、「あなたへ贈る手作りアイドル」というキャッチフレーズで数多の曲を売り出していた。

卒業後は自主制作に励み、同人イベント等にも度々出店はしていたものの、アイドルをしていた時と打っ

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#16 短編空想怪談「何もない部屋」

#16 短編空想怪談「何もない部屋」

その部屋は特段何か噂がある、事故物件だとか幽霊がでるとか、そんな話は無いし、内見の時も不審な所は無かった。
陽当りのいい2階の角部屋、キッチンも風呂場もリフォーム仕立てでピカピカ。

僕は一目でその部屋を気に入り引っ越すことにした。

週末は友達を呼んでどんちゃん騒ぎ、休みの日は映画やゲームを爆音で遊んでもクレーム一つ来ない。
というのも、下の部屋にも隣の部屋にも住人は居らず、他人を気にする必要も

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#15 短編空想怪談「見てはいけない人」

#15 短編空想怪談「見てはいけない人」

私は某引っ越し会社に勤務しているのだが、
いや、勤務していたと言ったほうが正しいんだけど…
そこにはいつもニコニコしてる田中さん(仮称)という人がいる。
田中さんはいつも本当にニコニコしていて優しい人で怒るところを見たことがない。

私も何回か同じ現場になったことがあるが、どんな理不尽なクレームや、無理難題にも文句一つ漏らさずニコニコしながら仕事をする。
そして田中さんは時々おかしな予言をする。

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#14 短編空想怪談「ペット」

#14 短編空想怪談「ペット」

僕の住んでるアパートはペット禁止、という訳ではない。
と言っても、どの部屋でも飼ってる訳ではないけど、ポツポツとペットを飼ってる部屋はあるようで、
たまに犬を飼ってる部屋もあるらしく、散歩の出掛けの住人を時々見かける。
大抵は室内飼いで収まるようなネコ、もしくはハムスターなどの小動物しか飼ってないのか、あまり外に出してる姿を見かける事はない。

ただ、不思議なのはペット禁止ではないこのアパートはペ

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#13 短編空想怪談「サバイバルゲーム」

#13 短編空想怪談「サバイバルゲーム」

サバイバルゲームというのは一定の場所に集まり、10人~15人程で、1チームずつに別れ、
自分たちで持ち寄った銃や、もしくはサバイバルゲームを運営しているお店から銃をレンタルして、撃ち合うゲームだ。
装備が整ったら銃を撃っても良いエリア、ゲームフィールドへ。
ゲームのフィールドも様々で、外であったり室内だったり。
撃たれれば、「ヒット!」と叫び、フィールドから退場する。
これが主なサバイバルゲームの

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#12 短編空想怪談「ひとりでできるもん」

#12 短編空想怪談「ひとりでできるもん」

僕らは結婚してもう3年程経つ夫婦だ。
これまでも生活は順調に続き、特にこれと言った夫婦間の問題も無い。
あるとすれば一つ、妻に子供が出来ない事。

元々二人で話し、そろそろ結婚して子供がほしいとの思いから、僕の方から結婚を申し込み、彼女も快く同意。
すぐにはできないとは思っていたけど、3年も経ってできないと心配になり、何度か妻にも検査をしてもらうも、異常は見られない。

最近になって僕の方にも問題

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#11 短編空想怪談「深夜のコンビニ」

#11 短編空想怪談「深夜のコンビニ」

僕の家の近所に新しくコンビニが出来た。
僕は一人暮らしで、仕事柄夜10時前後の帰宅や、遅い時は11時になることもある。
駅前にはスーパーはあるが、そのスーパーも10時を超えれば閉店してしまうので、このコンビニはありがたかった。

今日も仕事終わりに夕食を買って帰ろうと帰りにコンビニに立ち寄り、弁当や夜食を物色し、食料を買って帰る。
そんな日常が続いていた。

ある時気づいた事がある。
雑誌のコーナ

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