ゼロイチ4

ゼロからイチを作るのは大変なのだ

こんにちは。田上です。
今日は損害保険を扱う代理店向けの営業支援ツールの話をしたいと思います。

現在作成中のツールは今までどの事業者も制作したことのない、ゼロから開発をスタートしたツールになります。開発にあたっては起業やサービス開発に関わる様々な情報をインプットしつつ、日々手探りでトライアンドエラーを繰り返している状態です。

今日はそのトライアンドエラーで得た気付きを備忘目的も含めまとめていきたいと思います。


サービス開発にあたって参考にした3冊

開発は主要メンバー3人で取り組んでいるのですが、皆の認識を合わせるためにも本の共有は役に立ったような気がしています。以下がその3冊です。

1、「ジョブ理論」完全理解読本

こちらはペルソナ設定やサービスの位置付けを考えるのに重宝しました。人は皆やらなければならない”ジョブ(仕事)”を持っていて、我々の作るサービスがペルソナの何のジョブを解決するものなのかを考えなさい、という発想を我々に与えてくれました。
ちなみに人がそのジョブの解決策を従来のものから新しいものにするのは、従来のものから5倍の便利さを感じないと代替しないというデータがあるそうです。

2、起業の科学

言わずと知れたベストセラー。こちらはスタートアップやスモールビジネスがやりがちな失敗を指摘すると共に、失敗しないために踏むべき検討プロセスを明示してくれている良本です。

3、ZERO to ONE

こちらは2014年から和訳され出版されている、PayPal創業者のピーター・ティールさんの著書です。ベンチャー企業としてゼロからサービスを立ち上げる際に抑えておくべきポイントが纏められています。特に『市場を独占できること』という点は今でも強く意識しているポイントです。


ポイント1、市場の分析

やはり最も大きなポイントはどの市場にコミットするのか、という点だと思います。我々の場合は勿論メンバーの課題感が出発地点だったのですが、特に以下の点に着目し、検討した結果コミットすべきという議論で落ち着きました。

● 市場規模が大きい、又は成長率が高い
● IT化が遅れている
● ブラックボックス化されている部分がある

まずは市場規模や成長率の観点です。やはり市場が大きい・成長率が高い=資本が集まると単純化して考えることができ、サービスとしての存続性、成長性がある程度見込めます。
又、少しの改善で大きな収益的効果を生み出せるということも言えるでしょう。それと関連して、影響度が大きいことをしたいという仲間の集めやすさも根底は市場の選別が重要なキーを握っているのだと考えています。

次にIT化が遅れている市場という点ですが、IT化することでの効率性・付加価値UPが見込めるというのが大きい点です。業界の方からありがたがられるだろう点も大きいですね。
一方でIT化が進んでいない業界にはそれなりの理由があるわけで。業界慣習やレガシーといった負の面も持ち合わせています。ですのでこの点は特に『なぜ今やるべきなのか?』という点と一緒に考えることが必要だと思っています。

最後にブラックボックス化されている部分があるという点ですが、ブラックボックス化=一般的な人には知り得ない仕組みがあるということです。どの様な仕組みで収益が上がっているのかが見えにくい業界ほど競合相手が現れる確率が低くなります。


ポイント2、グローバルの視点

こちらは少しイレギュラーな点だと思いますが、個人的なこだわりもあり入れました。

日本はこれから確実に人口が減少していきます。国内の限られたパイを奪い合うゼロサム的なビジネスモデルだと、継続性の観点から厳しいと言わざるを得ません。一方で現在の日本は言語という高い障壁に守られた成熟した市場なので、日本の中でスケールを狙い、次に海外展開といった筋道をこの時点から思い描いていた方が良い様に思います。

我々はビジネスサイドを担当している2人が商社出身ということもありこのあたりの価値観はすんなりと合致しました。ある程度人類共通の普遍的な課題を内包した市場を選んだ方が良いということですね。


ポイント3、議論・検討の進め方

我々3人はとりあえず盲目的に『起業の科学』にあるステップに沿ってプロジェクトの議論・検討を進めていこう、という合意をしていました。現在もそのステップの途中なのですが、多くのメリットを教授できているなと実感しています。
一点、我々がよくつまづいていた点をシェアすると、メンバー全員が起業の科学のステップを行うのが初めてなもので、夫々のステップが全体の中でどの様な役割を持っているのかが分からず、議論に多大な時間を割いてしまったという事がありました。
例えばカスタマージャーニーマップなどは、一旦ペルソナを設定しヒアリングを繰り返す中でどんどんとブラッシュアップしていくべきなのに、ヒアリングをする前にめちゃくちゃ時間をかけて作り込む、といったことをやっていました。

こういった状況は『一回架空のスモールビジネスを作り各ステップをさらう』ことで解決しました。我々が作ったビジネスは『猫の避難グッズ通信販売』です。(私が猫を飼っていてその当時避難グッズを集めていたので笑)
ペルソナは私の妻、カスタマージャーニマップを簡単に作り、抱えている課題感を抽出。UI/UXをデザインし、実際にECサイトも簡単なものを作りました。もしかしたら売れるかもと思い公開していましたが1つも売れず最近閉めました笑。

この一通りさらうことを行なった為、各ステップがもつ意味をチーム内で共有でき、それからの議論は非常にスムーズに進んでいきました。


ポイント4、インタビュー

何よりも苦労しているのが、インタビューです。設定したペルソナ像に近い人にコンタクトするのですが、特にtoBのビジネスモデルの場合、該当者に繋がるのが非常に大変です。

そんな中で私が有用だなと思った方法が、『紹介をお願いする人にこそ全力でプレゼンする』というものでした。最初のうちはFacebookやTwitterなどで「ペルソナっぽい人を知ってる人紹介して下さい!」的なメッセージを出していたのですが、全く反応なく。次に個別に知っていそうな人に「こんなサービスを作ろうと思っているんで、ペルソナっぽい人にインタビューしたいのですが知りませんか?」的なメッセージを送りましたがこれも殆ど実を結ばず途方に暮れてしまいました。

きっかけはひょんなことで、前職で大変お世話になった先輩が「サービスのことはどうでもいいけど飲み行こうよ」と誘って頂き、飲みの席でサービス内容をプレゼン資料を使ってガッツリ説明しました。すると「あいつに聞くのがいいと思うよ。」と簡単に繋がりました。冷静に振り返れば私が逆の立場だったら、該当する人物がいたとしてもなんて説明すればいいか分からないし、そもそも田上が信用できるかどうかもわからない、ということにその時気づきました。
『紹介をお願いする人にこそ全力でプレゼンする』これがペルソナにコンタクトするコツだと思います。


ポイント5、ペルソナの定義

2、3社回った時に、我々が定義したペルソナにマッチする方々に話を聞いたはずなのに、それぞれ抱えている課題が微妙に違うぞ、という問題に当たりました。
この問題に当たった時に我々がとった対策は以下の2つです。

1、インタビューした人が言っていたことの事実検証をする
2、ペルソナをPrimaryペルソナとSecondaryペルソナに分類する

1つ目の理由は簡単で、インタビューした人も実は自分の抱えている課題が何なのか言語化できていない可能性がある、ということです。例えば「○○が課題だと思っている」と言った時も、実はその課題はシステムの設計の課題なのか、それともオペレーション上の課題なのか、その人自身が気づいていないパターンなどが挙げられます。そのためインタビュースクリプトを作り、インタビューした人の課題の根本原因まで掘り下げられるように意識しました。これにより夫々の持つ課題感の前提条件が揃うようになっていきました。

2つ目の対策は、ペルソナをPrimaryとSecondaryに分け、自分たちが本当に狙うターゲットを精緻化して行きました。これによって、Primaryのペルソナが欲しいと言った機能はmust haveに、Secondaryの欲しいと言った機能はnice to haveにと言った区分けを自分たちの中で持つことができ、コアバリューの明確化に繋がったと思っています。


さて、まだまだ感じたポイントはあるのですが、文量が多くなって来ましたし、現在進行形のプロジェクトなので、続きはまたある程度トライアンドエラーのログが溜まってからにしたいと思います。

今日はこのへんで。


Twitterでは日々の進捗をつぶやいています。


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