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インターネットは、なぜ通信量で課金されないのか

そもそもインターネット接続が始まるまでは、定額制という料金を見かけることはありませんでした。電話だって3分10円でしたし、大型機への接続もCPU時間以外に接続料金というのがあったような気がします。

インターネット以前のパソコン通信でも、接続時間で料金が発生していましたし、当時はアナログ回線で繋いでいたので、これとは別に電話料金もかかっていました。このためノンビリとチャットをするのも憚られ、巡回ソフトというツールを使ってプログラムで必要な情報をダウンロードしてからオフラインでじっくりと記事を読むという使い方が一般的でした。

電話料金の方はテレホーダイというサービスが始まり、夜間に関しては繋ぎっぱなしでも電話代を気にしなくても良くなりましたが、今度はアクセスポイントが大混雑で接続するのに何度も電話を掛けるという苦労が始まりました。もっともモデムが自動的に掛けてくれるので、放っておけば良いのですが、再接続まで待つ時間というのが公式には決められていて、自動だと待たされるので、手動で何度も接続を試みていたような気がします。

今でも aws などは、通信量やCPU使用量、ディスク容量などに応じてきめ細かな料金が発生しますが、大型機などの世界ではこれが普通で、これを測定し管理するための道具も揃っています。UNIX(Linux)の場合であれば。sar というコマンドがあって、この手の情報を集計することが出来ます。

sar (Unix)

こんな状況ですから、ネットにアクセスするにはいつも能率よく使わないと、途端に料金が跳ね上がる仕組みになっていました。

インターネット接続も最初は通常の電話回線でアクセスポイントへダイアルアップ接続をしていたのですが、専用線に依る接続であれば接続速度で料金が発生するだけで、通信をしようがしまいが同じ料金しかかからなくなりました。こうなると、通信量を節約したところで、料金が安くなるわけでもなく、今度はできるだけ使わないともったいないということになったわけです。

また接続時間を管理するにも、結構大変です。接続装置には大体において、どのセッションが、どの程度の時間にどの程度の通信をしたかを記録する機能がありますが、これをユーザや組織毎に集計して料金を計算するのは、それなりに手間がかかります。一見、大したことが無いようにみえるかもしれませんが、大体において装置は負荷の変動や故障に備えて多重化されており、それらをかき集めて来なければなりません。

インターネットを普及させるためには。通信時間を気にせずにいつでも使えるようにすることが重要だと考えられていましたし、そもそも何を持って料金を発生させるべきかは大きな問題となりました。

その昔、とあるパソコン通信のイベントで、インターネットの大御所でもある某MJ先生が語ったことがあるのですが「インターネットというのは、そもそもベストエフォートな設計をされている。その時々で具体的なルーティングは変化するし、通信速度も一定ではない。状況によっては再送も発生するので、通信量や通信時間あたりで同じ結果が得られる保障はまったく無いので、このような数字を使って料金を発生させるのはナンセンスである」と言っていました。

確かにその通りで、ダウンロードに失敗したから通信料金を返せと言われても、それが誰の責任で誰が返すべきなのかなんて、それこそ誰にもわからないわけです。そういう訳で少なくとも有線を使った接続であれば月額固定の料金設定が一般的となり、無線であってもおおよその通信量ごとの料金がかかる仕組みになっています。このような料金であるからこそ、程度の問題はありますが、たくさん使ったほうがむしろお得に感じるので、セッセとネットに繋いであれこれする気持ちが出るわけですね。うまいこと考えたものです。

サブスクなんかも、この考え方の延長なのかもしれませんが、何事もやりすぎは禁物です。電気代も上がっていますし、インターネットのインフラにも多くの電気が使われているので、いざ値上げとなると、今度はどう節約するのかの手法が流行するのかもしれません。悲観的に考えるのではなく、きっとここにもビジネスチャンスはありますよ。

ヘッダ画像は、いらすとや さんよりhttps://www.irasutoya.com/2016/09/blog-post_213.html

#インターネット #接続料金 #課金 #電話代 #固定料金 #サブスク

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