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最先端がリアルを変える - 宇宙食とインスタント食品

その昔、アポロが月に行った時代、宇宙での生活に関するいろいろなものが話題になりました。三段式ロケットや司令船と着陸船のランデブーなど、物理な話題も多かったのですが、宇宙空間で人間が生活するには無くてはならない衣食住にも興味が注がれました。

宇宙食

その中でも宇宙食は身近に感じられたのでしょう。宇宙飛行士はどんなご飯を食べているのかが話題になりました。アポロ以前のマーキュリー、ジェミニ時代はまだ滞在時間も短かったのと、船室のスペースが足りなかったので、歯磨き粉のようなチューブに入れられたゼリーであったり、食品を乾燥させたものを水で戻して食べるのが精一杯でしたが、アポロの時代にはお湯も使えるようになり、かなり食事らしいものになりました。

宇宙食 - JAXA

Food of the Apollo 11 Lunar Landing 勝手訳

当時から「今はまだこんなものしか食べられないけど、いずれ地球上と同じような食事を食べられるようになるだろう」とは言われていて、その後の宇宙計画では宇宙食の研究が続けられ、確かに豊富なメニューから選べるようになりました。

ただよく考えてください。当時の地球上の食事といえば、日本であればご飯に味噌汁、そして漬物に焼き魚。中国であれば麺類や餃子に油炒めといったところです。そのような料理が宇宙で食べられるようになったのかというと、少し違います。レトルト食品やインスタント食品という分野が発達し、宇宙でも食べられるものが地球上でも普通に食べるようになったとも言えます。宇宙を目指していた研究が普通の食事を変えたのです。

今では宇宙関連の施設のお土産として宇宙食は定番ですし、通販でも買うことが出来ます。

宇宙の店

このように技術の進歩は自分に関係ないところからやってくることも多くあるのです。がまず非常食であるとかに使われ、普通の食事であっても手間を掛けずに必要な栄養を取れる便利なものとして日常になっていくのです。宇宙船において必要なことが日常生活においても必要なことなのは確かです。

宇宙と地上における食課題解決の同時実現への期待https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/region/2021/11/3_vol220.pdf

こういったことは何も食品だけではなくて、意外なところでも起こります。最近ではAIによる画像生成でリアルなグラビアが作られるようになっていますが、自然でリアリティのある画像を目指しているのは間違いないのですが、ある意味、そこはリアルだけを求めているのではなく、願望というか希望も入ってくるのです。その結果、リアルなモデルさんのほうがあたかもCGに見えるようなファッションであったり、お化粧をするようになり、リアルのほうがCGに近づいているような気もします。

技術の発展の面白いところは、身近な自然なものを目指していたのに、特に人間社会においては社会の方を変えてしまい、結果的に目標に到達するということもあるということです。実はAIの研究もそういうところがあるのではないかと疑っており、社会がAIに寄り添った結果、どのように変わってしまうのかをちょっと心配しながら見守っています。

ヘッダ画像は、以下のものを使わせて頂きました。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ISSSpaceFoodsAssortment.jpg
NASA - http://www.nasa.gov/audience/formedia/presskits/spacefood/gallery_jsc2003e63875.html, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3545086による

#宇宙食 #アポロ #AI画像生成 #日常

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