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FM-8のキーボードとキーコード

文字コードの話が続いたので、そろそろキーボードに戻りたいと思います。次に調べたのが富士通の初代パソコンであるFM-8ですが、いろいろ調べてみると実に資料が見つかりません。

FM-8とバブコム80

後継機であるFM-7はそれなりに見つかるのですが、FM-8(とBUBCOM80)については、ほとんど見つからないのです。少なくとも書籍はあったと思うので、どこかで見つけたら調べられるのかもしれませんが、仕方が無いのでFM-7の資料と、その中にあるFM-8との違いという説明に着目して、何とかまとめました。一部、推定のところもありますので、もし不正確な場所が見つかりましたら、ご指摘頂ければ幸いです。

まず、基本的なキーレイアウトからです。

何も押さない状態

パッと見はファンクションキーが5✕2段ある標準的なJISキーボードにも見えますが、よく見るとTABキーがありそうなところにCAPSキーがあり、TABキーはGRAPHキーの右隣(スペースの左)に鎮座しています。カーソル移動キーはテンキーの上部に独立しており、ファンクションキーの間にはCLEAR/HOMEと共に見慣れないEL/DUPキーがあります。どのように使うのかは定かではないのですが、ELはカーソル位置から行末までをクリアし、DUPはカーソル位置の上の行の内容を複写するもののようです。

CAPS、カナそしてINSはモードを持つので、キーの近くにモードを示すLEDがあります(GRAPHはモードがないのでLEDもない)。

シフト状態

カナに関しては標準的なもので特筆すべきことは無さそうです。

カナ・モード
カナでシフト

図形文字に関してはPC-8001と似ているとも似ていないともという感じで、住所に使うような漢字が用意されています。

GRAPHキーを押しながら

文字コードを見ると一部のキーの位置が不明な記号があるようで、それらがどのように入力できたのか、もしくは出来なかったのかは不明です。なおキーリピート機能はあったようですが、設定は固定で変更は出来なかったようです。

文字コードについても標準的なもので、JISの未定義部分に図形文字が収まっています。

文字コード

TABキーやRETURNキーはもちろん、ELやDUP、HOME、CLSといったキーは素直にコントロールコードと同じ扱いで、どちらも同じように使えたようです。

FM-8は、画面だけではなくキーボードについてもMB8841という4ビットCPUを経由してサブCPUが担当していたので、プログラムから直接I/Oを叩いてキーボードの状態を調べること(STOPだけは直接つながっていたようですが)が出来ず、基本的にはキーが押されたことがメインCPUに報告(割り込み?)されるだけだったようです。このためキーが解放されたことを知ることが出来ず、ゲームなどでとても不便だったという記述をよく見つけます。もっともF-BASICの仕様を見る限り INKEY$ は正しく動作していたようなので、割り込みが発生しないだけでキーが押されている状態であるかを知ることはできたと思うのですが(この処理に時間がかかるのかもしれません)。

番外編7:FM-8/7/77/77AVシリーズの微妙な非互換性

ちなみにBUBCOMもサブCPU側の作りは似たりよったり(キーの数が少し増えている)だと思うので、同様の問題があったのだと思いますが、ゲームを作ろうとする人もいなかったでしょう。もっともスキャンコードは採れたようなので実は状態を把握できたのかもしれません。

BUBCOM80 解析資料

最後に図に使ったファイルを貼り付けておきます。

ヘッダ画像は、以下のものを使わせて頂きました(部分拡大)。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fujitsu_Micro_8.jpg
うぃき野郎 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=125077691による

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