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レトロな遠い未来 - ギャラクティカ(Battlestar Galactica)

海外ドラマシリーズは、何せひとつ見終わるのに時間がかかるので、ボチボチのペースです。今回は遠い未来に人類が自ら開発した人工生命体と戦争になり、敗戦濃厚な人類が希望の星を目指して旅を続けるというバトルスター・ギャラクティカです。

このシリーズは、1978年から放送された「宇宙空母ギャラクティカ」のリメイク版です。このオリジナルの方は、映画のスター・ウォーズが大当たりしたのを見て、これをテレビ向けにパクったなかなか脳天気なシリーズでCS無料デーに数話見たものの、ちょっと見る気になれなかったので、しばらく放っておきます(DVDは入手可能なようです)。

さてリメイク版の方は、2003年にアメリカのSF専門チャンネルでパイロット版とも言えるミニシリーズが放送され、その後2005年から4シーズン74話が作られました。日本でも2007年末からCSで、2009年からは日本テレビ系でも放送されたので、ご覧になった方もいるかもしれません。

バトルスター・ギャラクティカ

バトルスターギャラクティカ season1 PV

遠い未来に人類が宇宙に進出した植民地が舞台なのですが、宇宙船には宇宙空間をジャンプする能力があるとはいえ、そのテクノロジーはレトロで、戦いにレーザビームは登場せず、実弾をバカスカ撃ち合います。敵である人工生命体は人間自身が作り出したものとされていますが、その姿は古のロボットのようです(人間の登場人物たちも「ブリキ頭」とか呼んでいます)。コンピュータはハッキングされるリスクがあるというのでネットワークで接続しないらしく、人間が画面を見てボタンを押して使います。他にもオープンリールテープに会話が録音されますし、2024年の今よりも低い技術のオンパレードでまったく未来を感じさせません。

GALACTICA/ギャラクティカ

Battlestar Galactica (2004 TV series)

実際、制作当時であっても、これらのテクノロジー設定は未来ではなく、人類の衰退を暗示するためにあえて古いテクノロジーを使ったのでしょう。また異星人も登場せず、人工生命体も外見が特徴的な種類の方は、時々しか姿を見せず、コストをかけずにドラマを作るのに都合の良い設定になっています。遠い未来で宇宙船が舞台であるにもかかわらず、あくまで人間ドラマなので、余計な設定はいらないのです。

もっとも、この宇宙船団の戦いぶりはなかなか迫力があって、戦艦や戦闘機のプラモにも人気があります。あまり人間とかけ離れた存在がでないところと、宇宙船と戦闘機の組み合わせ、宇宙植民地の話はどことなくマクロスシリーズとも似た雰囲気もあります(マクロスは脳天気なほどに明るい話ですけど)。

ギャラクティカ (宇宙空母ギャラクティカ)

閲覧注意!サイコパス有能美女に人類最強戦力を託した結果がヤバすぎるwww|マーキュリー級バトルスター|バトルスターギャラクティカ|宇宙戦闘空母

ストーリーの中心は戦争であり、それも徐々に力が奪われていく消耗戦で、敵も味方も追い込まれ続ける中で、士気は下がり絶望が支配力を増していきます。その中で生き残りをかけて人と人がぶつかりあい、苦しい決断を続ける姿が描かれます。敵がどこにいるかもわからず、常に先が見えず、いろいろな不安が現実化していきます。その中に明るい光を見つけ、それを信じて、それぞれの立場で戦うのです。実に暗くて気が滅入る話です。それでも人気があるのは、巧妙なストーリー展開とサスペンスが良く出来ているからです。

主な登場人物は、艦隊の旗艦であるギャラクティカの艦長であるウイリアム・アダマをエドワード・ジェームズ・オルモスが演じ(彼はブレードランナーの、あの折り紙を折る刑事役もしています)、文民の代表であるローラ・ロズリン大統領はメアリー・マクドネルです(インデペンデンス・デイでは大統領「夫人」でした)。艦長の息子であるリー・アダマ(ジェイミー・バンバー)は、多彩な役割をこなすとともに親子の確執でストーリーに深みを添えます。スターバックのコールサインを持つ凄腕パイロットのカーラ・スレイス(ケイティ・サッコフ)は、異なる立場の橋渡し役を見事にこなし、ガイアス・バルター博士(ジェイムズ・キャリス)が、自覚していない悪役でストーリーの展開を繋ぎます。他にも味のある登場人物がたくさんいるのですが、特定の人物は物理的に複数いるので、少しばかりややこしいことがあります。

この放浪記を歴史的な事実と比べて論評している人も見かけますが、欧米人であればともかく日本人にはあまり響かない感じがします。どちらかといえば太平洋戦争で敗色濃い部隊が移住していた同胞を引き連れて撤退する姿に近いものを感じるかもしれません。特に自分たちが保護していたと思っていた人たちに追われた地域のです。

人間は追い込まれるほどに、その本質が露わになるもので、そんな時でも守るべき信念、他人への思いと一貫した行動、そして誰を信じるかという選択と誤りを認める力が問われるのです。不完全さの目立つアダマ艦長のキャラにとても親しみさえ感じてしまいます。こんな暗い話をどうして見るのかと言うと、次に何が起こるのか、湧き上がる疑問にはどんな答えが待っているのか、どんな結末であろうと、それを知らずにいられないという人間の性をうまく操った作品なんだからでしょう。

今でもいろいろな配信サービスで見ることができます。

バトルスター・ギャラクティカ (字幕版)

https://www.amazon.co.jp/dp/B00FYKQKTQ

バトルスター・ギャラクティカ (字幕版)

ということで、一度見てしまうと答えがわかってしまうので、あまりいろいろな説明を読む前に見てしまうのがオススメです。二度目を見たくなるかと言うと怪しいのですが、それでも構わないという方は以下の動画をちらっと見てみてください。

Galactica's last Jump!!

#海外ドラマ #ギャラクティカ #サイロン #アダマ艦長 #エドワード・ジェームズ・オルモス #ロズリン大統領 #スターバック #マクロス


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