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アナログシンセ

その昔、ちょうど家にステレオセットがやってきた頃、レコードを買うようになって最初に衝撃を受けたのが「冨田勲」です。

冨田勲

確か「惑星」だったと思うのですが、これこそステレオで聞くには、荘厳でうってつけでもありましたし、シンセサイザーの表現力に圧倒されました。確かレコードには4chステレオの説明とかが書いてあったような気もするのですが、これを再生できるステレオではありませんでしたけど。もっとも後になって秋葉原で調達してきた安いスピーカをL-RとR-Lに接続して、それっぽい音場を試すことはしてみました。

シンセサイザー音楽というのは、機器が高価で扱うのが難しかったこともあって、取り組むアーティストが日本にはあまりいなかったのですが、喜多郎がなかなかエグいアルバムを出してきました。

喜多郎

NHKのシルクロードを手掛けるまで、知る人ぞ知るという感じでしたが、荘厳な音楽という意味では冨田勲と同じ流れだとは思っていました。

こういう音楽が電子回路で作られていると聞けば自分でも作ってみたいと思うようになります。とはいえ音楽を聴くのは大好きですが、弾くのはまるで駄目です。キーボードも文字の方なら得意だったんですけどね。そこは気にせずにVCOとVCFなどの勉強を始めました。

アナログシンセサイザー

物理部には先輩から引き継がれてきているアナログシンセがあって、これが弾く人を選ぶというか、なかなかいうことを聞かないのを目の当たりにして、ちょっと自作は厳しいと思っていたところに、YMOというバンドがトラック数台のシンセを駆使してワールドツアーをして大いに受けたというニュースを聞きました。慌ててレコードを手に入れると、いきなり風船割りゲームではないですか。ゲーム音楽は電子回路で鳴らしていますが、ちょっと今までのシンセのイメージからかけ離れていて、こんな酷いシンセの使い方をするなんて、なんてヒドイやつらだと思ったのを覚えています。

イエロー・マジック・オーケストラ

ただ彼らの音楽を聞くにつれ、いつの間にやらすっかり虜になってしまったのは確かです(YMOの話はまた書きます)。その後、普通の人でも手が出せそうなシンセが発売されるようになり、とはいえ簡単に買えるようなものではなかったので、池袋のショールームに通っては音作りの練習をしていました。

Roland SYSTEM 100M

先輩がシンセを買ったとのことで、少しの間、借りてみることもできました。

コルグ MS-20

これってエレキギターを繋げたようなきがするのですが、弾けもしないギターをシンセを試すために慌てて覚えた気がします。え~Fのことは聞かないでください。

いずれにせよ、この時代のシンセは一組の回路でひとつの音しか出すことができないので、YMOのように「ジャ~ン」と鳴らすことはできません。そこでダビングしつつ音を追加していくのですが、何せカセットテープですから4回もダビングすると、最初の音はなんだか遠くから聞こえるような音になってしまいます。エコーとかもかけてみるのですが、当時のエコーは中にバネが入っているような代物です。そういう意味では素人にはゲーム音楽のように安いスピーカで出す音くらいが精一杯でした。

そうこうするうちに、今度は同級生がカッコいいシンセを買ったと聞き、いじりに行くのですが、そろそろきちんと音楽が出来ないと辛くなり始めました。

80年代にモーグから入門機として発売された『Moog Prodigy』の演奏と、アナログ・シンセの魅力

音源操作とか録音技術であれば、それなりに出来るようになったのですが、やはり演奏する能力は上達せず、もうそちらは諦めようということでSN76477Nだったかでピコピコ音をだして楽しんでいました。あとはシーケンサでも作ればいいかなというところでした。

それまではシンセはアナログだったのでパソコンとは別の世界だったのですが、遂にMIDIという規格とともにFM音源というものが登場します。時期を同じくして既にある音を録音して加工するサンプラーという装置も出てきて、遂にデジタルシンセの時代が始まりました。こちらはまたの機会に。

ヘッダ写真は以下を使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Minimoog.JPG


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