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説明するときは相手の右脳に訴える

 皆さんこんにちは。長野県で理学療法士をしている竹中寿史です。先日、ランニング中に急に雨が降ってきてずぶ濡れになりましたが、高校の野球部を思い出して逆に爽快でした。(どうでもいい情報笑)


 今回は、リハ職は治療技術も大事だけれど、伝える力も同じくらい大事だよねという話を書いていきます。


あなたの話が伝わらないのはなぜか?

 普段患者さんとリハビリをしていて訓練の内容や痛みの原因を説明することってありますよね。その説明した時に相手の反応がイマイチで、伝わってないなと感じることはありませんか?
 それはもしかしたら相手の右脳に訴えかけてないからかもしれません。


 例えば、手術して術創部の痛みがある方に対して

「今は炎症が起きてて、炎症が起きると体内で発痛物質が生じて、さらに血液循環が悪くなっているから痛みが出てるんですよ。」

と説明しても、本人からすると理論的にはそうかもしれないけど、良く分からないなあと思う人が多いのではないでしょうか?

 この説明は基本的に論理で説明しているので相手の左脳に訴えています。しかし、人間というのは感情の生き物です。そのため、基本的に左脳に訴えかけても納得感を持って理解してもらうのは難しいことが多いです。

 ではどのように説明したら納得感を持って理解してもらえるのでしょうか?
 それは、右脳にも訴えかけてあげることです。



伝える時には相手の右脳に訴えかける

 簡単に左脳と右脳の働きを説明しておきます。左脳とは、計算や論理など理論的なことを考える時に主に使用されます。反対に右脳は感情や物体のイメージ、空間把握などに主に使用されます。
(かなりざっくりとした説明ですいません。そんなに脳は単純じゃないと思っても心にしまっておいてください。笑)

 つまり、右脳に訴えかけるというのは、人間の感情や物体のイメージなどを刺激するように説明するということです。

 では、実際に右脳に訴えかけるというのはどういうことでしょうか?
 具体的に何を意識すれば良いのでしょうか?


 相手の右脳に訴えかける時に自分が意識していることは主に2つです。

①相手が想像しやすい具体例でイメージを作ってあげる

②その人の関心事に訴える

この2つをうまく使って説明できると、相手は納得感のある理解をしてくれやすくなります。


相手が想像しやすい具体例を使う

 例えば、リハビリで右の大腿骨の骨折をしたAさんがいたとします。

・杖歩行もできるが、かなり左(健側)優位の歩行となっている。
・療法士としては歩行器歩行で練習して、左優位の歩行を修正した方がいいと思っている。
・Aさんは早く退院したくて、杖歩行でどんどん練習した方がいいと思っているため、歩行器歩行はあまり受け入れが良くない。

こんな時あなたはどうしますか?そのまま本人の希望するように杖歩行をしますか? 
 この時にAさんに歩行器歩行の練習をしてもらうために、自分は具体例を使ってこんな感じで説明します。

「Aさんは今の杖の歩行だと左足ばかりに体重がかかっていて、悪い癖がついてしまう可能性があります。そのため、歩行器で右足も使って歩く方がいいかなと私は思います。
 例えば、子供が箸を正しく持たずにずっと食事をしていたらどうなりますか?悪い箸の持ち方をしていたら、そのうち悪い癖がついてしまいますよね。
 それと同じで杖での歩行で悪い癖をつけてしまうと、足が良くなっても悪い歩き方の癖だけ残ってしまうんですよね。だから、今は歩行器での歩行を練習しようと思いますが、どうでしょうか?」

という感じです。説明の際に、子供の箸の持ち方というAさんがイメージしやすい具体例を入れることで、少し説明が分かりやすくなったと思います。また患者さんも納得感を持って理解しやすくなったと思います。

 これが一つ目の、相手が想像しやすい具体例でイメージを作ってあげるという方法です。


その人の関心事に訴えて納得させる

 では、二つ目のその人の関心事に訴える方法を具体的に説明していきます。
先ほどの右の大腿骨の骨折をしたAさんの例で考えていきます。

「Aさんは今は杖で歩くと右足に体重がかかりにくいです。体重がかかりにくいということは右足が使われないので筋力がつきにくいです。
 でも、歩行器で歩けば右足にも体重がかかるのでその分筋力もつきやすいです。そうなると結果的に右足が早く良くなって、退院も早くなると思います。
 だから、今は歩行器で歩く練習をしてみようと思いますが、どうでしょうか?」

という感じです。このように本人が関心があること(今回は早く退院したいと思っていること)を説明に加えると相手の感情に訴えることができます。

 そうすると、人間は感情の生き物なので相手も納得感を持って理解し、そして行動することができます。


 少し想像してみてください。このように相手が納得した状態で一緒にリハビリを進めていけるとどうなるか。
 今よりも患者さんに寄り添って、患者さんと担当が同じ方向を向いてリハビリを進めることができるようになります。そうなると、患者さんは前に進んでいる実感が持てますし、自分のことを理解してくれていると思ってくれます。
 そして、何よりもセラピストも患者さんと一緒に進んでいってる感覚が得られるのでリハビリがさらに楽しくなってくると思います。

 どうですか?もちろん上手くいくことばかりじゃないですが、今よりも少しでも日々の仕事が楽しくなりそうじゃないですか?

 ぜひ良いなと思ったらやってみてもらえると嬉しいです。



まとめ

・何か説明するときは相手の左脳だけではなく、右脳にも訴える必要がある。
・右脳に訴えるには、以下の2つがある。
 ①相手が想像しやすい具体例でイメージを作ってあげる
 ②その人の関心事に訴える

・伝え方で日々のリハビリはもっと楽しくなる。


今回は右脳に訴えるというテーマで書いていきました。少しでも参考になれば幸いです。ではまた!

#竹中かずし #学んだことシリーズ #日記 #理学療法士

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