回復期病院で2年間理学療法士として勤務して学んだ本当に大事なこと⑥ 〜経験を要素分解する〜
こんにちは。友達にオススメされた「ゴールデンカムイ」という漫画を大人買いしてしまって、家から出たくない環境になってしまった竹中かずしです。
今回は経験値を効率的に得るために経験したことを要素分解しておこうという話をしようと思います。
経験は要素分解して自分の学びにしよう
皆さん日々生活していると、上手くいった経験や反対に上手くいかなかった経験をすると思います。その際に何となく今日は上手くいったなと思っているだけだと、せっかく得た経験が積み上がりにくくなってしまいます。
そこで得た経験から効率的に学ぶためには要素分解をして、自分の経験値として貯めておくと良いかと思います。
では、要素分解とはどういうことか説明します。
要素分解とは、Aという事実はどのような要素で構成されているかを考え分解することです。
例えば、料理をしていて野菜炒めを作った時に昨日は美味しくできたのに、今日はあんまり美味しくなかったとします。
その際にこの経験がなぜ起こったのかを考える時に要素分解していくと原因が理解しやすくなってきます。
では、野菜炒めが美味しくできるということを要素分解すると、以下のことが挙げられます。
・切った野菜の大きさ
・野菜の鮮度
・野菜の量に対しての調味料の量
・炒める時間、炒める順番
・食べる時の自分の空腹感
これを踏まえて昨日作った野菜炒めと今日作った野菜炒めは何が違うか考えてみます。そう考えると、
・野菜の鮮度は変わっている
・調味料は変えてない
・炒める順番は気にしてなかったから変わっている
などと味が変わった原因がいくつか考えられるようになると思います。
このように要素分解をしていくと自分の経験が詳細に捉えられるようになるため、次に同じようことを行う時にそれが経験値として生きてきます。
では、この要素分解を臨床での話に置き換えて考えていきます。
要素分解を臨床に応用する
普段臨床で様々な疾患を持った方を担当することがあると思います。筋トレして良くなっていったり、徒手療法をして痛みが軽減したり日々色々な経験をします。
その時に起こる出来事を要素分解して考えていくと同じように経験年数を重ねてもその人によって積み上がっているものに差が出てくると思います。
例えば、大腿骨頸部骨折をしたAさんにステップ練習を実施したら歩幅が拡大し、歩行効率が改善したという経験をしたとします。
その時に上記事実を分解せずに捉えると、「頸部骨折をした人にはステップ練習が有効である」という何ともざっくりとした経験値になってしまいます。
私たちは人をみているわけであって、疾患を診ているわけではありません。その人の病態や症状というのは複数の要因が重なって生じているものです。そのため、上手くいった経験をざっくりと捉えると次に同じ頸部骨折患者さんのBさんが来た時に応用しにくいです。
では、Aさんに対してステップ練習をすることで良くなったという事実を要素分解していきます。
Aさんにステップ練習をしたことで良くなった要因は何か?
・荷重時に患側に痛みが生じなく、患側下肢への負荷がかけれた
・股関節伸展運動が生じて動作時の中で伸展可動域が使えるようになった
・大殿筋がしっかりと収縮し、筋力がついた
・患側の足部に重心移動して反対側をステップするという運動の学習が進んだ
・反復して練習する事で本人の恐怖心が軽減した
などの様々な要素に分解できます。こうすると反対に同じようにステップ練習をしても上手くいかなさそうな現象も捉える事ができます。
・荷重時痛が生じており、あまり患側に重心移動できずにステップしている
・元々股関節伸展制限があり、ステップしても股関節が屈曲位で固定してしまう
などの現象が生じたら別の課題に切り替えた方が良いかもしれないなと考える事ができます。
このように要素分解すると上手くいった経験を詳細に捉える事ができるため次に同じ疾患の患者さんが来た時に応用できることとできない事が分かるようになってくると思います。
このように生じた現象を分解して捉えることは非常に当たり前だと思いますが、日々忙しいと感じているとなかなか疎かになりがちかと思います。
こうした要素分解してさらに別の患者さんへの転用をしていくことで、意味のある経験の積み重ねとなり、効果的なアプローチが少しずつできるようになってくると思います。
私自身もまだまだ不十分なので改めて気を引き締めて行っていきます。
今回も時間を取って読んでくださってありがとうございます。
少しでも皆さんにとってためになり、仕事がさらに面白くなっていくと嬉しいです。
また次回もよろしくお願いします。
ではまた!
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