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患者さんに共感しすぎてはいけない

 皆さんこんにちは。長野県で理学療法士をしている竹中かずしです。本日は、最近コーチングセミナーで学んだ感情の話を踏まえて書いていこうと思います。

 よろしくお願いします!



共感しすぎるデメリット

 皆さんは学生の時に、患者さんと接する時は共感的態度を持って接しなさいと学びませんでしたか?


 私は、回復期病院で2年ちょっと働いてきて、共感的態度だけではなんともならない息苦しさを覚えることが多々ありました。

 そこで振り返ってみると、共感的態度が強いとデメリットも生じているなと思いました。




例えば、リハビリに対して消極的な患者(Aさん)とセラピスト(Th)の会話でこのような会話を聞いたことありませんか?


Aさん「足は痛いし、もうそんなにリハビリやらなくてもいい。」
Th「そうですよね。足が痛いんですよね。今日は軽くしておきますか。」


 患者さんに対して、共感的態度が強いとこのようになってしまいます。

 これでは、リハビリは進まず、患者さんの機能向上が望めないため、身体は良くなりません。これは患者さんにとっても良くないですよね。


 

 もしこれが完全自費診療であれば、患者さんのペースに合わせてリハビリを行っても良いかもしれません。

 しかし、病院でのリハビリはそうはいきません。
 病院のリハビリは保険内診療です。患者さんの医療費負担は1〜3割のため、それ以外の医療費は国の税金を使っているのです。

 リハビリが進まないということは、入院日数が長くなり、その分医療費がかかります。そうなると、余計に国の税金を使うことになるので、結果的に自分たちの首を絞めることになるのです。

 そのため、病院のリハビリは患者さんにとっても、病院にとっても、国にとっても価値のあるものを提供しないといけないのです。



では、どのように共感的態度を持ってリハビリを進めていけばいいのでしょうか?






共感には2種類ある

 共感しすぎるとデメリットが生じることもあるため、2種類の共感を上手く使っていく必要があります。

 2種類の共感とは、情動的共感認知的共感です。


情動的共感
 私もその気持ちすごく分かる。自分も同じ気持ちだよという感情的な共感。一般的な共感と言われるものに近い。

認知的共感
 あなたのその状況だったら、その気持ちになるのは分かるという客観的な共感。相手の感情を理解するというニュアンスに近い。


 普段患者さんと関わる時には、この2つ共感のバランスが必要です。

 先ほどの、リハビリに消極的な患者さんに対する共感は、情動的共感の要素が強いです。そのため、リハビリに消極的な患者さんであれば、セラピスト側もリハビリに対して消極的になってしまいます。


 しかし、それでは困るので認知的共感の割合を多くしていく必要があります。






共感のバランスをどう取るか

 情動的共感と認知的共感の2つのバランスを取るには、どうしたら良いのでしょうか。


 それは、ポジティブな感情で患者さんが前を向いている時は、情動的共感を多めにする。
 ネガティブな感情で患者さんが前に進めない時は、認知的共感を多めにするという方法です。


 例えば、患者さんが

「前は杖で歩けなかったけど、今は杖で短い距離だけど歩けるようになってきて嬉しい。」

 と発言したら、

「そうですよね!前より良いですね。これから更に練習していけば、もっと良くなりますよ。」

というように情動的共感を強くして、相手への共感を示します。
そして、共感することによって相手の背中を押してあげるのです。



 対して、消極的な発言が多くリハビリが進まない時は、認知的共感を強くします。まずは相手への理解を示して、その後、客観的に見た必要なリハビリの提案をします。


 例えば、先ほどの足が痛いAさんに声をかけるなら、こんな感じです。

Aさん「足は痛いし、もうそんなにリハビリやらなくてもいい。」

Th「Aさんは、足が痛くてリハビリをあまりやりたくないと思っているんですね。確かに足は痛いと思います。しかし、ここで全く動かさないと余計に足は痛いままで、動きも悪くなってきてしまいます。
 だから、動かせる範囲で一緒に動かしていった方が良いと思うのですが、Aさんはどうしますか?」


 この時のポイントは3つです。

①最初に理解を示すこと
②客観的にみた自分の意見を伝えること
③最後に相手に決定権を持たせること  
です。


 まず相手のことを理解してあげないと患者さんは心を開いてはくれません。

 心を開いてもらった後に、自分の意見を真摯に伝えることで自分の意見に耳を傾けてくれます。

 そして、最後に自分の意見を押し付けないように自己決定してもらうことでその後の動機に繋がるのです。




 しかし、これが最善の方法なのかは私も分かりません。
 私も日々悩みながら試行錯誤しています。


 私は情動的共感が強いので、つい患者さんのネガティブな感情に引っ張られてしまうことが多いです。

 そのため、リハビリに消極的な患者さんに対しては、意識的に認知的共感の割合を多くして接しています。


 私も迷いながら行っているので、もし皆さんのアドバイスや意見も頂けると幸いです。




まとめ

・共感には情動的共感と認知的共感がある。
 情動的共感:自分も同じ気持ちという共感
 認知的共感:相手の立場を考慮した時の相手への理解
・情動的共感が強すぎるとデメリットもある。
・患者さんに合わせて2種類の共感のバランスをとることが必要。




 今回もここまで読んで下さってありがとうございました。少しでも日々の仕事や生活に役に立てば幸いです。

 なんとか1週間毎日更新チャレンジ5日目まで来ました。残りも頑張ります。

ではまた!


#竹中かずし #学んだことシリーズ #日記 #理学療法士

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