魔々勇々第3話「蛇口と雛鳥」感想(ジャンプ43号)

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3話かけた壮大なプロローグ。
wjジャンプ連載の場合、第1話でまとめてやりそうなことを3話かけてやる骨太なストーリー。
今回の最後のタイトルコールにはすごいカタルシスがあるし毎週すごく面白いんだけど、ジャンプ読者のスピード感に噛み合うかやや心配でもある。
アンケ出すから頑張ってくれー!

今回は気になる蛇口と雛鳥の描写をメインに考察し、その他の気になったところにコメント。

蛇口と雛鳥

さて、サブタイトルにもなり、意味深に現れる蛇口と雛鳥の描写。自分なりに解釈してみる。

蛇口

蛇口から出る水がコルレオの涙とリンクしていることは間違いないけど、涙そのものだけじゃなくて、溢れるのは「甘え」という感情であり、蛇口である以上「栓を締めるも開けるも自分次第」ということを表現したのかなと思った。

自分の弱さを呪う甘え
勇者とは何かという問いの答えを他者に求める甘え
そして、巣立つ前最後の母への甘え

自ら締めなければ止め処無く溢れる甘えを、母への感謝を最後に締める。
マママの少し驚いた顔と「締まらぬ奴だ」だけではこのときのコルレオの表情や台詞は想像しにくいけど、蛇口を締めたのがこの後であることを考えると、母への甘えと涙を最後に見せたんだろうなと想像できる。
泣きながらありがとうって言ったのかなーと。
そして、蛇口を締め、他者に答えを求めないことを決めたからこそ、「勇者です」を自分の言葉として自信を持って言えているんだと思う。

雛鳥

雛鳥と言いつつどちらかというと親鳥メインの描写に見えた。
明確に締まった蛇口と違い、親鳥は最後まで餌を与えようとしている。
重なるのは愛情を与え続け名残を惜しむマママの姿。
コルレオは巣立とうとしているけれど、マママもパンネロも、今すぐの自立を求めているわけではない。
餌を拒絶するのではない(親の愛情や他の大人の優しさは理解している)
それでも、蛇口は締める(甘えないことの決意表明)
そんなコルレオなりの決別の仕方を表現しているんじゃないだろうか。
この解釈が正しいかは分からないけど、優しいまま前向きに旅立つコルレオはめっちゃ主人公してて好きです。

その他の気になるポイント

黒い犬

探していたのはエヴァン?
こいつがエヴァンの世界の魔王エンドの配下だとすれば、魔王、勇者が一つの世界に一対しか存在できないからという理由でマママを攻撃した理由も立つ。
コルレオを攻撃するのは魔王、勇者の対立構造から当然か。
モブっぽかったけど修復できたりと、意外と強敵だった。

…君は何者かね?

先週の「走れ」といい、今週の「締める」といいダブルミーニングが上手。
言葉遊びが好きなので、こういうところで楽しませてくれるのは嬉しい。
念のための素性確認にしか見えない前半部分が、後半の覚悟を問う場面により、初めから意図を持った問いかけだったことが分かる構成が粋。
望むと望まざるとを問わず、戦うことを選ぶなら勇者という宿命からは逃れられないことを突き付けている。
「勇者だから来い」じゃなくて「来るなら勇者として来い」なのが渋くてかっこいい。

お久しぶりですなマママ殿

パンネロさん渋くてかっこいい(2回目)
コルレオ、マママに続く3人目のネームドキャラもキャラが立っている。エヴァン、エンドも含めれば5人目か。
折れている方の角を肩書紹介と同時に初見せすることでキャラの深みが増している。
「よ」の気軽さと折れた角や肩書による百戦錬磨感。

一コマ一コマの分析がすごく楽しいんだけど他の漫画も良く見ればこういうことやってるのかな?

その腕はもうないんじゃけどな

序盤に主人公にとっての重要人物が片腕を奪われる漫画は名作らしい。
「だってよ・・・マママ・・・腕が!」

いや、腕というより紋章がね。あっさりなくなっちゃったけども。
強さではなく紋章に魔王と勇者であることの意味があるような展開だから、後から紋章がなくなったことにも意味が生まれそう。
次の魔王が生まれるパターンは勘弁してください。マママの活躍まだ見たいです!

この後の会話、淡々としているし直接的にコルレオがどんなに大切だったかはほとんど言ってないのに、マママの息子への想いが伝わってきて惹きこまれた。
「ワシはなァ…怖くなったのだ」って台詞とか、その後のコルレオの表情の変遷とか、会話してるだけのシーンのはずなのにすごい臨場感。
今回の1ページ目の4コマ回想もかなり効いてる。
作者の林先生22か23歳だっけか。どうなってんだ。

その時代の名は魔々勇々

タイトルコールかっこよすぎる。
完全にオープニングテーマが流れてる。
「勇者」それは…のあたりでドラクエの序曲(Ⅺのバージョン)が流れ始めて、「今一度問おう」のところでサビ直前のファンファーレが始まり、「勇者です」の直後にサビが始まる感じ。

林先生が描くキャラは今のところすべて魅力的なので、どんな勇者と魔王が出てくるのか純粋に楽しみだし、単なるドンパチじゃない多面的な展開になりそうなのも楽しみ。
それでもマママはここでお役御免にするにはあまりにも惜しいので、再登場を期待したいと思ってしまう。
何はともあれ、3話かけてどういう物語なのかしっかり筋を通してくれて、楽しみな新連載が始まってくれたなーとしみじみ噛み締めています。






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